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消石灰は酸性の土壌を弱酸性〜アルカリ性に調整するための石灰資材の一つです。園芸でよく使われる消石灰よりも効果は強力ですが、目に入ると失明の恐れや、施しすぎによる枯れ死の危険性もあるので、正しい使い方を理解しましょう。
今回は、酸度調整効果のほかにも、消毒効果をあわせもつ消石灰についてご紹介します。
消石灰は石灰資材の一つで、石灰岩を粉砕して焼成した生石灰に、さらに加水して熟成させてつくられています。
白い粉状・粒状になっており、以前は学校のグラウンドに白線を引く資材としても使用されていました。
園芸ではおもに土壌の酸度調整に使われています。
消石灰の主成分は、水酸化カルシウムです。アルカリ分が60〜70%以上、pH12.0と、石灰資材の中で最も高い強アルカリ性をもち、酸度調整の面では速効性があります。
消石灰を生成する一段階前の「生石灰」は、消石灰よりもさらに強いアルカリ性の性質をもちますが、水と合わさると発熱するため、園芸資材としてはあまり使えません。ただし「しょうせっかい」と同じ読みをすることもあるので、購入するときは気をつけましょう。
苦土石灰は、園芸においてもっとも一般的に使われる石灰資材ですが、アルカリ成分が53%ほどで、消石灰と比べると効果も緩やかです。ただし、消石灰にはない、不足しがちなマグネシウムを補える特徴があるので、よく利用されます。
消石灰が持つ効果としては、主に土壌のpH調整とカルシウムの補給です。カルシウムは植物が必須とする三栄養素の次に必要な栄養素で、植物の細胞壁の原料となるので、株の成長を促し病気に強い生育につなげます。
消石灰を使った土づくりは作付けの3〜4週間前から始めましょう。基本的な手順は次の通りです。
作付け3、4週間前までに消石灰をまいて、よくすきこむ。
消石灰をまいた2週間後に、堆肥や元肥を加えて、よくすきこむ。
さらに1、2週間土をなじませて、畝をつくり作付けする。
消石灰の場合、pHを1.0あげるためには1㎡あたり、160gほど必要です。植物の種類によって、好むpH値は異なるので、育てるものにあわせて調整してください。
なお、消石灰は速効性のため、その酸度調整効果はすぐに発揮されますが、強アルカリ性が植物に害を及ぼすので、土に施してから2週間は必ず時間をおいてください。
消石灰に関わらず、石灰資材を肥料と同時に施すのは控えましょう。肥料に含まれる窒素分は石灰と合わさることで、アンモニアガスへと変化して消失してしまいます。また、アンモニアガスは植物の酸素を奪って枯らします。
施すときは、最低でも1〜2週間は期間をずらすようにしましょう。
消石灰は、強アルカリの性質を利用した消毒の効果も持っています。植物や動物の健康を脅かす病原菌は、生息できるpHが限られています。この性質を利用して、土壌をアルカリ性に極端に高めることで、病原菌を死滅させます。
消石灰を消毒に使うときは、土壌に混ぜるほか、消石灰を倍量の水に溶かした石灰乳をつくって消毒液をつくりましょう。これをよく掃除した(畜舎などの)壁や床、天井、機具類に塗布して乾燥させます。
細菌やウィルスなどの病原菌のほか、ダニやカビなどの防除にも効果的です。ただし、土にまくと、当たり前ですがアルカリ性に傾きすぎてしまうので気をつけましょう。まれにネギに赤さび病防止としてふりかけることもあるようです。
消石灰とひとくちに言っても、赤サビ防止の水道処理用、ゴミ焼却炉の排ガス処理用、建築での建材料用など、それぞれに特化させた製品が存在します。
畑での酸度調整の際には、製品情報に農業用、もしくは肥料と書かれているものを選びましょう。
消石灰自体に毒性はありませんが、成分が強アルカリ性のため、直接触れるとまれに炎症をおこしたり、失明に繋がる危険性があります。
土に施すときは、必ずゴム手袋やゴーグルをなどで防護して行いましょう。また、比較的高価にはなりますが、粉状のものよりも粒状の消石灰のほうが、風に舞うこともないので安全で扱いやすいです。
また、小さな子供やペットや家畜がいる場合は、比較的安全な苦土石灰の使用をおすすめします。
消石灰の施しすぎには注意しましょう。やみくもに施すと、土のアルカリ化を引き起こします。いったんアルカリ化に陥ると、酸性を抑えるよりも難しいので。pH測定器やリトマス紙などを使いながら、調整してください。
万が一、土壌がアルカリ性に傾きすぎた場合には、硫安、塩加、塩安、過石などの酸性肥料を施して中和していきます。
消石灰はコメリやカインズなどのホームセンターのほか、ネット通販などで入手することができます。
消石灰の価格はほとんど苦土石灰と変わらないくらいで、10kgで800~1,500円ほどが相場です。粒状か粉状かで値段と扱いやすさも変わります。
消石灰は強アルカリ性で、苦土石灰よりも調整力が高い分、取り扱いの注意が必要です。育てる植物が好むpHと、現状の土壌pHの状態を把握して、過不足なく安全に消石灰を活用して、園芸や家庭菜園を楽しんでください。
GreenSnap編集部