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冬の終わりを教えてくれる花のひとつである桜は、日本人の生活に根付いた文化といえるかもしれませんね。ですが、その美しい桜を楽しむには剪定という作業が大切になってきます。
今回は桜の剪定方法や枝を切る時期、その目的や効果についても詳しく紹介していきいます。
「桜切る馬鹿梅切らぬ馬鹿」ということわざがありますが、これは見た目や咲く時期が似ている2つの樹木のメンテナンスの難しさをあらわしたことわざです。
日本では街路樹として一般的な桜ですが、もともとあまり強い樹木ではないので、みだりに剪定してしまうとすぐに病気になって枯れてしまいます。
ですが、桜は剪定しないと日光が当たらない部分が出てきてしまい、結果的に花芽がつきにくくなったり、花を咲かせるエネルギーを蓄えられなくなります。
また、日光がよくあたり栄養が行き届く枝は太く長く伸び、日当りの悪い場所の枝はあまり生長しないので、枝ぶりのバランスが崩れることにもつながります。
つまり、桜にとって剪定はある程度ダメージにはなるものの、むしろ桜の健康のためにも必ずしないといけないお手入れなのです。正しい知識をもって桜の剪定をしてあげることが、桜を美しく、かつ健康に保つために必要なことです。
桜の剪定を行うのに最も適した時期は、桜の葉が落ち切った11月〜12月上旬までです。
桜を剪定するときにもっとも重要になるのが、剪定の時期を間違えないことです。なぜなら病気や菌に弱い桜が活動盛んな時期に剪定を行ってしまうと、病気が広まりやすいからです。
この時期の桜は落葉樹である桜は秋を迎えて木の葉を落とし、来たるべき冬に備えて、休眠の準備に入ります。休眠の時期は桜の抵抗力が最も弱まる時期でもあります。そのため、真冬の剪定もまた病気に対して抵抗力がないため避けた方が良いです。
なお、鉢植えや桜盆栽としてコンパクトに、かつ樹形を重視して育てる場合は、落葉期の剪定以外にも、開花後すぐの芽出し剪定(芽摘み)をしてあげるといいです。
詳しいやり方はこちらの記事を参考にしてみてください。
桜の剪定は基本的に透かし剪定(間引き剪定)という、不要な枝だけを切って、全ての枝に日が当たるようにしたり、風通しを良くする方法で行います。
不要な枝を切るときは、必ず枝が分岐している根本から剪定しましょう。中途半端に枝を残して剪定すると、そこから枯れ込むこともあるので注意してください。
基本的には剪定ばさみで切れるくらいの太さのうちに適切に行うことが大切です。ただし、剪定ばさみで切れない太い枝を剪定しなければいけないこともあるかもしれません。その場合は、下記の手順通りに枝を切り落としましょう。
桜を剪定する際は、枝が細かくても折りやす見えても面倒でも、桜の枝を手で折ることは絶対に避けてください。
桜に限ったことではありませんが、木の枝を手で折ると切り口がギザギザになり、キレイな面にはなりません。乱れた切り口になると病気や菌が侵入しやすくなってしまいます。くれぐれも剪定時には、どんな枝でも手で折ることのないようにしましょう。
ひこばえとは、樹木の根元から伸びている枝のことです。根とは異なり、上方向に伸びてきます。ひこばえを放置すると樹木の栄養がひこばえにとられ、樹木全体に栄養が行き渡らなくなるだけではなく、樹木全体のバランスを崩す原因にもなります。
ふところ枝とは樹木の上部に生える細く小さな枝のことです。太めの枝からさらに細い枝が伸びると強い風などが吹いたときに、太い枝を傷つけてしまう可能性があります。
からみ枝とは、ほかの枝に絡むように伸びている枝のことです。絡んでいるがゆえに風などの影響を受けやすく、ほかの枝を傷つけるおそれがあります。
胴ぶき枝とは、地面から約2メートルの高さくらいまでの幹に生える枝のことです。胴ぶき枝を放置すると、のちに人が通るときの妨げになる可能性があります。
さかさ枝とは太い枝から地面の方向に生える枝のことです。さかさ枝を放置すると樹木全体のバランスや見た目が整いづらくなります。
平行枝とは近い距離で同じ向きに枝が伸びている状態のことです。そのまま葉が茂ると、下の枝のほうに日光が当たらず、一部分だけ生育不良を起こしてしまうことがあるので、どちらか1本を残して、もう一方は剪定します。
桜を剪定するときは、切る枝に目安をつけるところからスタートします。桜はとにかくデリケートなので、太い木を考えもなく切り落としてしまうと樹木本体の生長や健康状態に大きく影響してしまいます。
桜の一番上、てっぺんの枝から切っていきます。樹木全体の形を整えるイメージで軽く切りそろえていきます。桜の剪定において大胆な剪定は必要ありません。
切り方も重要なポイントです。枝に対して切り口が直角90度の角度になるように切っていきましょう。切る枝はあくまで細い枝です。太い枝をくれぐれも切らないように注意しましょう。
剪定した枝は切り口を保護し、桜を病気などから守るために癒合剤を忘れずに塗りましょう。
桜は、その木の樹齢によって剪定する枝の種類が少しずつ異なります。枝の種類・特徴については前述に記載したとおりです。
「ひこばえ」は、根元から10cmほどのところを目安に切ってしまいましょう。「ふところ枝」や「からみ枝」も、根元から10cmほどのところを目安に切り落としましょう。
また、桜全体の景観を整える目的から、「胴ぶき枝」は早めに切り落としましょう。「さかさ枝」も、放置すると樹木全体のバランスや見た目が整いません。こちらも早めに切り落としましょう。
6年目以降の桜の剪定も、5年目までと切る枝の選び方は基本的に変わりません。6年を経過して桜は大きく生長しています。5年目までに適切に不要な枝を剪定してはいるものの、それでも生えてくる枝があります。
たとえば「さかさ枝」や真上に伸びた「立ち枝」、生長著しく長く伸びた「徒長枝(とちょうし)」などです。これらの枝は桜の生長や多く美しい開花を促すうえでは必要のないものです。
いずれも病気や菌の侵入を防ぐために、根元から10cmほどのところを目安に切り落とします。
桜を剪定する前に準備しておかなければいけないことがあります。それは桜の剪定に使う道具は、すべて消毒しておくことです。
桜はとくに病気や菌に対してデリケートですが、桜に限らず樹木の剪定をするときには切り口から病気や菌を入れないために、使う道具はすべて消毒しましょう。
どんなに細い枝を剪定したときでも、切り落としたらすぐに保護剤などを切り口に塗って桜を病気や菌から守ってあげましょう。保護剤などを塗ることを怠ると病気や菌が侵入してしまい、せっかくの剪定作業が無駄になるほどのダメージを桜が負いかねません。
桜の剪定で切り取った枝は、挿し木にして増やすこともできます。うまく発根すれば、小さな桜盆栽として楽しめますし、最近では桜の苔玉にして楽しむ方も増えてきています。
やり方は簡単なので挑戦してみてはいかがでしょうか。
ことわざにもなるほど、桜の剪定は難しいものかもしれません。しかし専門家でなくてはできないというわけでもありません。桜を剪定するときに外せないポイントがいくつかあります。剪定に適した季節、剪定するべき枝の種類、太い枝を切るときの手順などです。
桜の剪定のポイントさえおさえておけば、専門家でなくても桜を剪定することは不可能ではありません。まずは細い枝を整えるところから、少しずつ桜の剪定に慣れてみてはいかがでしょうか。
GreenSnap編集部