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接木苗とは|トマトやキュウリが病気に強くなる?デメリットはある?
園芸店などにいくと、商品名に「接木苗」と表されていることがよくあります。接木苗がどんな特徴を持つのかご存知でしょうか。
今回はトマトやキュウリなどの野菜、バラ苗でよく見る「接木苗」のメリットやデメリット、手入れのコツなどについてご紹介します。
接木苗とは、接ぎ木によってつくられた苗のことを指しています。接ぎ木とは、土台となる植物=台木に、育てたい別の植物=穂木を繋ぎ合わせて栽培する手法のことです。
一般的な苗は種から育てた実生苗(もしくは自根苗と呼ぶ)ですが、野菜の接木苗やバラの接木苗も一定量流通しています。
なお、接ぎ木は樹木はもちろん、草花や野菜などに使える手法ですが、草花や野菜の接ぎ木はミスト施設が必要になるなど難易度が高いので、市販の接木苗を入手するのが一般的です。
連作障害とは、前作と同じ野菜を連続して育てると起きてしまう、線虫やウィルスが原因の生育不良のことです。例えばトマトを育てた土で同じナス科のピーマンを育てると連作障害が起こります。
連作障害では主に野菜の根から分泌される成分が原因で線虫やウィルスが増加しますが、接木苗であれば台木(根)に違う植物が使われているので、同じ作物を育てても連作障害を防げます。
接木苗はいわゆる台木と穂木それぞれの植物の性質を、いいとこどりしたような耐性を身につけます。たとえば、自然界を強健に生き抜いてきた病害虫に強い原種の植物を台木することで、穂木として接ぎ木した園芸品種が病害虫に強くなります。
接木苗は病害虫に強いというメリットから、農薬の散布量を減らすことができ、より安全や環境に配慮した栽培ができることでも人気です。
接木苗の台木の性質にもよりますが、台木が生命力旺盛な植物だった場合、トマトやキュウリ、果樹などの収穫量が上がる場合があります。
また、耐寒性が高い台木を使うと、実生苗よりも比較的早く結実して収穫することもできます。ほかにも、とくに果樹は実生だと収穫までに10年かかる種類でも、根がしっかり発達している台木を使えば、2〜3年で収穫できるようになったりします。
台木の性質によって、収穫量や時期を調整することもできるのです。
さまざまなメリットがある接木苗ですが、一方で比較的値段が高いというデメリットもあります。とくに野菜の接木苗については難易度が高く、つくるのにコストもかかることから、普通の苗とくらべて2〜3倍の値段になることもあります。
接木苗を育てていると、台木から芽吹くことがありますが、穂木にした植物の栽培を目的にしているのであれば、適宜芽かきをする必要があります。
そのままにしておくと、穂木に栄養がまわらず生育が鈍るので、台木の芽はすぐに取り除くようにしましょう。
良い接木苗の見分け方は、接ぎ木の接いでいる部分がきちんと密着しているかどうかを確認しましょう。また、接いだ部分の傷口がキレイなものを選ぶといいですよ。
そのほか、葉色が濃いもの、節間が適度につまっているもの、病斑などがないものを選ぶようにしましょう。
接木苗は比較的高価な場合が多いですが、病害虫への対策の手間やコスト、収穫量アップなどを考えると、高い分だけのメリットを感じられると思います。
家庭菜園初心者はとくに接木苗の野菜のほうが育てやすいので、ぜひ園芸店で手に取ってみてください。
GreenSnap編集部