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公園の芝生や河原などの開けた明るい場所に自然に生息している「ネジバナ」は、実はネジバナはラン科の一種なのです。雑草でありながらも小さな花をたくさんつけるその可愛らしいすがたに、目がとまったことがあるのではないでしょうか。
山野草としても人気で自生しているので、管理が簡単そうに感じるネジバナですが、いざ自宅で育てようとすると、意外の難しい花でもあります。そんなネジバナの育て方とポイントをご紹介します。
ネジバナは年間を通して日なたを好みます。半日陰でも育ちますが、茎がひょろっとして花付きも間延びしてしまいます。また、夏の猛暑日には、少し遮光してあげると安心ですね。
冬の寒さにもある程度耐えますが、霜が降りると根が弱ってしまうので注意が必要です。
ネジバナの開花時期は梅雨シーズンですので、地植えで根が安定していれば基本は雨任せで大丈夫です。雨が降らない場合は1日1回は水をやりましょう。
冬場も土の表面が乾いたら、たっぷりと水をやります。冬場は乾き気味で管理する作物が多いので、同様に管理していると枯れてしまうことがあるので気を付けます。
鉢植えの場合は、乾燥に注意が必要です。1日1回の水やりでも土が乾くようなら、2重鉢にしたり、受け皿に砂利などを敷き、水が切れないようにみてやります。
いずれも水切れしないように管理することが重要なポイントです。特につぼみが上がってくる頃~開花時期はしっかりと水をやりましょう。
ネジバナの生育状態をみて必要であれば、開花の前(4~5月頃)、もしくは強い日差しが落ち着いた10月頃に、緩効性肥料を少量まきます。
ただ、ネジバナは肥料が多いと大きく育ちすぎるので、ちゃんと生育しているようなら、無肥料で育てましょう。
ネジバナを育てるときは、市販の培養土で大丈夫です。赤玉土小粒などでも育ちますが、水切れがよくなるので乾燥しないようにしましょう。そのほか、水苔単用でも育ちます。
ネジバナの植え替え時期は、春か秋頃が適期です。花が小さいので、やや詰め気味に群生させるように仕立てると、見栄えがします。その際は浅い鉢を使い、鉢底石は水はけのよいものにします。
ネジバナを植え替えるときは、根の乾燥に気をつけ、太い根を傷つけないように注意します。
ネジバナの増やし方は、「株分け」と「種まき」です。
株分けは夏が終わった9月頃、新芽を1~3本付けて茎を5本目安で株分けします。その際ハサミなどは使わず、自然に分かれているところを軽く引っ張るようにして分けます。
ネジバナの種は7月~8月、花が終わった果実が黄色くなってくると間もなくはじけて種が出てきます。種を採取して増やしたい場合は、果実が黄色みを帯びてきたら、花茎ごと採取し、紙袋などに入れておくと翌日くらいにははじけて種が出てきています。
ネジバナは開花してから種がはじけるまでがとても早く、気づいたら種が飛散していた、ということがよくあります。たいていは開花後1か月以内に種が飛散するようです。種を確実に採取するには、はじける前に採取しましょう。
でてきた種はすぐに親株の根本周辺に巻くと発芽しやすいですよ。
ネジバナを増やしたい場合は、種がはじける前に採取してすぐにまくことがポイントとなります。
また、ネジバナの根はラン科のそれと同様に、ずんぐりとしたさつま芋のような短い根となるので、水切れさせないことも大切です。
ネジバナが病気にかかることはまれですが、葉がゆがんだり、まだら模様が浮き出てくることがあります。こうなると治すことはできないので、株ごと処分します。
春先に新芽をナメクジ、カタツムリに食べられてしまうことがあります。またアブラムシが新芽や花穂に発生することもあります。ネジバナをよく観察し、見つけ次第、駆除します。アブラムシなどからウイルス感染することもあるので見逃さないようにしましょう。
ネジバナは4〜9月頃の長期間、花を咲かせる雑草です。らせん状に小さな花をたくさんつけた姿はとってもかわいいですよ。花の色はピンクから白の濃淡で種類により個体差があります。ネジバナの花は、1日で下をむいてしまいます。
自生しているネジバナは、芝やそのほかの山野草と共生していることが多いです。そのためかネジバナ単植で育てるよりも、ほかの植物と寄せ植えにしたほうがうまく育つようです。
特に芝と共生しているネジバナはイキイキと可憐な花を咲かせていますので、はじめてネジバナを育ててみる際は、芝との寄せ植えをおすすめします。
ネジバナの花言葉は「思慕」(しぼ)。相手を想い、恋焦がれる という意味です。
可憐で花の命の短いネジバナをうまく言い表していますね。この花言葉のいわれはとても古く、奈良時代、万葉集の中にネジバナについて詠まれた和歌があるといわれています。
「芝付きの みうらさきなる根都古(ねつこ)草 逢ひ見ずあらば 吾 恋ひめやも」
ねつこ草がネジバナです。ネジバナの様子を、「あなたに逢うことがなければ、こんなにも恋に苦しむこともなかったろうに」と詠っています。
恋焦がれる気持ちを、小さくねじれながら懸命に咲くネジバナと重ねる、古人の感覚の繊細さを感じます。当時咲いていたネジバナの子孫たちを、今目にしていると思うと感慨深いですね。
雑草でありながら、その可愛らしさに人気のあるネジバナの育て方を紹介しました。
ネジの巻く方向や巻き方、花の付き方、色味など同一種であっても少しずつ個体差があり、まったく同じものはないそうです。
いざ育てるとなると少し難しいネジバナですが、水切れさせないポイントをおさえて、自分だけのネジバナを咲かせてみるのも楽しいのではないでしょうか。
※トップ画像はkobametal55さん@GreenSnap
GreenSnap編集部