カモミールは、デイジーのような小さな白い花を咲かせる、甘く優しい香りのするハーブです。カモミールの香りには、心身をリラックスさせたり、痛みを和らげる効果があるほか、強い抗菌作用があり、世界中で親しまれているハーブのひとつです。
- 連作障害
- あり(長期間同じ場所で育てない)
- 栽培期間
- 3月後半~11月
- 生育適温度
- 15〜20℃
カモミールはキク科の多年草で、強い抗菌作用があることから、古くから薬草として栽培されてきたハーブです。別名「カモマイル」「カミツレ(和名)」とも呼ばれ、世界中で愛されています。
丈夫で育てやすいことから、家庭菜園初心者の方にもおすすめできるハーブです。
カモミールには、シカギク科のジャーマン種と、カマエメルム属のローマン種の2種類があり、それぞれに特性が異なります。ジャーマン種は草丈60cmほどで一年草です。ローマン種は草丈が20cm程度の常緑の多年草です。
カモミールはこぼれ落ちた種でどんどん増えていくたくましいハーブで、栽培難易度は低めです。リンゴに似た甘い香りを漂わせるカモミールを育ててみましょう。
カモミールの栽培環境
カモミールは日当たりのよい場所を好みますが、暑さに弱いので、真夏は半日陰になる場所に移動させて管理しましょう。
地植えで太陽が照りつける場所に植えると、蒸れと暑さによって枯れてしまう場合があるので、プランターで栽培するか、半日陰の場所に植えるのがおすすめです。
ただし、ジャーマンカモミールは夏季の蒸れと暑さを経験する前に花期を終えて枯れるので、あまり置き場所を気にしなくても大丈夫です。
高温多湿を嫌うので、風通しがよい場所で栽培しましょう。
ローマンカモミールは、夏場は半日陰での栽培が適しています。冬場は雪が積もっても耐えられるくらい強靭ですよ。
カモミールの種まき・間引き
ジャーマンカモミールの場合は、種まきから育てるのが一般的です。一方、ローマンカモミールの場合は、苗から育てるのが一般的です。ローマンカモミールの種まきの方法は以下の通りです。
- 育苗ポットに土を入れ、軽くくぼみをつける
- 種が重ならないようにパラパラと種をまく
- ごく薄く土をかぶせ、軽く手で押さえる
- やさしくたっぷりと水やりをする
- 本葉2〜3枚の時に、生育の悪い苗を間引く
- 本葉5〜6枚になったら植え付け苗の完成!
カモミールの種はとても細かいです。ひとつずつまくのは難しいのでばらまきしましょう。
覆土(土を被せること)は不要です。ただし、雨などで流れてしまう可能性がある場所なら、薄く覆土してもOKです。
カモミールの土づくり
プランター栽培のカモミール
プランター栽培のカモミールは、市販の野菜用培養土かハーブ用培養土を使用すれば良いでしょう。
地植え栽培のカモミール
カモミールは酸性の土を嫌います。地植え栽培のカモミールは、植え付けの2週間前には苦土石灰をまき、土壌の準備を済ませておきましょう。また、腐葉土をすき込んでおくと、水はけがよくなりおすすめです。
カモミールの植え方
カモミールの植え付けは、春と秋の2回のタイミングで行います。ローマンカモミールの場合は、ホームセンターや園芸店で苗を購入して植え付けましょう。苗は、葉色が濃く、茎が丈夫でしっかりしたものを選びます。
プランター栽培のカモミール
- プランターに鉢底ネットを敷き、鉢底石を敷き詰める
- プランターの半分ほどまで土を入れる
- 根鉢を崩さないように、育苗ポットから苗を取り出す
- 株間を25cmあけ、苗を置く
- 隙間に土を入れて、土で苗を固定する
- 株元に土を集め、軽く手で押さえる
- やさしくたっぷりと水やりをする
地植え栽培のカモミール
- 根鉢を崩さないように、育苗ポットから苗を取り出す
- 株間を25cmあけ、根鉢と同じ大きさの穴を掘り、苗を植え付ける
- 株元に土を集め、軽く手で押さえる
- 鉢底から流れるまでたっぷりと水やりをする
もし大株に育てたいなら、秋に植え付けるのがおすすめです。冬の寒さに耐えて大きく育ちますよ。
カモミールの水やり
ジャーマンカモミールは湿気のある環境を好むので、乾燥させないように管理します。ただし、過湿の状態が続くと根腐れを起こす場合があるので、適度な湿気を保って下さい。
