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春の陽気で暖かくなってくると、公園の芝生や空き地などでスッと細長く伸びる茎にピンク色の花をらせん状につける植物に目がとまることがあります。これは「ネジバナ」という名前の花で、別名「モジズリ」とも呼ばれています。小さなピンクの花がねじれながらきれいに咲く姿には、不思議な魅力があります。
ここでは、ネジバナの特徴や似た花などについてまとめていますので、ぜひご参照ください。
日本全土の低草地に自生しているネジバナは、雑草として扱われることが多いですが、ラン科の一種の多年草です。近くで花を観察してみると、実際にラン科の花の形を見ることができます。山野草としての人気も高く園芸用として販売もされています。
ネジバナは、株の中心から15~40cmくらいの花茎をのばし、らせん状に巻きつくような形で花を付けます。5月~7月にピンクや白のラン科特有の花型をした、5mmほどの花が下から順に開花していきます。ねじれ方は一定ではなく、右巻きもあれば左巻きもあります。また、中にはらせん状になっていないものや途中からねじれるものもあります。
ネジバナの葉は季節によって形が変わります。冬は葉が丸っぽく短い形をしていて地面にそって放射状に広がります。春になると、冬葉の中心から細長く上に向いて伸びる夏葉が出てきます。花が開花する頃に冬葉は枯れて、秋になると夏葉のわきから冬葉が出てきます。このようなサイクルで、ネジバナは1年を通して地上部が枯れることはありません。
初春から梅雨にかけて、ネジバナに似た可憐な姿の花を見かけることがあります。ネジバナに似た花の代表例は次の通りです。
マツバウンランは、ゴマノハグサ科ウンラン属の植物で、細長く伸びた茎先に唇型をした青紫色の小さな花を付けます。
ハエドクソウは、ハエドクソウ属ハエドクソウ科の植物で、茎は30~70cmの高さになります。6~8月に枝先から穂状を出し、白やピンクの花を下から順に咲かせます。
ヒナキキョウソウは、キキョウ科キキョウソウ属の植物で、道端などに発生します。茎はあまり分岐しないで直立して伸び、40cmほどの高さになります。
花は茎の先及び葉腋に花を1つずつ付けますが、頂部以外の花はほとんどが閉鎖花になります。
イヌタデは、タデ科イヌタデ属の植物で、道端や荒れ地に生えています。高さは20~50cmになり、紅色の小さな花を茎先に多数付けます。
ネジバナは、日当たりがよく、土は湿り気のある状態を好みます。地植えの場合は、根が安定していれば雨任せで大丈夫ですが、雨が降らない時は1日1回水をやりましょう。鉢植えの場合は、乾燥に注意して、乾燥してきたらたっぷり水をやりましょう。
春先にナメクジやカタツムリが新芽を食べたり、アブラムシが発生したりすることもあります。見つけ次第、駆除するようにしましょう。
ネジバナの花言葉は「思慕」で、その意味は「思い慕うこと」「恋しく思うこと」です。花言葉の由来は、万葉集の歌にちなんでいるといわれています。
「芝付(しばつき)の 御宇良崎(みうらさき)なる 根都古(ねつこ)草(ぐさ) 逢ひ見ずあらば 吾(あれ)恋ひめやも」
歌中に登場する「ねつこ草」がネジバナだという説があります。「あなたに逢わなければ、私はこんなに恋に苦しまなかったのに」と相手を恋しく思う姿と、ねじれて咲くネジバナの花の姿を重ねているといわれています。
雑草として扱われるネジバナですが、その姿は愛らしく、花言葉の由来も花の姿と重なりとても魅力的です。
ラン科の植物は、土中の菌と共存して生存していきます。ネジバナも根が菌根となり菌類と共生していくので、土中の菌類のバランスが崩れると枯れてしまい、また同じ場所に生えてくるとは限りません。
花言葉のようにネジバナを思い、開花時期に出会えるのを楽しみ過ごしてみましょう。
GreenSnap編集部