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ツツジ科スノキ属の落葉低木果樹のブルーベリーは、美味しい果実がなり、背丈も高くないため家庭菜園でも育てやすくて人気です。初夏に花がつき、真夏に果実がみのるほか、秋には紅葉も美しく、冬には落葉した裸木を楽しむことができるため、四季のうつろいを楽しめる庭木としても人気ですよね。
低木なら剪定しなくてもいいのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、美味しい実をたくさんつけるためには、剪定が必要となります。また、適切な時期に正しい剪定をするとたくさんのメリットがあります。
今回はブルーベリーの剪定方法や時期、失敗しないコツについてもご紹介していきます。
ブルーベリーを剪定すると、次のようなメリットがあります。
とくにブルーベリーは5〜6年も経った古い枝には実がつかないので、根本から切って新しいシュート枝を伸ばすといった株の更新をすると、継続して収穫できるようになりますよ。さらに、不要な枝をカットして必要な枝に栄養を行き渡らせたり、株全体に日が当たるようにすると、実つきがよくなります。
ブルーベリーの剪定時期は6月〜7月上旬の夏剪定と、11月〜2月の冬剪定です。夏剪定は軽く切り戻し、冬剪定では強めに切り戻して(強剪定)、株の更新や樹形をコントロールしていきます。
なお、夏剪定は遅くなりすぎると小さく出始めた芽を切ってしまうので、遅くとも7月上旬までに作業しましょう。収穫を終えてすぐ剪定するのが理想です。
また、冬剪定では、花芽と葉芽の違いがしっかりとわかる時期になってから剪定します。ラビットアイ系は12〜2月ごろ、ハイブッシュ系は11月ごろから花芽がしっかりしてきますよ。
ちなみに鉢植えのブルーベリーは、冬剪定と同じタイミングで植え替えするといいです。
ブルーベリーの夏剪定は、春によく伸びた新梢を切り戻して、来年のためにより多くの花芽をつけさせる意味合いで行います。夏剪定は弱く切り戻すので、整枝や摘心といったイメージでもいいでしょう。
夏剪定は20〜30cmほど伸びた新梢(去年の冬から葉芽が伸びてできた新しい枝)を、3分の1〜2分の1ほどに切り戻すだけです。
ここからは3年生の鉢植えを例に、ブルーベリーの夏剪定のやり方を写真付きでご紹介します。
まずは緑色の新しく若い枝を中心に、枝先を3分の1ほど剪定します。外に向かっている芽(葉)の上で切りましょう。夏に剪定すると、切り戻した下の芽から充実した新梢が伸びていきます。
切るべき枝は、枝の色をよく見れば分かります。若い枝は黄緑色っぽく、古い枝は茶色くなっています。5〜6年も経つと枝肌がひび割れたようになってくるので、そのような死に枝は冬剪定で切ってしまいます。
そのほか、病班のある葉や、黒っぽく枯れた小枝があれば、必ず根本から剪定してください。
最後に株元周辺の整理をします。ひこばえという株元の地面から伸びる枝が多いですが、鉢植えの場合は3〜4本にとどめたほうがいいので、弱く細いひこばえは根本から剪定しましょう。
そのほか、株の内側に伸びるような内向枝があれば切ってください。
これで夏剪定は終わりです。切りすぎても夏の間によく伸びるので大丈夫です。とくにひこばえはそのままにしておくと、栄養が分散してしまうので、不要な分は根本から切って枝数を減らしておきましょう。
その他、交差する枝や近い位置で混み合う枝がないよう、枝葉の数を減らして、温度湿度の高い夏を越せるようにしてあげてください。
ブルーベリーの剪定で一番大切なのが冬剪定です。強めに切り戻して株を充実させるので、強剪定とも呼ばれています。冬剪定をすると翌春に充実した新梢が伸びます。新梢には翌年に花芽がつくので、剪定を重ねていくことで収穫量が年々上がりますよ。
なお、冬剪定はブルーベリーの品種や栽培年数によって細かい剪定方法が変わります。この項目では①地植えのブルーベリー、②鉢植えのブルーベリーの順で詳しくご紹介していきます。
ここでは6年生以上の成木、とりわけ地植えしている株立ち樹形のブルーベリーの冬剪定についてご紹介します。
冬剪定では基本的に、樹形全体をみて最終的に360°に丸く広がるよう、主軸枝となる残す枝や切るべき部分をイメージして剪定していきましょう。手順は下記の通りです。
なお、株立ち樹形の場合は、ラビットアイ系なら10本の主軸枝がある状態を目指して、冬に2本根元から切るサイクルで更新しましょう。ハイブッシュ系なら4本の主軸枝を伸ばすようにして、そのうちの1本を更新しながら育てていきます。
ブルーベリーの苗木を購入して鉢植えで育てている場合の冬剪定は、栽培年数によって冬剪定のやり方を変えましょう。5年かけてしっかりと収穫できる樹形に仕立てていきます。
幼木期 1~3年目 |
実の収穫よりも株の充実を優先させるため、花芽を含め、その年に伸びた枝を半分の長さに切り戻す。鉢植えならY字の両先端以外の下部の枝は根本から切る。 |
若木期 3〜4年目 |
株を充実させつつ収穫を狙うため、花芽を2分の1ほど残して切り戻す。株元の土から伸びているシュートがあれば、半分に切り戻す。そのほか、細くて短い枝や株の内側に伸びる枝を根元から切る。 |
成木期 5年以降 |
安定して収穫をするため、株の更新しながら剪定する。まずは前回の結果枝を切り戻し、花芽はラビットアイ系なら3分の1、ハイブッシュ系なら2分の1になるよう切り戻す。5年以上たった主軸に実はつかないので、根本から切り戻してシュートだった枝と交代する。 |
ブルーベリーの実となる花芽はどこにつくのかというと、1年枝にのみつきます。冬ごろになると1年枝の先端に3〜4個花芽がついて、その下に3〜4個葉芽が出るのです。
その後、夏には花芽に果実がつき、葉芽から新梢(新しい枝)が伸びていきます。その次の冬には、果実がみのった結果枝は枯れ、夏に伸びた新梢の先端に花芽がつくというサイクルで、どんどん枝分かれするように茂っていきます。
すでに果実をつけ終わった結果枝はどうせ枯れてしまうので、冬剪定で切り戻しておくと夏により葉芽が伸びて、翌年夏にはよりよい枝へと成長しますよ。
ブルーベリーの剪定を失敗しないために気をつけておきたいのが、次の3点です。
とくに樹高60cm以下の1〜2年目の幼木期や若い枝は、必ず花芽をすべて切り落としましょう。ここで無駄に花芽を残して育てると、体力が不足して全体が枯れてしまうこともあります。
とはいえブルーベリーは生育旺盛なので、多少切りすぎたとしてもすぐに伸びていきます。とくに冬剪定では、失敗を恐れずに強く剪定していくことも大切です。
ブルーベリーの剪定で切り落とした枝をつかって、挿し木で増やすこともできます。冬剪定で切り取った枝は「休眠枝挿し」として3〜4月に、夏剪定で切り取った枝は「緑枝挿し」として6〜7月に行います。
ブルーベリーの剪定は奥が深く、剪定次第で果実の大きさや収穫量なども調整できます。栽培年数ごとの剪定方法の違いを理解して、安定して美味しい果実を収穫できるようにしましょう。
松原真理子
GreenSnap編集部