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キンモクセイは庭木として人気の樹木ですが、放置しておくとどんどん生長して大きくなりすぎてしまいます。家庭で管理できる大きさのまま育てるには定期的に剪定が必要です。
今回は、キンモクセイの剪定時期や透かし剪定の方法、切る枝について、画像や図解付きで詳しくご紹介します。
庭木に人気のキンモクセイは常緑小高木に分類される樹木で、自然に育てると6mほどの大きさにまで伸びます。6mというと庭木としては管理しづらい樹高なので、定期的に枝を切って小さく管理する剪定が必要です。
キンモクセイは根元近くから枝分かれし、よく分岐していくのが特徴です。刈り込みにも強く、いろんな樹形で楽しんだり生け垣のように仕立てることもできるので、怖がらずに剪定をしましょう!
キンモクセイの剪定をする時期は、日本の南の地域では2月~3月、北側では3月~4月が理想が理想とされています。
キンモクセイは4月頃に新しく枝(新梢)を伸ばし、8月ごろにその新梢に花芽を形成して秋に開花するというサイクルで成長しています。そのため、花が散ってから新梢が伸びるまでの花後以降〜春までの間に剪定するのが基本です。
とくに、夏に剪定をしてしまうと、新梢を切ってしまって花が咲かない原因となるので、気をつけてくださいね。
キンモクセイは花後すぐの11月ごろにも剪定可能ですが、できれば暖かくなり始めた初春の時期に剪定するようにしましょう。
なお、枯れ枝などが目立つようであれば冬の間でも剪定したほうがいいでしょう。その場合は、枝の途中で切るのではなく、枯れ枝の分岐点となる根本から切るようにしましょう。
キンモクセイは前述の通り、どんどん伸びる樹木なので剪定をしないで庭に植えていると、大きくなりすぎて手入れも大変になってしまったり、電線に引っかかってしまうようなトラブルも発生します。
電線の高さは一般的に4〜5mほどなので、庭木としてキンモクセイを育てるときは3m以内の樹高で管理するのが理想的です。
キンモクセイは剪定しないで育てると、葉が密に茂ってしまい、株の内部まで日が当たらなかったり、風通しが悪くなって害虫がつきやすくなります。
しっかり剪定をして透かしてあげると、株の健康が促されて花付きが良くなったり、養分が樹木に集中して元気に生長するので、剪定は株の健康のためにも必要なのです。
キンモクセイは刈り込みに強く、いろいろな樹形で楽しむことができる樹木です。キンモクセイの剪定をするときは、理想の樹形をイメージしながら作業していきましょう。
もっとも一般的なのは「長玉作り」と呼ばれる円柱形の形をした樹形です。スペースをあまりとらないので庭木に向いています。
シンボルツリーとして庭で目立たせたいのであれば、玉物や杯型などの横幅や高さがある樹形もおすすめです。
キンモクセイを剪定するときは、次の道具を用意しておきましょう。
剪定バサミは細かい枝を切る時に使用し、樹木の外側を整える場合は刈り込みバサミを用います。剪定ノコギリは、太い枝を剪定する時に使用します。その他、ハサミには植木バサミや高枝切りバサミなどの種類があるので、用途によって使い分けましょう。
まずはキンモクセイの剪定の手順をご紹介します。
上記のとおり、どの樹形でも基本的には失敗を避けるためにも「①刈り込み」→「②透かし剪定」→「③強剪定」の手順で剪定していきます。
とくに難しい作業ではないですが、ひとつひとつの手順にコツがあるので、詳しくご紹介します。
刈り込みとは、高さや幅、形を整えるために、枝葉を刈り込みバサミで切りそろえる作業のことです。刈り込みをすると見た目が整うほか、新芽がそろって葉が密集しやすくなります。
刈り込みは感覚でやると面がガタガタになり不恰好になります。必ず刈り込みをする前に、前年刈り込んだラインを確認するか、理想の樹形を決めておおよそのラインの目星をつけておきましょう。
刈り込みする深さは、枝の先端2~3節程度にしておきましょう。そうすることで、4月以降に花芽が付きやすくなります。
