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睡蓮は、水面からのぞく大きな花が特徴的な水生植物です。一般的な草花の育て方とは違い、土と水を準備する必要がありますが、育て方自体はそれほど難易度が高いわけではありません。ただし、睡蓮には温帯睡蓮と熱帯睡蓮の2種類がありそれぞれで少し育て方が異なります。今回は、そんな睡蓮の育て方をご紹介します。
睡蓮を育てるには、鉢と土のほか、貯め水も必要となります。土を入れて株を植え付ける内鉢と、水をためる睡蓮鉢を用意し、内鉢ごと睡蓮鉢に沈めて育てます。
睡蓮は肥沃で粘り気の強い粘土質の土を好むため、普通の園芸用土よりも、市販の睡蓮専用の土や水生植物の土、または田んぼの土や赤玉土(小粒)がおすすめです。
もし赤玉土があれば、水を加えながら手でこねて粘土状にするとなおいいでしょう。
睡蓮の苗を植える時期は、温帯睡蓮なら4〜5月、熱帯睡蓮なら6月頃です。
温帯睡蓮を植えるときは、6〜7号の浅めの内鉢(底穴なし)と、直径40cm以上の大きめの睡蓮鉢を用意してください。熱帯睡蓮を植えるときは5〜6号の浅めの内鉢と、直径20cm以上の睡蓮鉢を用意しましょう。
睡蓮の植え替え時期も、植え付け同様に温帯睡蓮なら4〜5月、熱帯睡蓮なら6月頃です。
温帯睡蓮は成長が早く、根詰まりしやすいので、必ず1年毎に植え替えましょう。熱帯睡蓮も冬越しのため掘り上げるので、毎年植え替えることになります。
睡蓮鉢は午前中に日がよく当たる、半日陰に置きましょう。株元までしっかり日が届く場所がおすすめです。
夏の直射日光や午後の暑い時間帯に強い日差しを浴びると、茹って枯れる場合があるので気をつけてください。
睡蓮は水やりというより、水位に注意を払いましょう。水位が下がったら、水道水を足します。とくに開花時、夏場は水が減りやすいので気を付けてください。
また、水が汚れて濁ってしまうと、日光が株元に当たらなくなるので、藻が発生する前にこまめに水替えをしましょう。
水替えは水温の急変動を防ぐため、2分の1か3分の1の水を替えるにとどめてください。春や秋は替え用の水をバケツなどにくみ、一日放置しておくと、水温差がなくなります。
睡蓮は生育期中に肥料効果が続くように追肥します。生育期は、温帯睡蓮なら3~9月頃、熱帯睡蓮なら6~10月頃です。
肥料は緩効性化成肥料を使いましょう。製品によって効果持続期間が異なるので注意してください。2ヶ月持続する肥料なら、生育期間中2ヶ月に1回追肥します。
肥料を与えるときは、一度内鉢を取り出して、株元から離れた土の中に適量埋め込みます。水に溶けてしまうと生育障害が起きるので、しっかり埋めましょう。
元肥にマグァンプKなどの1年効果が続く肥料を使った場合は追肥しなくても大丈夫です。もし葉の色が全体的に薄くなってきていれば追肥してください。
睡蓮がかかりやすい病気は特にありませんが、アブラムシやボウフラなどの害虫には注意が必要です。
アブラムシ:新芽や葉裏に寄生して、汁液を吸います。また、ウイルス病を媒介する間接被害にも注意が必要です。一匹一匹は小さく、被害も小さいのですが、なにせ繁殖力が旺盛で、大量発生すると大きな被害にあいます。なるべく早めに発見し、取り除くか、殺虫剤を散布して駆除しましょう。
ただ、睡蓮と一緒に金魚やメダカを育てている場合には、殺虫剤の使用には注意が必要です。殺虫剤の注意事項をよく読み、金魚やメダカがいても使えるのかを確認してください。もし使えない場合は、アブラムシ駆除する間の数日間は、金魚やメダカを一時、別容器に避難させ、水替えをしたあと、戻しましょう。
ボウフラ:ボウフラは蚊の幼虫で、水たまりがあると発生しやすい害虫です。睡蓮には被害がないものの、私たち人間にとって蚊は害虫になります。殺虫剤を使って駆除するか、金魚やメダカを一緒に飼う事で予防することができます。
睡蓮の花は秋頃に開花時期を終えますが、まず傷んだ葉や咲き終わった花がらはこまめに取り除きましょう。
水が汚れるのを防ぐのと同時に、傷んだ葉や咲き終わった花に、無駄な養分を吸い取られないようにしましょう。まめに葉摘み・花がら摘みした方が、花付きがよくなります。
その後の冬越しの仕方については、温帯睡蓮と熱帯睡蓮で耐寒性が異なるため、管理方法も異なるのでご注意ください。
温帯睡蓮 | 耐寒性が高く、水面が凍る程度なら、植えたまま冬越しできる。成長が早いので大きな内鉢と睡蓮鉢か池が必要。 |
熱帯睡蓮 | 耐寒性が低いので冬は掘り上げて室内で冬越しする。比較的小さな内鉢・睡蓮鉢でも育てることができる。 |
温帯睡蓮の場合は、水面に薄氷がはる程度ならそのまま冬越しできます。根茎が凍ってしまうような寒さであれば球根を掘り上げましょう。
一方、熱帯睡蓮の場合は、寒さに弱いので球根を掘り上げて冬越しします。球根を掘り上げるときは、10月頃から休眠の準備をさせてください。水深を徐々に減らして、内鉢の株元が水面に出るくらいまで水位を落とします。
新芽が出てこなくなったら休眠している証拠なので、内鉢から掘り上げて、根を全て切り落として水を入れたコップに球根を沈め、暖かい室内の窓辺に春まで置いておきます。
芽が増え、根が鉢にまわってしまったら、株分けのタイミングです。植え替えと一緒に4〜6月頃に行いましょう。1株に1芽になるように土を落として塊根を切り分けます。塊根から出ている根は切り取りましょう。切り分けた株は、1鉢に1株ずつ植え付けます。
ムカゴ種であれば、ムカゴで増やせます。ムカゴとは葉の中心部にでてくる芽の一種で、この芽が育ち株になるのです。ムカゴができる品種とできない品種があるため、ムカゴ種限定の増やし方になります。
ムカゴがでてきた元気な葉を切り、裏返して水に浸けてください。やがて発根し、芽と根が成長したら、葉の部分は取り除いて植え付けます。
睡蓮の育て方や増やし方、種類などについてご紹介しました。公園や庭園の池や沼地などでしか見かけることがなく、大きな池でもなければ、ご家庭では育てられないイメージの睡蓮ですが、それほど難易度が高い植物ではありません。
新芽が出てくる春頃になったら植え替えをし、根が詰まっているようであれば同時に株分けしてあげましょう。
品種により、白や赤、ピンク、黄色、紫など色とりどりの花を楽しむことができるのも魅力の1つです。また、一緒に金魚やメダカを飼えば、さらにいい雰囲気の空間になりますよ。
夏の暑い時期に身近に水を感じられる空間があると、涼を感じられて良いですね。一緒にメダカを飼うことで子供たちも興味を持ってくれるでしょう。ぜひ睡蓮を育ててみてください。
松原真理子
GreenSnap編集部