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彼岸花は球根植物のひとつで、秋のお彼岸ごろに花を開き、「死人花」などとも呼ばれる、昔から日本に自生している花です。赤くカールした放射状の細い花びらが印象深いお花ですが、店頭では「リコリス」などの別名で販売されています。
今回はそんな初心者でも育てやすい、彼岸花の育て方をご紹介します。
彼岸花は球根植物といって、種まきをして育てるのではなく、球根を植えて花を咲かせる宿根草のひとつです。
彼岸花は夏に植えて秋に咲く、夏植え秋咲き球根として知られています。秋に花が咲き、冬に花が終わると終わると葉がやっとで始めて葉だけの姿で越冬し、春になると葉を枯らして夏は休眠、秋になると急に花だけで咲くというサイクルを持ちます。
植えっぱなしでも育つほど丈夫な球根植物なので、花や葉が枯れたとしても心配しなくて大丈夫です。
彼岸花の植え付け時期は、6月初旬〜8月下旬ごろまでです。初夏ごろから園芸店に球根の姿で販売されます。開花してからの植え替えは嫌うので、必ずまだ発芽していない球根の状態のものを夏に植えましょう。
彼岸花を鉢植えする場合は、年に1回ほど同じ時期に植え替えが必要です。地植えの彼岸花は植えっぱなしで自然に増えていきますが、増えすぎて困ったときや風通しが悪いときは掘り上げて球根の整理をしましょう。
ここからは去年地植えにした彼岸花を例に、球根の整理の仕方や鉢への植え方・地植えへの植え方をご紹介していきます。
彼岸花は西日を避けた、日当たりのいいところで育てましょう。あまりに日当たりが悪いと、翌年の花付きが良くなりません。とくに彼岸花の葉が出ている冬の時期はよく日に当てて下さい。
鉢植えにして移動できるようなら、開花した後は明るい日陰程度の場所に移動させると、花もちが良くなります。
彼岸花は基本的に暑さや寒さには強い球根植物です。鉢植えはもちろん、寒冷地以外では地植えして植えっぱなしの冬越しできます。少々の霜には耐えますが、冬の積雪などが気になるなら、すこし盛土をするといいでしょう。
地植えの彼岸花には、水やりはほとんど必要ありません。あまりにもカンカン照りが続いたり乾燥しすぎる場合は、水を上げましょう。
鉢植えの彼岸花は花が咲いてから葉が枯れるまでの秋から晩春までは、土が乾いたらたっぷりと水やりしましょう。
夏は地上部はほぼ枯れて球根のみが行きている休眠状態で水分を必要としないため、葉が枯れたら断水してください。
彼岸花の栽培には、鉢植え・地植えともに、肥料はとくに必要ありません。
ただし、鮮やかな色の花を咲かせたいならば、葉のある冬の時期に緩効性化成肥料をあげると、球根が充実して赤色が鮮やかになります。
彼岸花の増やし方は、球根を分ける「分球」が一般的です。球根のやり方は先述のとおり、4月から6月頃に土を掘って、子球を手で割るようにすればいいだけです。ただし、植えてから、花を咲かせるまでは2年から3年かかります。
子球をたくさんつくって分球するには、この3点が大切です。とはいえ、地植えで育てると困るくらいに増えることもあるので気をつけましょう。
彼岸花は花と葉と茎と根に毒をもっており、リコリンなどのアルカロイドの一種を保持しています。
古来より稲作地に、ネズミやモグラなど土を掘る小動物などを、避けるために植えられてきました。そのため、害虫の心配はほとんどありません。
ただ、軟腐病に罹患しやすいです。水はけのよい土と環境を整えて、鱗茎の過湿には注意して下さい。
日本で”彼岸花”というと、どうしても墓地にあるお花というイメージが強いため、お花屋さんではリコリスの名で販売されています。
品種は、秋の中ごろに鮮やかな黄色の花を咲かすショウキランや、そのショウキランと彼岸花の交雑種である、白く、姿も彼岸花に似たシロバナマンジュシャゲ、東北以南に、あまり日の照りつけすぎない雑木林などに自生しているキツネノカミソリなどがあります。
園芸家からさまざまな品種改良が進められ、種類によっては紫色や、青色の花を咲かせるものもあります。
彼岸花は、9月ごろの時期に赤く細い花びらを放射線を描くように花を咲かせます。前述したように、品種によって色は白かったり、黄色かったりします。
彼岸花は、基本的には観賞用の植物です。ただし彼岸花は、飢饉や災害、戦争の際の救荒食物として利用されてきた歴史があります。彼岸花の毒は水溶性なので、水にさらせば食べることもできるのです。
致死量に至るためには、通常不可能なほど経口摂取しなければなりませんが、彼岸花は全草有毒種といって、根にも花にも茎にもすべてに毒を有している植物です。
そのため、「花を家に持ち帰ると家が火事になる」「摘むと死人が出る」「摘むと手が腐る」なと子どもたちは親に教えられてきました。これらのいい伝えは、その昔、子どもが無闇に非常時の備えのために植えた彼岸花を摘まないよう大人が守るために、そう教えたといわれています。
墓地に植えられてきた花であることも重なり、不吉な印象を抱かせる彼岸花ですが、実は昔から日本人には馴染みの深い花なのです。
欧米ではその育てやすさから、定番の観賞用植物になっています。暑さ寒さにも比較的強く、初心者でも非常に育てやすい種です。彼岸花の球根は、8月頃から販売開始しています。そんな彼岸花を、これを機に育ててみてはいかがでしょうか。
GreenSnap編集部