ローマンカモミールは極度な乾燥と過湿を嫌います。表土が乾いたのを確認したら、水をにやる程度で良いでしょう。水やりは、朝夕の涼しい時間帯に行ってくださいね。
夏場は茎や葉にかからないように水を与えると蒸れ防止になります。
カモミールの肥料・追肥
カモミールには、基本的に追肥は必要ありません。ただし、新芽が出る時期には株の周囲に軽くひと握り(10g程度)の化成肥料を施すと良いでしょう。
追肥を施したら、土と肥料を手で軽く混ぜ、株元へ土寄せします。窒素肥料が多くなると花がつかなくなることがあるので、基本的に肥料は控えめで問題ありません。
肥料を購入する際に、窒素(チッソ)の比率を確認! 花がつくために必要な「リン(リン酸)」肥料を選んで購入してもよいでしょう。
カモミールの収穫
カモミールの収穫時期は品種によって異なります。ジャーマンカモミールは3〜5月頃、ローマンカモミールは6〜7月頃が収穫時期です。
カモミールは、花が咲いたらすぐに収穫します。開花時期は、真夏をのぞいた5月〜9月で、春から秋まで咲き続けます。
花びらが少し反り、花の真ん中の花芯と呼ばれる部分が盛り上がってきたら収穫に適した時期です。
花のすぐ下をハサミで切り取って収穫しましょう。収穫した花は、風通しが良い日陰の場所で乾燥させましょう。
カモミールの育て方で注意すべき病気・害虫
カモミールはアブラムシがつきやすいハーブです。肥料を使用したあとや、風通しが悪くなったときにアブラムシがつく可能性があります。アブラムシを見つけたら、すぐに駆除してください。
アブラムシは、多湿となる環境を避けることや、風通しを良くするために枝葉を適度に間引くことで予防ができます。
ローマンカモミールは夏場の高温による蒸れで調子を崩しやすいので花が咲いた後に切り戻しを行うのがおすすめです!蒸れはうどんこ病も誘発するので注意が必要ですよ。
カモミールの増やし方
カモミールは、挿し木で増やすことができます。3月〜4月、10月が挿し木に適した時期です。水に挿して育てるよりも、土に挿して育てる方が丈夫に育つのでおすすめです。
- 花のついていない茎を15〜20cmほどカットし、葉を数枚残して全て取り除く
- 切り口を水に浸し、挿し木用の土に挿して育てていく
- 土が乾燥しないように、水やりは欠かさないように管理します
カモミールの種類・品種
カモミールには花のみに香りがあるジャーマンカモミールと、花だけでなく茎や葉にも香りがあるローマンカモミール、そして香りはありませんが鮮やかな色が特徴のダイヤーズカモミールがあります。
それぞれの違いは以下の通りです。
- ジャーマンカモミール:苦味がなく使いやすいので、ハーブティーの材料に用いられる
- ローマンカモミール:ほかのカモミールと比べて薬効が高い。ジャーマンカモミールと同様にハーブティーの材料に用いられるが、ジャーマンカモミールと違い苦味がある。持ち前の香りの強さで入浴剤やオイルの材料としても使われる
- ダイヤーズカモミール:カモミールならではの香りはないが、花の色がとても鮮やかなことが特徴。染色材料としてよく利用される
- ダイヤーズカモミール:薬効や効能は特にないので、見た目を活かしてドライフラワーや切り花として利用される
カモミールを栽培して、香りや効果を楽しもう!
カモミールにはいくつかの種類があるので、用途に合わせて好みの品種を選んでくださいね。カモミールは踏まれても育つほど丈夫で、寒さにも強く、植物をあまり育てたことがない方にもおすすめできるハーブです。
薬草として使われるほど様々な効果が期待できるカモミールを、ぜひ自宅で育ててみてくださいね。
この記事を監修した人
七尾びび
家庭菜園士・ベランダ菜園士。株式会社マイファーム松戸農園、松戸千駄堀農園の農園アドバイザー。
循環型の野菜栽培(コンポスト、たい肥づくり)に特化したアドバイザー。
化成肥料の栽培、完全有機栽培まで指導。日本園芸協会会員。同時に農業系、菜園系ライターとして活動中。
この記事を書いた人
GreenSnap編集部
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