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植物を育てる上で水やりと同じくらい悩ましいのが、肥料の使い方です。畑や花壇での栽培では、本来、自然のサイクルで供給されるはずの栄養分を。肥料で補う必要があります。花を咲かせたり、野菜を収穫するためには、この肥料の塩梅がとても重要なのです。
そこで今回は、肥料の中でも、とくによく利用される「緩効性肥料」とは何か、種類や使い方などをご紹介します。
緩効性肥料とは、肥料効果の現れの違いによる分類で分けたときに、「肥料濃度を急激に高めることなく、じっくりと効果が持続する」とされた肥料のことです。
肥料焼けしにくく、種類や製品によってばらつきはありますが、おおよそ1〜2ヶ月ほど肥料効果が持続します。
緩効性肥料には、植物の成長に欠かせない三栄養素である窒素、リン酸、カリウムが含まれています。窒素は茎葉、リン酸は花実、カリウムは根や株全体を成長・丈夫にさせる働きを持ちます。
とはいえ、緩効性肥料の原料には、有機肥料や化学肥料、その混合などがあり、三栄養素いがいにもマグネシウムやカルシウム、亜鉛などの微量成分を含むものもあります。
肥料効果のあらわれ方には、肥料の形状が大きく関係します。肥料は基本的に、土にまいて土中で溶け、栄養分が土に染み出して、それを植物が根から吸収します。つまり、土中で溶ける過程が、肥料効果の速度、濃度をきめるのです。
緩効性肥料は形状的にすべてが固形ですが、大粒であるほど緩効性が高く、中粒、小粒、粉末という順に緩効性は低くなっていきます。なお液体肥料はその全てが速効性の肥料です。
肥料の効き方には「速効性」「緩効性」「遅効性」の3つがありますが、緩効性と遅効性が混同されがちですが、別物です。
遅効性肥料はほとんどが有機肥料であり、土の中の微生物が有機物を分解してから肥料効果を発揮するため、効果はすぐには現れません。また緩効性肥料よりもゆるやかで3〜4ヶ月ほど持続します。ただし、土中温度が25度以上では、分解が早く進み、緩効性肥料と同じ効き方になるので、気温が低い時の寒肥などに使います。
本来、緩効性の性質をもつ肥料の多くは有機肥料でしたが、近年は扱いやすい化学肥料も、手を加えることによって緩効性の性質を持つようになりました。ここではよく利用される緩効性化学肥料の種類をご紹介します。
単肥は一種類の肥料成分しか含まれていませんが、その分不足した栄養素を的確に供給するのに便利です。以下は元の特性として、緩効性があります。
石灰窒素は、窒素を21%ほど含む化学単肥です。毒性があるので、施肥のときは吸い込まないよう注意が必要です。
熔リンは、リン酸を20%、苦土を15%、ケイ酸20%、アルカリ分50%を含む、リン酸の化学単肥です。酸性肥料に接すると溶けます。
化成肥料は肥料の三栄養素のうち、二種類以上を化学的に結合させた肥料です。それらを化学的、もしくは物理的に加工し、緩効性の性質を加えています。
IB化成肥料は、植物の茎葉の生育に効果的な窒素を、水に溶けにくく化学的に加工しており、その肥効がゆっくり長続きするように加工した化成肥料です。
被覆複合化成肥料は、化成肥料の表面を半(非)透水性の膜でコーティングしており、別名「コーティイング肥料」とも呼ばれます。効果が長続きするように物理的に加工した、緩効性の化成肥料です。
有機肥料は油かすや米ぬか、骨粉など、有機質を原料にしてつくられた肥料のことです。有機肥料のほとんどは緩効性があり、緩効性化学肥料よりもマグネシウムやカルシウムなどの多様な栄養素を含むため、より多角的な肥料設計ができます。
緩効性肥料は、元肥、追肥ともに使うことができます。
なお、施肥の考え方として、基本的には、元肥でリン酸の必要全量を、窒素とカリの必要量半分を施し、追肥によって窒素とカリの残りの必要量を、数回にわけて施すのが良いとされています。
それぞれの施し方については、こちらの記事を参考にしてください。
元肥は生育初期を支える栄養源となるので、苗の成長に合わせたゆるやかな栄養供給が好ましいです。野菜、草花、観葉植物など、あらゆる植物の元肥には、緩効性肥料が適しています。
追肥には基本的には速効性肥料を使いますが、冬の休眠期の間を支える寒肥や、栽培期間が長い樹木、野菜に関しては、緩効性肥料での追肥が提起しています。
置き肥とは、おもに観葉植物の株元の土に固形肥料をおいて施肥する方法です。
とくに緩効性肥料のなかでも固形油かす肥料がおすすめで、日々の水やりとともにじわじわと溶け出して肥料効果が現れます。
緩効性肥料はゆるやかに長時間効果が持続するという特徴があります。適切な時期に適量を施肥することで、肥料焼けなどの負担を防ぎながら栄養を供給できるので、ガーデニングや家庭菜園には必要不可欠です。
特徴や正しい使い方を覚えて、園芸を楽しんでください。
GreenSnap編集部