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ぼかし肥料は有機栽培、オーガニック栽培で昔から多用されてきた混合肥料です。あらゆる有機肥料を合わせてつくられているので、栄養やその効果、効き目のバランスがとても優れています。
今回は、ぼかし肥料の作り方を中心に、その効果や使い方をご紹介します。
ぼかし肥料とは、油かす、骨粉、米ぬか、牛糞などの植物・動物由来の有機質肥料を発酵させた肥料です。もともと、あらゆる肥料がぼかされているということでついた総称のようなもので、決まった作り方というのはありません。
農家の数だけぼかし肥料があるともいわれ、作物にあわせて自由にブレンドされるものです。
ぼかし肥料はあらゆる有機肥料成分が混ぜ合わさっているので、窒素・リン酸・カリの三要素はもちろんのこと、二次要素や微量要素などの多くの元素の補給にも役立ちます。複合的な栄養素の供給ができると、とくに家庭菜園では美味しい作物の収穫につながります。
また、発酵させてある肥料なので、土の中の微生物を活性化させる効果があり、土の栄養価を高めたり、団粒構造化などの土質改善にも役立ちます。
ぼかし肥料の肥料効果は、比較的早く現れますが、緩やかに長く続くので、肥料やけなどの生育障害を起こさずに、安定して作物に養分を供給できるのがメリットです。堆肥より速効性があり、液肥より持続性がある、バランスのとれた肥料といえるでしょう。
ぼかし肥料は、混ぜ合わせる材料となる肥料によって成分が異なりますが、一般的に植物由来の肥料でつくると、カリが多くリン酸が少なくなり、動物由来の肥料でつくるとリン酸が多くカリが少ないという傾向がでます。
一般的には窒素2.5%、リン酸2.5%、カリ1%ほどの割合が適正ともいわれていますが、農家によって異なります。
窒素、リン酸、カリは植物を構成するのに欠かせない元素で、それぞれ窒素は葉肥、リン酸は花肥・実肥、カリは根肥と呼ばれるように、植物の各部位の生育に大きく寄与します。
ぼかし肥料づくりの基本は、有機物肥料と発酵材を混ぜ合わせ、適量の水を加えて発酵させる、という流れです。既に述べた通り、ぼかし肥料に決まった作り方はありませんが、その代表的な作り方の例をいくつかご紹介します。
ぼかし肥料づくりでは材料に生ゴミをいれる場合がありますが、このとき貝類や油類は入れないようにしましょう。これらは発酵を防いで失敗の原因となります。
ぼかし肥料を失敗せずにつくるコツは、適度な水気とわずかな通気性です。理想的な含水量は60%ほどで、目安としては材料を硬く握りしめたときに水分がしみださないこと、かつ手のひらがしめる程度の水分を感じることです。
また、材料は全て細かく刻んでおくと発酵が均等にすすみ、失敗しにくくなります。
米ぬかは玄米の皮が原料であり、油分が多くて腐りにくい。肥料成分に富み、ビタミンミネラルも豊富で、ぼかし肥料の発酵剤として最適。
油かすは窒素肥料の代表であり、安価で手に入れやすい。植物の成長に役立つアンモニアが発生しやすいので、ぼかし肥料の材料に最適。
牛や鶏、豚などの骨を細かく砕いて焼成したもの。リン酸成分が主体で、ぼかし肥料づくりではリン酸肥料としてよく加えられます。
オカラは窒素が多く、リン酸が少ないという特徴をもつ。微生物の分解が早く進むので、発酵剤としてぼかし肥料に向いているが、生オカラは腐りやすいので注意。
コーヒーをいれたあとにでるかす、出がらしは多孔質の形状をしているので、水分や臭い成分を吸収する。オカラや米ぬかと混合することで発酵が進む。
鶏ふんは窒素、リン酸が多く、栄養分のバランスが良い肥料。ぼかし肥料に使うときは発酵鶏ふんよりも、乾燥鶏ふんがおすすすめ。
魚カスは窒素、リン酸が多く、肥料としての効果が高い。ぼかし肥料に使うときは、草木灰などをいれてカリを補給すると栄養バランスが整う。
ぼかし肥料は、有機肥料の中でも比較的効果が早く現れ、じっくりと長持ちします。したがって、元肥としても、追肥としても使うことができますが、非常に栄養分が多いので、一般的な化成肥料などよりは少なめに施すことを意識してください。
ぼかし肥料を元肥として使う場合、比較的ゆるやかに効果が現れる穴肥の方法がおすすめです。作物を植える20〜30cm離れたところの土中にぼかし肥料をまぜる方法です。根の近くに施すと、一気に肥料成分が溶け出て、肥料焼けを起こすことがあります。
ただし、ぼかし肥料による元肥は、窒素が過剰になりやすいので、栄養バランスをよく考慮する必要があります。初心者は避けたほうが無難でしょう。
ぼかし肥料を追肥として使う場合は、一般的な化成肥料の半分の量を目安に施してください。また、土に混ぜ込むと一気に栄養分が供給されてしまうので、作物に直接触れないような周辺にまくだけにしておきましょう。
ぼかし肥料の魅力は、育てている作物や自分の好みに合わせて、栄養分を調整できることです。やや中級者向けの方法ではありますが、肥料から自分の手をかけてつくると、より園芸や家庭菜園の楽しさを味わえるかもしれません。
GreenSnap編集部