warning
error
success
information
籾殻くん炭は、単にくん炭とも呼ばれる園芸資材のひとつで、おもに土壌改良効果がある調整用土です。土壌改良効果以外にも、pHの調整やマルチング、消臭などの効果・使い方ができ、さらには自分でつくることもできます。
今回は使い勝手がいい堆肥の籾殻くん炭について、効果や使い方から作り方までご紹介します。
籾殻くん炭(もみがらくんたん)とは、籾殻(精米時にとれる米の外側の皮)を、いぶして炭化させたものです。
園芸資材としては有機物土壌改良材として、改良用土のうち、バーミキュライトやパーライトと同列の調整用土に属しています。一般的には培養土のうち5〜10%ほどの分量を混ぜて土壌改良をするために使います。
籾殻くん炭に含まれている成分は、製品によって異なりますが、一般的には下記が目安です。
ケイ酸50% 石灰0.1% カリ1.5% 炭素30% ほか
籾殻くん炭自体には、植物が必要とする三要素(窒素・リン酸・カリ)をほぼ含んでおらず肥料効果は薄いため、肥料として使うことはできません。
ただし、ケイ酸をはじめとした微量要素が豊富なため、肥料効果が全くないというわけではありません。これについては次項で後述します。
籾殻くん炭には通気性をあげ、さらに保水性や保肥性をあげるという土壌改良効果があります。これは籾殻くん炭が多孔質であるためで、無数の小さな穴に酸素や水分、栄養分をためることができるので、通気性・保水性・保肥性のバランスが向上するというわけです。
植物にプラスに働きかける土壌菌という微生物は、籾殻くん炭がつくりだす通気性や保水性のバランスが取れた環境や、籾殻くん炭自体の多孔質な構造を好みます。
微生物が増えると、団粒構造という栽培に適した土壌環境になるほか、線虫や有害微生物の繁殖を抑えられるため、根腐れや連作障害の抑制にもつながります。
籾殻くん炭はそれ自体がpH8.0〜10.0前後と、アルカリ性の性質を持っています。そのため基本用土や庭土、畑土と混ぜて使うと土壌のpH調整ができます。
一般的な庭土や畑土はpH5.0〜6.0で酸性ですが、多くの野菜や草花はpH6.0〜6.5の弱酸性を好むため、籾殻くん炭を加えてpHを調整し、栽培に適した土壌環境をつくれます。
籾殻くん炭は備長炭などと同じように、その多孔質な構造に臭いを閉じ込める消臭・脱臭効果があります。多くの有機肥料は発酵中に悪臭が発生したり、独特な芳香を持ちますが、籾殻くん炭を併用することで作業中の臭いストレスが軽減されます。
籾殻くん炭にはケイ酸が豊富に含まれています。ケイ酸は植物が必要とする微量要素のひとつで、根・茎・葉を硬く丈夫にする効果があります。
籾殻くん炭自体が黒色のため、太陽光を集めて地温を上昇、保温させるという効果があります。とくに冬の栽培では雪を溶かすほどの効果があり、寒さや霜に弱い作物の栽培にはとくに効果的です。
籾殻くん炭の重量は、一般的な土の約10分の1程度で、ごく軽いという特徴があります。
畑の土作りに使う場合は、畑土6:腐葉土もしくは堆肥4で混ぜた用土に対し、5〜10%ほどを加えて使いましょう。同時に有機肥料を施しておくと消臭効果の恩恵をうけながら土作りができますよ。
プランターなどの培養土に使う場合は、黒土や田土などと合わせると地温上昇・保温効果を相乗的に発揮します。配合は「黒土4〜5:腐葉土4:籾殻くん炭1〜2」の割合がおすすめです。
とくにバラの培養土や多肉植物の培養土に混ぜることで、よりよい生育を目指すこともできるようです。
農業の世界では籾殻くん炭で育苗することで、移動の手間やコストを減らせると注目が集まっています。
趣味レベルのガーデニングや家庭菜園でも、種まきや育苗の土に籾殻くん炭を使うと、保温性が高まって発根しやすくなったり、保水性が向上して発根しやすくなるなどのメリットがあります。
籾殻くん炭を株下に3cmほどの厚みをもたせて盛ることで、マルチングの効果を発揮します。おもに保温効果や保湿効果があるほか、土の跳ね返り防止にもなるので、植物を健康的に育てられます。
籾殻くん炭は自分でつくることもできます。必要な材料は以下の通りです。炭化させる、つまりは火を使うので作業には十分気をつけましょう。
籾殻は精米機が置いてある場所や米屋から入手できます。もしくはまれにリンゴの梱包材としても使われているので、とっておくのもいいでしょう。
籾殻は炭化すると水を弾く性質をもつので、消火の際はよく混ぜて完全に消火し切ったことを確認してください。
また、2〜3日天日干しをするため、雨予報がないかどうかを確認して作業するようにしましょう。
火の粉が飛びやすいので、乾燥している冬の作業は控えたほうが安全です。また、十分近隣の安全を確保した上で作業しましょう。
籾殻くん炭は肥料効果はあまりありませんが、土壌改善効果が高い用土です。通気性や保水性・保肥性をあげると同時に、pHを調整したり、微生物を活性化させるというメリットの多い用土なので、ぜひ日頃の園芸にいかしてみてください。
GreenSnap編集部