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化成肥料は初心者にも比較的扱いやすく、家庭菜園でもガーデニングでも、園芸を楽しむ上では、必ずといっていいほどお世話になる存在なので、その特性や効果を知っておきましょう。
今回は、化成肥料の効果や、その種類、使い方についてご紹介します。
そもそも肥料は、「有機肥料」と「無機質肥料(化学肥料)」の2種に大きく分けることができます。そのなかで「化成肥料」は、化学肥料の分類に属し、鉱石などの無機物から抽出した成分をを原料としています。
成分的には、肥料の3要素である、『窒素(N)・リン酸(P)・カリ(K)』のうち、2要素以上を結合したもので、形状は粒状、粉状、液状のものなど、多くのタイプがあります。
ちなみに、この結合に化学的な作用を利用しているため、化成肥料と呼ばれています。成分が化学的な物質なわけではないので、安直に化学物質だから危ないといった考えは誤りです。
化成肥料の特徴は、基本的には速効性で、短期間のうちに土に養分を補い、植物の生育をよくする効果があることです。また、栄養3要素のバランスが明確なので、植物の状態にあった化成肥料の選択ができ、初心者でも扱いやすいというメリットがあります。
他にも、有機肥料よりも安価であったり、臭いの発生や害虫の被害にあいにくいのも、化成肥料の特徴のひとつです。
ひとくちに化成肥料といっても、含まれる栄養配合量における種類分けや、加工によって効果の現れ方を変えた種類、成分による種類分けなどが存在します。それぞれ特徴が異なるので、詳しく見ていきましょう。
普通化成肥料は、窒素・リン酸・カリの配合合計が30%未満のものです。
一般的なものだと、窒素8%・リン酸8%・カリ6%(合計22%)などです。速効性で使いやすく、成分バランスがよいので、手軽で便利です。
高度化成肥料は、窒素・リン酸・カリの配合合計が30%以上のものです。
一般的なものだと、窒素15%・リン酸12%・カリ15%(合計42%)などです。配合量が多いので、速効性がありながらも、比較的効果が長持ちします。ただし、肥料焼けしやすいので施しすぎには注意が必要です。
IB化成肥料は、植物の根茎の生育に効果的な窒素を多く含んでいます。肥料の効果がゆっくり長続きするようにした化成肥料で、さらに窒素は水に溶けにくくなるよう加工しています。
被覆複合化成肥料は、化成肥料の表面を半(非)透水性の膜でコーティングしており、効果がゆっくりと長続きするように加工した緩効性の化成肥料です。
液体の化成肥料は、固形や粒状の化成肥料よりも、より速効性が高いのが特徴です。その分肥料成分が流れやすくもあり、効果が続く期間は1〜2週間ほどしかありません。
よく聞く「化成肥料8-8-8(888)」とは、窒素・リン酸・カリの配合量が各8%ずつ均等に含まれている肥料のことをいいます。
上記の肥料の種類区分でいうと、窒素8%・リン酸8%・カリ8%(合計24%)なので「普通化成肥料」にあたります。
「8-8-8」と「14-14-14」では、栄養素の含有率が異なります。「化成肥料14-14-14」とは、窒素・リン酸・カリの配合量が各14%ずつ均等に含まれている肥料のことをいいます。
上記の肥料の種類区分でいうと、窒素14%・リン酸14%・カリ14%(合計42%)なので「高度化成肥料」にあたります。
化成肥料はバランス性に優れた肥料ですが、ときには単肥(三栄養素のうちの一つの成分に特化した化学肥料)と組み合わせて使うのがいいでしょう。
例えばトマトの場合、収穫までに1㎡に対してチッソ25g、リン酸30g、カリ25gほどが必要とされます。基本的に、リン酸は必要全量を元肥ですべて補い、窒素とカリは元肥で必要全量の半分を施しますが、このとき、チッソ25g・カリ25gの半分である12gほどを基準に、元肥の量を計算して施すと、水平型化成肥料の場合、リン酸が不足しがちになります。
このようなときには、単肥である過リン酸石灰を使って補ってあげると、それぞれの栄養を適切なタイミングで補えるようになります。化成肥料まかせではなく、単肥とうまく組み合わせて使うといいでしょう。
化学肥料は、配合成分やその配合比率などによって効果が大きく変わります。化成肥料を与えるときは、成分の配合比率と育てている植物との相性にも注意して選ぶようにしましょう。
種類 | 配合比率 | 効果・使い方 |
水平型 | N=P=Kの配合量がそれぞれ等分に含まれる、配合バランスのよい化成肥料です。 | 多くの植物の元肥・追肥として効果的で、使い勝手がよいです。 |
山型タイプ | N<P>Kといったように、Pの配合量だけ多い化成肥料です。 | Pは葉の成長に効果的なので、鉢花、草花、花木、果樹、果菜類などにおすすめです。また、水平型と同様、追肥・元肥で使うことができます。 |
谷型タイプ | N>P<Kといったように、Pの配合量だけ少ない化成肥料です。 | NとKは茎葉と花付きに効果的なので、家庭菜園の野菜、とくに果菜類に向いています。水耕栽培での追肥としても効果的です。 |
上がり型タイプ | N<P<Kといったように、順に多く配合されている化成肥料です。 | 主に追肥用の肥料として、鉢花、草花、球根植物、根菜類におすすめです。 |
下がり型タイプ | N>P>Kといったように、順に少なく配合されている化成肥料です。 | 主に追肥用の肥料として、観葉植物、芝生、樹木、葉菜類などに向いています。 |
化成肥料の特性や、成分配合による効果の違いがわかると、植物の状態にあわせた肥料選びがしやすくなります。とくに化成肥料は初心者でも扱いやすく、失敗も少ないので、化成肥料で園芸や家庭菜園をより楽しめるようになるといいですね。
GreenSnap編集部