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オリーブの剪定を徹底図解!時期はいつ?形が悪い木はどう切る?強剪定の頻度は?【仕立て方の実例つき】

平和の象徴ともされるオリーブの木は、地中海沿岸部が原産の常緑高木です。その見た目と生命力の強さから、シンボルツリーとして長年人気を得ています。寒さに強く、ほとんどの品種で-10℃ほどまで耐えられるので、地植えにして庭で育てたり、鉢植えで育てるなど、庭木としても室内葉の観葉植物としても人気があります。

今回は、そんなオリーブの木を育てる上では欠かせない、剪定の方法についてイラストを用いながら詳しくご紹介します。

オリーブの木は、剪定しないとどのくらい大きくなる?


▲樹高5mにもなるオリーブの木

オリーブは自生地の地中海沿岸部では、最大で樹高10mほどまで伸びることもあるほど、生育旺盛な樹木です。

日本で育てる場合も、オリーブの成長スピードはとても早く、地植えにすれば年間約50cmほど、鉢植えでも約20〜30cmほど伸びていくといわれています。

上の写真は、日本の一般地で地植えにして育てているそうですが、樹高は5mほどにもなるようです。

オリーブは理想の樹形を思い浮かべながら適度に剪定をしていかないと、このようにあっという間に上に横にと成長していくので注意してくださいね。

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松原真理子
品種によっても乱れやすい樹形、比較的自然に整いやすい樹形などの性質があります。成長スピードにも多少差が出ますので植え付けを検討されている方は、調べてみてくださいね。

オリーブを剪定する3つのメリット・目的

オリーブの木の高さを抑えられる

先述したように、オリーブは成長スピードが早いのであっというまにぐんぐんと上に伸び、管理しきれない高さまで育ってしまうことがあります。

とくに、地植えにするとどんどん大きくなっていくので、オリーブを大きくしたくない方は、剪定をして2〜3m程度の樹高を保つのが理想です。

ひょろひょろと長いだけの樹形を整えられる

とくにオリーブの苗木にありがちなのですが、樹形の基礎ができていないオリーブは枝分かれせずにひょろひょろと上にだけ伸びていってしまいます。

剪定をすることで枝が分岐して樹形が整っていくので、1〜5年生の苗はとくに樹形づくりをメインとした剪定をする必要があるのです。

風通しが良くなり病害虫の予防になる

オリーブは生育旺盛な一方で、適度に剪定しないと葉が茂りすぎて風通しが悪くなることがあります。そうなると株が群れて病害虫の被害に遭いやすくなったり、日に当たらない葉が弱り落ちて不恰好な姿になることも。

定期的に剪定をしてオリーブの木を健康に育ててあげましょう。

オリーブの剪定時期はいつがベスト?

オリーブの剪定時期は2月中旬〜3月中旬の早春が適期です。

オリーブは平均気温が15℃ほどになる春の時期に花芽をつけ始め、初夏ごろに花を咲かせます。

そのため、花芽がつく前に剪定をすることで、花芽を誤って剪定してしまうというミスが防げるので、結果的に花つき・実つきがよくなります。

また、この時期はちょうど休眠期から覚めるタイミングで、春から秋まで生育期になるので、強く剪定しても育成に影響がでにくいです。

なお、基本的には年に一度、春の時期に剪定を済ませますが、樹形があまりにも乱れて風通しが悪いようであれば、不要枝を落とす間引き剪定や、新梢の切り戻し剪定などは年間を通して行うこともあります。

【基本】オリーブの剪定の仕方

不要な枝を切ってから切り戻しする

オリーブの剪定はつくりたい樹形をイメージしてから、下記の手順で切っていきましょう。

  1. 間引き剪定 → 不要な枝を切り落とす。
  2. 切り戻し強剪定→ 理想の樹形になるように枝を切り戻す。
  3. 切り戻し弱剪定→ 樹形を乱す枝を浅く切り戻す。

切る枝の量を調整する

オリーブの剪定では、最終的に下記のようなイメージになるように切っていきましょう。

  • 小鳥が通り抜けられる程度
  • 木の向こう側が透けて見える程度
  • 株の内側のほうまで日光が入る程度

具体的に5年生以上の成木であれば全体の3割、それ以下の苗木の場合は全体の1割ほどの不要枝を切るのが目安です。

切りすぎてもその後の回復が遅くなったり、逆に切らなすぎても株が蒸れてしまう原因になるので、適度に枝葉の量を減らしてください。

3つの剪定を使い分ける

そもそも剪定と一口にいっても、枝を切る位置やねらいによって、大きく「間引き剪定」と「切り戻し剪定」に分けられます。また、さらに切り戻し剪定には枝を切る深さによって「強剪定」と「弱剪定」に分けられます。

