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昆虫や動物が擬態するかのように、ぱっと見ると花が咲いているように見えるも、実は花ではないという植物があります。
アンスリウムやミズバショウと同じく、仏炎苞をつけた植物の中でも、テンナンショウという変わった植物の育て方をご紹介します。
テンナンショウは、山野の樹林の下に自生している植物なので、どちらかといえば薄暗いところを好みます。基本的に年間を通して明るい日陰で育てましょう。
夏場のきつい日差しは葉焼けを起こし、枯れる原因となります。特に葉っぱを広げている生育期は、直射日光を避けましょう。
テンナンショウを地植えしているならば、年間を通して薄明るい日陰となるような場所で育てましょう。
自生種は野山の樹木の草むらに生えているため、きつい日差しが大の苦手です。また、西日が当たる場所や、半日陰となるような場所も極力避けたほうが良いでしょう。
特に夏場は、数時間の日照でさえも葉焼けを起こす可能性が高くなるので、薄明るい日陰になる場所を基準にして植えて下さい。できなければ、遮光板で光を遮る工夫を施してください。
また、テンナンショウの開花時期に、少しでも雨が当たると花が傷んでしまうというデリケートな部分があります。地植えの場合は容易に動かせないため、ビニールで覆いをつくるなどして、雨に当たらないようにしてあげてください。
テンナンショウを鉢植えしているならば、室内でも直接日差しの当たらない場所や、遮光カーテンで遮られた場所に置きましょう。
寒さに強いため、防寒対策を施す必要はありませんが、こちらも開花時期の雨に注意が必要です。テンナンショウの花がつぼみになったら、雨を凌げる軒下や室内に取り込みましょう。
テンナンショウは、山の空気に似た環境を好むため、やや湿っぽさがある方が喜びます。そのため、土の表面が乾いてきたと思ったら水を随時あげましょう。
テンナンショウの生育期にあたる時期は、1日1回ほどのペースで与えても良いです。
種類によっては、花が咲いたあとに枯れるものもあります。テンナンショウは球根植物なので、地上部は枯れても球根は生きています。そのため、枯れたあとの休眠期であっても、土を乾かさないように絶えず水をやって湿気を保ってください。
そうすることで球根の傷みを防げるので、来年もまた芽吹いたり植え替えたりすることができます。
テンナンショウの地上部が枯れても、球根は土の中で眠っているため、忘れずに水やりを続けましょう。
乾燥すると球根が傷むので、土が乾いてきたと思ったら水をあげましょう。そうすることで、来年再び返り咲くことができます。
植え替えをすると子どもの球根がいっぱいついている場合があるため、数を増やすためにも断続的に水やりは続けます。
あらかじめ緩効性の化成肥料を混ぜんこんでから、テンナンショウを植え付けます。芽が出てきたら追肥しましょう。花が咲き終わったあとも、お礼肥として油かすを与えると良いしょう。
また、地上部が枯れてきたあとにも油かすを与えると、球根に栄養が蓄えられやすいです。葉がある間は、液体肥料を与えると効果的できれいな色艶のある葉っぱを茂らせます。
テンナンショウは湿り気のある場所を好みますが、用土は有機物を含んだ水はけのよい肥沃土が適しています。市販の山野草の土であれば、何も継ぎ足さずにすぐにでも使用できます。
混ぜ合わせてつくるのであれば、小粒の赤玉土と軽石、腐葉土をそれぞれ4:4:2の割合で混ぜるとちょうど良くなります。
排水性を高めたければ軽石のほかに、桐生砂や日向土といった土が適しています。軽石の代わりに混ぜても大丈夫です。
新しくテンナンショウの球根を植え付けるのであれば、植え付け時期は晩冬の2月〜3月頃が適期になります。
すでに育てていたテンナンショウが枯れてしまったなら、既存の球根を掘り上げて植え替えることができます。種類によって枯れる時期はずれますが、大方の種類が10月〜11月頃に地上部が枯れてくるので、これ以降から芽吹く春先までの間に植え替えをしましょう。
テンナンショウの球根を掘り上げ、新しい用土に植え替えしましょう。このとき、子球根がたくさんついている場合があるため、傷つけずに外していったら、それも一緒に植えていきましょう。
地植えでも鉢植えでも、大体直径15㌢の穴に球根1を目安として植え付けていきます。
鉢は気温の高くなりやすいプラスチック製よりも、素焼きの山草鉢を使うことで通気性が保たれます。特に夏場は温度上昇に気をつけたいので、鉢で育てるなら山草鉢がおすすめです。
テンナンショウの植え付け後は、さっと水で馴染ませると良いです。その後は2、3日してから水をあげましょう。
サイクルに合わせて毎年植え替えていくと、古い根も剪定されるので、長くテンナンショウの栽培を楽しむことができます。
テンナンショウの増やし方には、前述の子球根を「分球」する方法と、「種まき」の二通りがあります。
分球は植え替えの際にできるため、同時に行うと効率がよくなります。分球してから芽がでるまでに1年から2年がかかるので、新しく植えたのに芽がでないと慌てないようにします。
翌年に芽が出なかったら、その次の年まで気長に待ってみましょう。テンナンショウは発芽に1年半〜2年と時間がかかります。
種まきの場合だと、開花までに分球の倍近くは時間を要するため、あまりおすすめできる方法ではありません。タネの採取方法も困難なので、よっぽどの熟練者でなければ分球できる種類は分球で増やしていきましょう。
ただし、中にはテンナンショウの仲間の「ユキモチソウ」などの、分球できない品種もあるので、種まきをしなければ増やすことができない場合もあります。
テンナンショウのかかりやすい病気には、軟腐病という突然葉っぱが枯れて、球根が腐ってしまうものが挙げられます。この原因はカビによるもので、梅雨の時期から秋口までかかりやすくなります。
また白絹病という同じくカビが原因でかかってしまう病気にも注意が必要です。
テンナンショウの栽培で気をつけたい害虫は、ネグサレセンチュウやネジラミ、コナカイガラムシいった、根や球根を食害したり腐らせたりするものの被害を受けやすいです。
そして地上部分ではイモムシやナメクジといった虫が葉っぱを狙っているため、駆除が必要になってきます。
冬の間は土の中に眠っている球根を狙ってネズミによる食害も増えるため、病害虫の対策はしっかりしておきたいところです。オルトランや薬剤の散布、ネズミであればネズミとりをテンナンショウの近くに仕掛けておくとよいでしょう。
ナメクジやイモムシなどは捕殺できるため、常に葉の裏や枝などチェックしておきましょう。
テンナンショウは暑さと日差しに弱いため、急激な温度上昇がない明るい日陰の場所で管理して下さい。
特に夏場の水やりは昼にあげると、土の温度が上昇しやすくなるため、夕方にあげるなど工夫することで一定の温度を保つことができます。
テンナンショウの花言葉は、「壮大な美」「壮大」という意味を持ちます。
テンナンショウは漢字でも天の南星と書くように、壮大なイメージを喚起させる植物になります。ヒマラヤ地方などでは食用として用いられていますが有毒の種類もあります。
少し育てるのが難しい種類になりますが、ぜひとも挑戦してもらいたいです。
GreenSnap編集部