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so.ra
2021/02/15
【瑠璃の冬の物語】その4
権蔵の家についた瑠璃は、何とか赤ん坊に乳を分けてもらえないかと、一生懸命頼んだ。
けれども、瑠璃の抱く赤ん坊をちらっと見るなり、梅は背中を向けた。
『こっちも自分の子どもに乳をやるだけで精一杯なのに、何であんたの子にまで乳をやらなきゃならないの。とっととお帰り』
権蔵はいろりにあたりながら、知らん顔で、にやにやと二人のやり取りを楽しんでる風だった。
『本当にその通りです。ただでお願いしようなど、思ってません。』
瑠璃は懐から観音様を取りだして、包みを開きながら必死に頼んだ。『これは代々伝わるうちの家宝の観音様です。これがお礼の品です。どうぞお乳を分けてください』
梅は、金の観音様の像を見るなり、瑠璃の手から奪い取るようにして手にとると『なんだい、それならそうと早く言えばいいものを。そりゃあ、私も鬼じゃないからね。少しぐらいなら、分けてやらんでもないよ』
その時、ふたりのやり取りを聞いていた権蔵が、ここぞとばかり口を開いた。
『おい待て!それだけで、乳をもらえると思ってもらっては困るな。こいつがあんたの赤ん坊に乳を飲ませてる間、お前は俺に抱かれるんだ。それが嫌なら、諦めて帰りな』
突然の権蔵の言葉に、瑠璃も梅も、驚いて権蔵の顔を見た。
権蔵は、前々から色白で姿の美しい瑠璃を何とかして手に入れたいと願っていた。子供の命を救うために、家宝まで手放そうと必死な瑠璃を見て、一か八か賭けよ、と企みを口にしたのだ。
瑠璃は唇を噛み締めて、震えていたがやがて、絞り出すようにかすれる声で言った。
『わかりました。よろしくお願いします』
いつも、瑠璃を苦々しく思っていた梅は、『あっはっはっは。ほんとかい。落ちぶれたもんだね、瑠璃さん』と高笑いして、瑠璃の抱いていた子を引ったくるようにして連れていった。
梅が去った部屋で、瑠璃は獣のように権蔵に抱かれたのだった。
やがて、梅が子供を連れて部屋に戻り、子供を受けとると、瑠璃はかすれる声で、『有り難うございました』と、お辞儀をすると、胸元をあわせてかけるように外に飛び出した。
子供を背負って夜道を歩く、瑠璃の頬を涙が止めどなく流れてくる。赤ん坊はなんにも知らず、背中でお乳をもらって、すやすやと気持ち良さそうに寝息をたてていた。
風の冷たい12月だったが、瑠璃は川縁に降りると着物を脱ぎ、脱いだ着物に赤ん坊をくるみ、所々氷がはって手の切れるような川の水で体を洗うのだった。
瑠璃がすっかり冷えた体をさすりながら家に帰ると、心配した弥彦と瑠璃の父さまが寝ずに待っていた。
『どうだ、無事に乳はもらえることになったか』
父さまが言った。
抱いていた赤ん坊を受けとると、弥彦が言った。
『すやすや気持ちよさげに寝ているなぁ。良かったなぁ、梅さんに乳を貰えたんだね。ご苦労様だったね。』そう言って瑠璃に笑顔を向けた。
青ざめた顔をしていた瑠璃は、やむなく家宝の観音様を渡したことを話した。そして、しばらく躊躇ったあと、権蔵に抱かれたことを話した。
『なんてやつだ!鬼のような所業を!!』
父さまは握りこぶしをわなわなと震わせながら言った。
弥彦の顔からは笑いが消え、一言も語らずにふいと立ち上がるとそのまま布団に入ってしまった。
家の戸をガタガタと鳴らして風が吹いていく。遠くでピューピューと風が唸る。
3人はそれぞれの胸のうちに、込み上げる思いで眠れずに風の音を聞きながら一夜を過ごしたのだった。
続く
🌸よろしかったら、物語の一話【瑠璃の物語】二話【瑠璃の冬の物語】は下のタグからご覧下さいね。
鳥さん
2021/02/16
子どものためなら何でもやるという気持ちは痛いほど分かるけれど、弥彦は許してくれるかなぁ…
いいね
1
返信
so.ra
2021/02/19
@鳥さん
さん
自分ならどんな選択をするだろうか、梅さんや権蔵にどう対応するだろうか、愛する可愛い我が子が死んでしまうかも知れない、その事の前にどんな選択があるだろうか、そんなことを、私も物語を書きながら、考えました。
瑠璃は強いけれど、強いことは、同じくらいにとても弱く脆いことだと思っています。そんな瑠璃の心を弥彦にわかってもらえてるかな?とか。
自分の心だけに囚われていると、見えないものに、いつ気づくだろうか。
