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花の少ない冬の時期を彩ってくれるシクラメンですが、春先になるとだんだんと花が減っていきます。シクラメンは球根植物ですので、本来であれば何年も花を咲かせることのできる植物です。
しかし、シクラメンの原産地と環境が異なる日本では夏越しの方法にコツが必要です。そこでこの記事では、シクラメンの夏越しの方法をご紹介します。
シクラメンは暑さに弱く、20度以上になると葉が落ち始め、30度以上になると枯れてしまいます。そのため日本では一年草と思われがちですが、じつは上手に夏越しをすれば毎年開花が楽しめる球根植物です。
シクラメンの夏越しの成功率は40〜60%ほどと言われており、失敗する確率も高いのですが、正しい夏越し方法や、失敗しないためのコツを押さえておけば、成功率もぐんと上がるので挑戦してみましょう!
シクラメンの夏越しには、休眠法(ドライタイプ)と、非休眠法(ウェットタイプ)の2パターンがあり、どちらにもメリット・デメリットがあります。
方法 | メリット | デメリット | |
休眠法 ドライタイプ |
水やりや肥料を控えて休眠させる方法。 | 初心者でも失敗が少なく、夏越ししやすい。 | 株が大きくならない。球根だけになるため見栄えが悪い。 |
非休眠法 ウェットタイプ |
水やりや肥料を継続して休眠させない方法。 | 開花が早くなり、株が大きく花付きもよくなる。 | 球根が蒸れて腐り、失敗しやすい。 |
どちらの方法で夏越しすべきかは、4〜5月ごろの花が終わった株の状態にもよりますが、初心者は比較的簡単な休眠法での夏越しがおすすめです。
花が終わった後、枯れ葉が多く元気な葉が少なくなっている場合は「休眠法」、葉がたくさん残っている状態であれば非休眠法で夏越ししましょう。
花が咲き終わった春の終わり頃〜5月になったら、完全に水やりや肥料を完全にやめます。まだ緑の葉があっても水やりや肥料を止めることで、強制的に休眠させます。
ガーデンシクラメンを地植えしている場合、球根だけ掘り上げて鉢植えにしてください。
全体的に水が切れて葉が枯れたら、枯れた葉を全て摘み取ります。ハサミなどでは雑菌が切り口から入りやすいので、手で摘み取るようにしてください。
このとき、まだ緑の葉があれば、まだ球根に栄養をためている最中なので、切らずに枯れるまで待ちましょう。
全ての葉が完全に枯れきって球根だけになったら、7月頃に雨が当たらない、風通しのよい日陰に移動させましょう。
この間も水やりや肥料は与えずに、そのまま置いておくだけで問題ありません。
8月下旬から9月上旬頃になると、球根から次第に新芽が出てきます。新芽が出ずに球根がブニブニと柔らかい状態になっていたら、夏越し失敗です。
新芽がでたら休眠から覚めた証拠なので、水やりを再開しましょう。肥料は次の植え替えの時に元肥を与えるので、この時点では不要です。
9月頃になったら、完全に休眠から覚める前に植え替えをします。植え替えをするときは、球根の根についた土はすべて落とし、根を半分の長さになるように切りましょう。
一回り大きい鉢に元肥入りの草花用培養土をいれ、球根の頂部3分の1を地上に出して植えます。
花が咲き終わる時期になったら、こまめに花がら摘みをしたり、枯れ葉を手で取り除きましょう。非休眠法で夏越しする場合は、花が咲き終わる前に摘みます。
5〜6月頃に球根を掘り上げて植え替えします。このとき根が傷つくと失敗するので、数日前から水やりを控えて土を乾燥させてから作業をしましょう。
根鉢の肩(球根まわり)の土と、根鉢の下側3分の1ほどの土を落として、一回り大きい鉢に植え替えます。
植え替え後は室内の明るい窓辺など、涼しくて日当たりのいい場所で育てます。
これまでと同じように、土の表面が乾いたらたっぷり水を与え、肥料は10日に1回、水で薄めた液肥を与えましょう。黄色い葉が出てきたら手で都度摘みとってください。
シクラメンは休眠させない場合、8月ごろから花芽分化が始まるので、球根に日光をよく当てるため、葉組みをします。
葉組みの方法は、株の中央上に生えた新しい葉を、他の茎葉をかき分けながら株の外側下に移動させましょう。花芽は株の中央に集めてください。
9月頃ごろになって鉢が株でいっぱいなら、植え替えをしましょう。この時期に植え替えをするとより大株に育ちますが、必要ないならしなくても大丈夫です。
9月下旬頃になって涼しくなったら、屋外の日当たりのいい場所に移動させましょう。
10月頃になると最初の花が咲き始めますが、できれば10月についた花は花茎から摘み取っておくと、翌年のための養分が球根や葉に回ります。
シクラメンの夏越しで失敗しないためのコツは、
とくにシクラメンは雑菌に弱いので、どの夏越し方法でも花がら摘みをするときは必ず手でひねるように摘み取ってください。
また、夏越し前の5月頃に球根を掘り上げて植え替える場合は、土に小粒の軽石や、黒曜石パーライトを1〜2割混ぜて、さらに通気性をよくしておくと蒸れ防止に繋がります。
夏越しが成功したのにも関わらず花が咲かない場合は、日当たりや水やりなど休眠中の管理環境を見直す必要があるかもしれません。
高温多湿の日本での夏越しは難しく、最初は失敗することもあるかもしれませんが、根気強く挑戦してみましょう。
松原真理子
GreenSnap編集部