ビックリグミの木。

初めてこの名前を聞いた時、私は小学生だった。
学校の帰り道に、同級生たちと帰るその道すがらに、大きなグミの木があった。
大きな赤い実がたくさんぶら下がっていて、太陽の光に照らされたそれは宝石みたいに透けてキラキラしていたのが印象的だった。

そのおうちのおばあちゃんが、いつも私たち、小学生が帰る時間に、ニコニコしながら庭先に出てきて見守ってくれていた。

「おばあちゃん、この赤い実、なんなん？」

「それはグミや。びっくりグミっていうんやで。」

「びっくり？！ほんまに？！」

「ホンマや。ほら、ビックリするくらい大きな実がなっとるやろ？」

「えーーーーーーー…」

正直、そのおばあちゃんの冗談だと思っていた。
小学生相手に、少しからかっているのかな、と。

いつものようにグミの実をたくさんもらって、みんなで食べながらの帰り道。
みんな、私と同じでおばあちゃんの話はあまり信じていなかった。

まぁ、名前がなんだろうと美味しいオヤツを手に入れたのだから、あまりこだわることなく、ただの笑い話のひとつ。
分岐路でみんなにバイバイして、家に帰ってお母さんにグミの実を見せた。

「お母さん、これ、ビックリするくらい大きな実がなるからビックリグミって言うんやって、〇〇のおばあちゃんが言うとったけど、ほんまなん？」

お母さんが作った美味しいおやつを食べながら、再び母にその件を尋ねると、母は可笑しそうに笑って答えてくれた。

「ホンマやで。冗談みたいな名前やろ？お母さんもそう思とったけど、ホンマらしいで。」

さすがにそこまで言われてしまうと、それが本当の話だったと理解した。
同時にちょっと、おばあちゃんに申し訳なく思った。


この家に越してきた時、このpicのグミの木を見て、そんな思い出がよみがえった。

今年もたくさんの花をつけて、きっとたくさん実がなるだろう。

娘がいまだに楽しみにしている赤い実を、今年も家族みんなで待っている。