夫婦の心のすれ違いを、どうやって乗り越えるのかな?そんなことを考えながら書きました。
いいね
1
返信
鳥さん
2021/02/20
@so.ra
どうか投げやりにならずに運命に打ち勝って欲しいです。応援しています。
いいね
1
返信
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so.ra
大切なものを 預かっているよ いつでも取りに戻っておいで💖 たくさんの陽だまりの花たちと あなたをお待ちしています😊🍀 2021年12月14日 わたしの詩を、書きとめていただいて、とっても嬉しくて、今日から作家ですと名乗ることにしました🤗みんなに愛と勇気と癒しを贈る人になれるよう頑張ります😊
場所
お出かけ先
キーワード
sora の物語
瑠璃の冬の物語
植物
ツワブキ
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権蔵の家についた瑠璃は、何とか赤ん坊に乳を分けてもらえないかと、一生懸命頼んだ。
けれども、瑠璃の抱く赤ん坊をちらっと見るなり、梅は背中を向けた。
『こっちも自分の子どもに乳をやるだけで精一杯なのに、何であんたの子にまで乳をやらなきゃならないの。とっととお帰り』
権蔵はいろりにあたりながら、知らん顔で、にやにやと二人のやり取りを楽しんでる風だった。
『本当にその通りです。ただでお願いしようなど、思ってません。』
瑠璃は懐から観音様を取りだして、包みを開きながら必死に頼んだ。『これは代々伝わるうちの家宝の観音様です。これがお礼の品です。どうぞお乳を分けてください』
梅は、金の観音様の像を見るなり、瑠璃の手から奪い取るようにして手にとると『なんだい、それならそうと早く言えばいいものを。そりゃあ、私も鬼じゃないからね。少しぐらいなら、分けてやらんでもないよ』
その時、ふたりのやり取りを聞いていた権蔵が、ここぞとばかり口を開いた。
『おい待て!それだけで、乳をもらえると思ってもらっては困るな。こいつがあんたの赤ん坊に乳を飲ませてる間、お前は俺に抱かれるんだ。それが嫌なら、諦めて帰りな』
突然の権蔵の言葉に、瑠璃も梅も、驚いて権蔵の顔を見た。
権蔵は、前々から色白で姿の美しい瑠璃を何とかして手に入れたいと願っていた。子供の命を救うために、家宝まで手放そうと必死な瑠璃を見て、一か八か賭けよ、と企みを口にしたのだ。
瑠璃は唇を噛み締めて、震えていたがやがて、絞り出すようにかすれる声で言った。
『わかりました。よろしくお願いします』
いつも、瑠璃を苦々しく思っていた梅は、『あっはっはっは。ほんとかい。落ちぶれたもんだね、瑠璃さん』と高笑いして、瑠璃の抱いていた子を引ったくるようにして連れていった。
梅が去った部屋で、瑠璃は獣のように権蔵に抱かれたのだった。
やがて、梅が子供を連れて部屋に戻り、子供を受けとると、瑠璃はかすれる声で、『有り難うございました』と、お辞儀をすると、胸元をあわせてかけるように外に飛び出した。
子供を背負って夜道を歩く、瑠璃の頬を涙が止めどなく流れてくる。赤ん坊はなんにも知らず、背中でお乳をもらって、すやすやと気持ち良さそうに寝息をたてていた。
風の冷たい12月だったが、瑠璃は川縁に降りると着物を脱ぎ、脱いだ着物に赤ん坊をくるみ、所々氷がはって手の切れるような川の水で体を洗うのだった。
瑠璃がすっかり冷えた体をさすりながら家に帰ると、心配した弥彦と瑠璃の父さまが寝ずに待っていた。
『どうだ、無事に乳はもらえることになったか』
父さまが言った。
抱いていた赤ん坊を受けとると、弥彦が言った。
『すやすや気持ちよさげに寝ているなぁ。良かったなぁ、梅さんに乳を貰えたんだね。ご苦労様だったね。』そう言って瑠璃に笑顔を向けた。
青ざめた顔をしていた瑠璃は、やむなく家宝の観音様を渡したことを話した。そして、しばらく躊躇ったあと、権蔵に抱かれたことを話した。
『なんてやつだ!鬼のような所業を!!』
父さまは握りこぶしをわなわなと震わせながら言った。
弥彦の顔からは笑いが消え、一言も語らずにふいと立ち上がるとそのまま布団に入ってしまった。
家の戸をガタガタと鳴らして風が吹いていく。遠くでピューピューと風が唸る。
3人はそれぞれの胸のうちに、込み上げる思いで眠れずに風の音を聞きながら一夜を過ごしたのだった。
続く
🌸よろしかったら、物語の一話【瑠璃の物語】二話【瑠璃の冬の物語】は下のタグからご覧下さいね。