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ポピーはモルヒネの原料となる成分を採取できるケシと似ていて、ケシは日本では栽培を禁止されていますが、その園芸品種であるポピーに危険性はなく、春から初夏を彩る花として愛されています。
この記事ではポピーの育て方や、種まき・種取りなどについてご紹介します。
ポピーを育てるときは、日当たりの良い場所、風通しのいい場所に植えることが大切です。
なお、ポピーには一年草タイプと宿根草タイプがあります。一年草タイプは夏に枯れてしまいますが、宿根草タイプは夏に地上部が枯れても、地下の根は生きて休眠しています。
そのため、宿根草タイプは夏になったら鉢植えなら明るい日陰に移動させ、地植えならほかの草花を使って、日陰を作って株を長持ちさせましょう。
ポピーの種まきの時期は品種によって異なります。アイスランドポピーやヒナシゲ(シャーレイポピー)などであれば9月〜10月の中頃に種を蒔きます。オニゲシは3月〜4月か、10月〜11月が適しています。寒冷地での種まきは、春に行うようにしてください。
ポピーの種は収穫してすぐに蒔かなければ発芽率が低下してしまいます。その年の夏終わりに枯れた花から種を取り、保存するときは乾燥を防ぐために紙袋にいれて冷蔵庫で保管し、秋頃にまきましょう。
種まき時期がきたら、プランターや花壇に種をばらまきします。日の光が種に当たらないと発芽しないため、土の表面に種を蒔くようにして土を上から被せる必要はありません。
とはいえ、地植えの場合、自然にこぼれ落ちて翌年発芽するということがよくあります。自然に発芽させるのであればポピーは自家結実しにくい特徴があるので、2株以上は近接して植えておきましょう。
ポピーの水やりは、鉢植えであれば土が乾いたらたっぷりと与えてください。ただし、過湿を嫌うので、水やりのし過ぎには注意してください。必ず土が乾いてから水やりしてください。
宿根草タイプのポピーの場合、夏に地上部が枯れたら水やりを止めてください。なお、ポピーを地植えで育てるときは、根付いてしまえば雨の水分で十分育つので、水やりの必要はありません。
ポピーはとても生育旺盛なので、肥料を使わなくても花を次々咲かせます。
ただし、日光にたっぷり浴びせているのに葉が黄色に変わっていたら栄養不足のサインです。栄養不足になったら、草花用の液体肥料を規定量よりも薄めに希釈して与えましょう。
ポピーは水はけの良い土が適しています。鉢植えやプランターで育てるなら市販の草花用の培養土を使うのがお手軽です。さらに鹿沼土か軽石小粒などを3割ほど足して使うと、より水はけがよくなります。
ポピーを地植えで育てるときは、植え付け2週間前に苦土石灰を100gほど、植え付け1週間前に3割ほどの腐葉土と、2割ほどの軽石小粒を混ぜておくといいです。
なお、種まきに用いる用土には、小粒の赤玉土とピートモスを5割ずつ混ぜたものを使用しましょう。
ポピーを植える時期は、3月〜4月と10月〜12月初旬頃です。種から育てた苗を植え付ける場合は、本葉が5〜6枚に育ったときが植え替えのタイミングです。
植え付けの間隔は草丈が70cm未満の大きさであれば、20cmの間を空けて植え付けてください。70cmを超える株であれば、30cm〜40cmほど空けます。
鉢で植え付けするのであれば、苗の高さが70cm以下であれば、プランターには3株〜4株を植え付けてください。70cmよりも高いのであれば、一つのプランターに2株ほど植え付けます。
また、ポット苗を植え付けるときは、根鉢を崩さずに植えましょう。
宿根草のポピーを鉢植えで育てている場合は、定期的に植え替えをしましょう。植え替え時期は9月〜10月の間頃です。数年に1回、水はけ・水もちなどの質の良さがなくなったタイミングで行います。
ポピーの増やし方には種まきのほかに、「株分け」と「根伏せ」という方法があります。
宿根草のタイプのポピーの株分けは、10月〜11月にかけて行うと良いです。株分けを行うのは大株限定です。
大株は手で分けるかナイフなどで切り分けてください。
地植えの場合、植えていたところとは別の場所を設けて植え付けます。鉢植えでは、新しい土を鉢に入れて植え付けます。
根伏せは10月〜11月頃に作業します。18cm程度の成長した根を、3cm〜5cmに切断します。
新しい土を入れた鉢などを、横に向けて寝かせていきます。乾燥を防ぐため、根の半分ほどを外に出すようにして、ビニールなどを用いて密閉した状態にします。葉が出てきたら密閉状態から解放させて育てていきましょう。
上手く育てば翌年には開花します。「種まき」でも増やせますが、根伏せでの増やし方が簡単なのでおすすめです。
ポピーはいずれも耐寒性に優れていますが、耐暑性はやや低いといえます。
とくに、宿根草の品種であれば高温多湿を避けて風の通しが良い環境に配置してあげてください。地温が上がらないように、藁や腐葉土を表土にかけておくことでも対策になります。
寒さに強いとはいうものの、苗が小さいときに冬越しをするとなると寒冷地では注意が必要です。
霜柱によって苗が持ち上がることがあります。霜にかからないように霜よけをする必要があります。霜よけには霜よけシートや、代用品としてダンボールなどを使うと良いでしょう。
基本的には病気・害虫ともに気にかける必要はありません。しかし、蒸れを起こして葉や蕾などにかびが発生する「灰色カビ病」になることがあります。
灰色かび病は治療が非常に困難なため、症状が発覚したらその部分を取り除いて処分するようにしましょう。取り除いたのちに、有効な薬剤を散布しておくのも良いです。放置していると蔓延して拡大してしまいます。
防除対策として風通しの良い環境で育てるようにしてください。水やりの際も全体にかけるのではなく、株の根元近くに注ぐようにして与えてください。
黄色くなった葉っぱや枯れている葉っぱは、見つけ次第取り除きましょう。
家庭栽培でも育てやすいポピーの育て方についてご紹介しました。
栽培できる品種は多く出回っていますので、是非こちらの記事を参考にして育ててみてはいかがでしょうか。種まき時期や発芽時の気温などにさえ気をつければ、きっときれいな花を楽しむことができますよ。
松原真理子
GreenSnap編集部