また、植物には頂芽優勢という株の頂部ほどよく育つ性質があるので、やや円錐形になるように刈り込むと、秋頃に美しい円柱形の樹形になります。
刈り込みバサミを使うときは、必ず片側の刃だけを動かすようにしましょう。たとえば右利きであれば左手は動かさず、右手だけを上下させて切っていきます。こうすることでぶれることなく、美しく水平に仕立てられます。
また、刈り込みバサミには表と裏があり、刃の反りが手前側に向くように使う表使いでは、直線的な面をつくるのに向いています。反対の裏使いでは丸みのある面をつくるのに向いているので、側面や天面を刈るときは使い分けるといいです。
透かし剪定とは、不要枝を根元から切って二度と生えなくさせる剪定です。風通しをよくしたり、適切に養分を供給できるようになるので、株の健康にもつながります。枝が少なくなることで光合成が活発に行われ、生長しやすくなります。
透かし剪定は剪定バサミや剪定ノコギリを使って、株の内側から切っていきます。
透かし剪定は不要な枝を二度と生やさないようにする剪定なので、必ず根元から切り落とすことが失敗しないコツです。節や成長点を残して中途半端に切ってしまうと、再び勢いの強い枝が伸びてきてしまうので注意しましょう。
不要枝を切るときは、株に対して水平というよりも、切り口が最小になるように若干角度を付けて切り落とすといいです。
透かし剪定では、枝葉が密集している部分の他、下記のような不要枝と呼ばれる枝を根本から切るようにします。
強剪定とは、太めの枝を途中で切り戻す剪定のことです。強剪定をすると、樹形をコントロールできたり、樹高を押さえて小さく育てることができます。
また、切り戻した枝の切り口付近から枝が分岐するので、株の内部がよく茂って育ちます。株の内部が充実すると、より小さく仕立てられるようになったり、より花付きもよくなりますよ。
とはいえ、キンモクセイは一度に深く強剪定してしまうと、枝枯れをしてしまったり株にダメージを与えてしまうので、むやみに行う剪定ではありません。樹高を低くしたい、樹形を大幅に整えたいという場合は、3〜5年かけて強剪定を繰り返し、調整していきましょう。
刈り込みラインを大幅に飛び出し、樹形を乱す勢いの強い枝があれば、刈り込みラインの内部で切りましょう。あまり浅い位置で切ると翌年すぐに乱れてしまうので、3分の2程度の長さになるように剪定しておくといいです。
キンモクセイの樹高を抑えたい場合は、中心となる枝(主枝)を剪定ノコギリで切り戻していきます。このとき、枝分かれした部分の少し上で切ると、剪定後、枝分かれした枝がよく伸びていきます。
樹木を剪定した後は、枝の切り口に癒合剤を塗ることで防腐効果や防水効果があります。
剪定後に花付きが悪い場合は、不要枝が剪定されているかもう一度確認しましょう。とくに強く上の方に伸びている枝は切り落とし、枝が横に伸びるようにすることで枝数が増えて花付きも良くなります。
丸坊主とは、葉をひとつも残さずに枝だけの状態に剪定することですが、キンモクセイを丸坊主に剪定するのはNGです!
キンモクセイは葉がないところまで刈り込んだり、切り戻してしまうと枝枯れを起こしやすく、そのまま枯れてしまうことがあります。
株を一気に小さくしたいときや、樹形が乱れてしまうと、丸坊主にしてリセットしたくなるかもしれませんが、絶対に控えてください。
キンモクセイの剪定で失敗しないコツは下記の3つです。
小高木のキンモクセイは剪定が難しいと思われる方もいると思いますが、上記のポイントを押さえれば決して難しくありません。限られたスペースのお庭などで育てると、定期的な剪定作業は必要になります。
自分で剪定する時は、公園や里山など植木屋さんが剪定された樹木を参考にすると良いでしょう。剪定に自信がないという方や、あまりにも大きくなりすぎた金木犀は、怪我の恐れもあるので業者に依頼して剪定してもらうようにしましょう。
秋の時期に綺麗なキンモクセイの花を観賞するためにも、適切な時期に剪定してぜひともキンモクセイの花を楽しみましょう。
松原真理子
GreenSnap編集部