それぞれの剪定を行う目的は異なるため、オリーブの剪定では上記の3つの剪定方法を使いわけてお手入れします。小難しく聞こえるかもしれませんが、とくに難しいことはないので安心してください。

なお、切るべき枝や枝を切る位置については、後項で詳しくご説明していきます。

オリーブの剪定方法① 間引き剪定

間引き剪定とは、不要枝を根元から切ることで株全体の枝数を減らす剪定のことです。透かしと呼ばれることもあります。

目的

間引き剪定をすることで風通しがよくなり、株全体に日がよく当たるようになります。つまり、間引き剪定はオリーブの木を健康に保つことができるのです

不要な枝の切り方

オリーブ 間引き剪定 切る位置 太い枝の切り方 イラスト

間引き剪定で枝を切る位置は、分岐している根元ぎりぎりのところです。

間引き剪定では切ったあとに同じ場所から萌芽しないように、必ず成長点を残さずに剪定していきます。切り口が最小になるよう角度をつけて、なおかつできるだけ根元から切るようにしていきましょう。

もし枝を中途半端に残して切ってしまった場合、さらに枝が分岐して増えてしまったり、残した部分が枯れ混んで健康的にも見栄え的にも悪くなってしまうので気をつけましょう。

また、枝の直径3cmを超えるような太い枝を切るときは、ノコギリを使って下記のような手順で枝を切りましょう。

  1. 枝の分岐部分から3〜4cm離れた位置で下から切り込みをいれる。
  2. 最初の切れ込みからさらに枝の先端側2cmほど隣の位置で、上から枝を切り落とす。
  3. 切り口が最小になるように角度をつけて、根元で切り直す。

このような手順で切ることで、枝の重みで途中で枝が裂けてしまっても、①の下からの切れ込み部分で止まるので、幹を傷つけないですみます。

不要枝の見分け方

オリーブ 間引き剪定 不要枝の種類 イラスト

不要枝とは、下記のような枝のことをいいます。

  • 内向枝:株の内側に向かって伸びる枝
  • 絡み枝:幹に巻き付くように伸びる枝
  • 交差枝:他の枝と交差して重なるように生えた枝
  • 下垂枝:地面に向かって下向きに伸びる枝 (逆さ枝)
  • 車枝:1箇所から枝が3つ以上分岐している枝
  • ひこばえ:株元の地面から伸びる枝
  • 平行枝:他の枝と近い位置で平行して生え、日当たりを妨げる枝
  • 徒長枝:上に向かって他の枝より突出して強く伸びる枝

なお、オリーブの間引き剪定では平行枝・徒長枝については、ほかの不要枝を切って透かす量にまだ余裕があるようなら間引くようにしましょう。無理に減らす必要はないので、樹形をみながら切ってください。

また、樹形の頂点部分で分岐して、主幹の枝と競うように伸びている枝(立ち枝)があれば、どちらか1本を残して剪定しておきましょう。

オリーブの剪定② 切り戻し剪定(強剪定)

間引き剪定が終わったら、次は切り戻し剪定です。切り戻し剪定をすることで樹形をつくることができます。

なかでも強剪定とは、枝を深めに切り戻しする方法のことをいいます。

そもそも「切り戻し剪定」とは、枝を途中で切ってその下の脇芽に栄養を与えるようにし、枝を分岐させる剪定のことをいいます。

目的

強剪定で枝を切ると、元々あった長い枝を生かすためのエネルギーが行き場を失って、切り口の下の芽に回るようになります。

すると、結果的に切り口の下の芽から勢いよく新しい枝が伸びていき早く太く育つので、樹形の骨格となるような枝をつくることができます

切るべき枝・切り方

強剪定では、その後の樹形をイメージして枝を切ることが大切です。

株を遠くから見つめて未来の樹形・骨格を想像しながら、樹形を伸ばしたい方向の近くにある枝を選んで、芽の上5mmのところで切り戻ししましょう。

ただし、あまり強剪定で切り戻しする枝が多すぎると、樹形の風情が失われて不恰好になるほか、一気に勢いよく枝が増えるので乱れやすくなります。

そのため、強剪定をするのは5年生以降の成木であっても2〜3本にとどめ、1回の剪定で50cm以上は切らないようにしてください。

一気に強剪定するのではなく、数年かけて目指したい樹形に近づけていくといいでしょう。

オリーブの剪定③ 切り戻し剪定(弱剪定)

