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イチイ(一位、櫟)はイチイ科イチイ属の種名であり、イチイ属の植物の総称でもあります。イチイは長さ1~2cmほどの細長い葉が葉茎の両側に並ぶ常緑針葉高木で、ロシア沿岸地方と朝鮮半島のほか、日本国内では千島列島と北海道、本州、四国、九州に分布しています。大きいものでは樹高20mにもなりますが、コンパクトに育てる盆栽用としても人気です。そんなイチイの育て方を説明していきます。
イチイの木は、日なたでも日陰でも育ちますが、強い日差しが当たらない半日陰か明るい日陰を好みます。耐寒性と耐暑性のどちらにも強いので、暖地や温暖地の山岳地帯や、冷涼地(寒地・寒冷地)の低地にも自生しています。
地植えしたイチイへの水やりは、植え付けのとき以外は必要ありません。乾燥を嫌うので、真夏の日照りが続くときは水やりをします。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをしましょう。
地植えしたイチイへの肥料は、植え付け時の元肥以外は必要ありません。鉢植えの場合は植え付け時の元肥のほか、3月頃に化成肥料を施します。
イチイは特に土質を選びませんが、どちらかといえばやや重めの肥沃な土を好みます。植え付けのときには、腐葉土を混ぜ込んでおくと良いでしょう。
イチイの植え付け時期は3月下旬~10月ですが、梅雨けの暑さが厳しい時期(7月中旬~8月頃)は避けてください。イチイは肥沃な土を好むので、植え付ける土はに腐葉土を混ぜ込み、元肥として有機肥料や緩効性化成肥料を入れて植え付けてください。
地植えのイチイを移植する場合は、根を慎重に扱うよう注意しましょう。鉢植えの場合、根詰まりを起こすようなら、植え替えをしてください。植え替え時期は、植え付けと同じです。
イチイの増やし方は「種まき」や「挿し木」のほか、雌木なら「接ぎ木」といった方法があります。
9~10月頃に実を採取し、果肉などを洗い流して種を取ります。乾燥させないように保存しておき、3月頃にに種まきします。
ただし、すぐに発芽しない場合もあるので、種まきの方法はあまりおすすめはできません。発芽しても2~3年は生長がゆっくりなので、あせらず見守りましょう。
挿し木の適期は3~4月です。前の年に伸びた枝を15cmほど切り、下半分の葉を取り除きます。切り口を1~2時間ほど水に浸け、さし木用の土にさします。根が出るまで土が乾かないよう注意してください。
接ぎ木の適期は3~4月と7月です。実を採取するために雌木が必要な場合は接ぎ木で増やしてください。
イチイの木の剪定は、年2回ほど行いましょう。7月は新枝が落ち着く7月と、新芽が出る前の10~3月が適期です。実を採取したい場合はあまり刈り込み過ぎないようにしてください。
イチイへの病害虫の被害はほとんどみられませんが、風通しが悪いとアブラムシやカイガラムシがつくことがあります。これらの害虫の排泄物は、すす病の原因になるので、発見後は早期に駆除してください。
殻が硬い種類のカイガラムシは薬剤が効かない場合があるので、割りばしなどでそぎ落とすなどし、物理的に駆除します。
イチイは開花時期の4月頃になると、とても小さな花をまとまって咲かせます。なお、イチイは雌雄異株ですが、1本の木に雌花と雄花が咲く雌雄同株の種もわずかに存在します。
そして、雌花に受粉すると赤い実をつけます。
イチイには「高尚」のほか、「悲哀」「残念」「慰め」などの花言葉があります。
「高尚」は高尚な人物が持つ「シャク」の材料であることに由来し、「悲哀」「残念」「慰め」は西洋の墓地に植えられることに由来します。
イチイの育て方や増やし方について紹介しました。榊の代わりに神前で使われることもあるイチイは、神聖なものとして扱われる樹木です。ぜひ、お庭での栽培に挑戦してみてくださいね。
※トップ画像は楓さん@GreenSnap
GreenSnap編集部