強剪定が終わったら、最後に弱剪定をして微調整しましょう。

弱剪定とは枝を浅めに切り戻す剪定のことで、強剪定とは反対に、切り口の下の芽から細めの枝が分岐して伸びていきます。

目的

強剪定によって樹形の骨格ができたら、弱剪定を行って樹形に肉づけをしていきます

切るべき枝・切り方

弱剪定で切るべき枝は、不要だけれども残すことになった平行枝や徒長枝です。

とはいえ、あまり深く考えずに、全体の樹形を乱すような枝や、20cm以上の長い枝の先端を3分の1ほど切り落とします。強剪定と同じく、芽の上5mmのところで切りましょう。

ときおり樹形を遠くから眺め直して、微調整するようなイメージで切るといいですよ。

オリーブの剪定の仕方は、品種によって変えるべき?

オリーブは品種によって上にスリムに伸びる「直立型」と、横に広がる「開帳型」の2タイプの樹勢があります。

それぞれの代表品種については、こちらの記事を参考にしてください。

どちらも基本の剪定方法は変わりませんが、直立型の場合は高さを抑える剪定を、開帳型の場合は枝の切り替えと切り戻しで整えることを意識して剪定するといいでしょう。

直立型オリーブは「高さを抑える剪定」

オリーブの高さを抑えたい場合は、主幹を思いっきり切り戻しする必要があります。理想の高さの近くにある主枝の3〜5cmほど上で、ノコギリを使って切りましょう。

その後は切り口の主枝がよく伸びるようになるので、翌年あたりに主枝を切り戻して高さを保つといいですよ。

開帳型オリーブは「横への広がりを抑える剪定」

オリーブが横に広がるのを抑えるには、枝の切り替えをするか、強めに切り戻しをしましょう。

枝の切り替えとは、主枝からさらに分岐して伸びる亜種があれば、上に伸びるほうの枝を残して分岐部分で切る方法です。

こうすることで、成長エネルギーを上に伸びる枝に切り替えられるのでスリムな樹形づくりができます。

また、横に伸びる枝を強剪定すると、翌年には強剪定した部分から分岐して枝が伸びているはずなので、上向きの枝だけ残すように剪定しながら管理していけば問題ありません。

オリーブの木を剪定し終わったらどうする?

オリーブを剪定し終わったら、切り口には癒合剤を塗っておきましょう。余計な水分の侵入や樹皮の乾燥を抑え、病害虫を予防する効果があるので、とくに太い枝を切ったときは必ず塗布してください。

置き場所や水やりの頻度はとくに変えなくても大丈夫です。

オリーブが苗木の間(1〜4年目)は、年数によっても剪定の仕方が異なる!

オリーブ 剪定 樹形づくり

オリーブの剪定は「1〜4年生の若木」と「それ以降の成木」では、剪定の方法が異なります。

これまでは成木のオリーブの剪定方法をご紹介しましたが、ここからはオリーブの苗木の剪定についてご紹介していきます。

若木(苗1〜4年生)のオリーブの剪定は樹形の骨格をつくる、とても大事な剪定になります。枝がバランスよく配置されるように数年かけて樹形づくりをしていきましょう。

また、オリーブは樹形のパターンがいくつかあり、どこで幹を分岐させるかで樹形のイメージもかなり変わります。オリーブを剪定するときは、理想の樹形を思い浮かべながら剪定しくといいですよ。

1年目の剪定

主幹を思いっきり切り戻します。切り戻す位置は地上から40〜60cmのところがおすすめですが、次項の理想の樹形に合わせて切り戻す位置は変えましょう。切り戻した部分から主枝(主幹から分岐する枝)が伸びてくるので、イメージしながら切ってください。

2〜3年目の剪定

主枝候補の枝を4〜5本残して、あとは切り落としてください。基本的には株を真上から見たときに360°に枝の広がりが分散するようなイメージで枝を残していきます。

また、一般的には第一主枝の分岐角度が50〜60°、第二主枝45°、第三主枝40°程度が理想的とされています。下の主枝から上にいくにつれて角度が狭まるようにすればいいです。

また、この時期に麻紐などで誘引して角度を変え、理想の樹形に仕立てていくことも可能です。

切り落とすものと残すものを判断するコツは、下記のとおりですが、心配であれば残して翌年に切り落としてもいいでしょう。

  • 主幹から生える主枝候補のうち、分岐角度が狭いものは切る。
  • 地面に近すぎる主枝候補は切る。
  • 主枝候補と主枝候補の間隔が近いものは細いほうを切る。

4年目の剪定

主枝3〜4本を残して、それ以外の枝は間引いてください。主枝の先端は3分の1くらいの短さになるよう切り戻し剪定をしましょう。収穫を楽しみたい場合は新梢を多く残してください。

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松原真理子
基本的にオリーブの実がつくのは、その年の春〜夏に伸びた枝になります。その枝を剪定してしまうとオリーブの実が成らないので注意しましょう。

【実例】オリーブの樹形の仕立て方

ナチュラルなひし形の樹形

オリーブの樹形は、鉢を含めて、ひし形になるように剪定していくと、ナチュラル感のある雰囲気を楽しむことができます。

鉢植えなら好みの高さで、地植えなら30cmほどの位置で主幹を切り戻して樹形作りをしていきます。翌年は主枝を4本ほどに整えて、左右交互になるように配置するのがポイントで、麻紐で左右に開くよう誘引しながら形作るといいでしょう。

スタンダード仕立て

株の下の枝を伸ばさずに切り落とし、株の上の方をこんもりと茂らせた、トピアリーのようなデザインです。主幹がある程度まで伸びたら地上60〜90cmほどの高めの位置で切り落とし、主枝に分岐させて、株上部のボリュームを作っていきます。

シンボルツリー向きの細めひし形樹形

庭木のシンボルツリーとして、樹高2〜3mほどで楽しむスタイルです。苗木一年目は主幹を60〜90cmのところで切り戻し、3〜4年目はひし形になるよう、バランスよく剪定していきましょう。上へ上へと成長していくので、10〜14年の間に、主幹を2段階にわけて短く切り戻してください。

収穫しやすい逆三角樹形

低い位置で主枝を分岐させ、逆三角形のように茂らせるスタイルです。斜めに仕立てるため、花芽がつきやすく、管理もしやすいので収穫にも適しています。苗木一年目は主幹を地上30cmのところで切り戻してください。その後は斜めに伸びる主枝の側枝を切り戻してください。

形が悪いひょろひょろのオリーブの木は、仕立て直そう!

オリーブは枝が細く長くひょろひょろとした姿で成長していってしまう場合があります。

苗木1〜4年程度では一般的ですが、成木になっても株に太さが出ない場合は、高さを抑えるように頂部の主幹を思い切って切り戻すといいでしょう

枝を短くすると、そのまま枯れるのではと心配になるかもしれません。しかし、オリーブはかなり丈夫な植物なので、その切り口の下から分岐して枝が伸びていきます。

あとは、前の項目で説明したような手順で樹形の骨格をつくっていきましょう。

そのままひょろひょろと高さだけが出てしまうと、根が支えきれなくなる可能性があります。場合によっては、支柱などを挿して風の抵抗に負けないよう支えてあげてください。

オリーブの剪定した枝は、挿し木にして増やすこともできる!

オリーブの剪定ででた不要枝は、挿し木にして増やすこともできます。その際は一芽ついた新梢を選ぶようにしましょう。

オリーブの剪定のコツを抑えよう!

海外には樹齢2000年にも達するオリーブの木がある通り、オリーブはとても強健で、うまく育てればわたしたち人間よりはるかに長生きする果樹です。

剪定を制すもの、オリーブを制すとまで言われるほど、剪定はオリーブ にとって、とても大事なメンテナンスなのでしっかり剪定のコツを覚えて、長くオリーブの栽培を楽しんでくださいね。

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松原真理子
オリーブは葉っぱの裏がシルバーで軽さのある雰囲気の常緑樹なので、おしゃれな庭木として人気です。ぜひお庭に植えて楽しんでみてください。
実の収穫を目的とする場合には、異品種で2本植えておくと実の付きが良くなりますよ。

この記事を監修した人

松原真理子

haco garden design 主催。大阪芸術大学環境デザイン学科卒業。 住宅設計の仕事を経て関西・中部圏でガーデンプランナーとして活動。現在は鹿児島県在住。 「庭のある暮らし」「植物のある暮らし」を提案。全国のガーデンのデザイン~施工メンテナンス、 花育活動を行う。一級造園施工管理技士・一級土木施工管理技士
Web:https://lit.link/hacogardendesign

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