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さすらいのボタニスト、ヤガメです。こんにちは。
ユキワリソウ(雪割草)は花がかわいらしく、人気の高い植物です。
グリーンスナップにも、多くの方が写真をアップされています。
ユキワリソウを育てるのは難しくないのですが、暑くなって葉が枯れてしまった……という話を聞くことがあります。
実はコレ、生産者さんが使っている土に原因があるケースが、けっこう多いのです。
今回は、ユキワリソウを上手に夏越しさせるコツと、
「プロが使うからイイとは限らない」というお話です。
ユキワリソウ(雪割草)の名は園芸名で、正式にはオオスミソウといいます。
学名はHepatica nobilis(ミスミソウ、スハマソウと品種に分ける考え方があるようですが、分布以外で植物体の形態的特徴をきちんとした区別がしにくいのが実情です)。
日本海側の地域に自生する植物で、早春に花を咲かせます。
この写真は、僕ヤガメが、早春に撮影したユキワリソウ(オオスミソウ)。
小春日和ではありましたが、まだ吹く風が冷たいころに、咲いているのを見つけました。
咲いていたのは、こんな風景の、落葉広葉樹林の林縁。
車を駐車して、ちょうど1時間ほど歩いたあたりです。
ユキワリソウは、個体によって、花姿に変化があります。
多いのは白い花ですが、
ほんのり淡いピンク色になるものも。
一重だけでなく、二段咲きや三段咲きと呼ばれるタイプのように、花弁が重なって咲くものもあります。
近年では育種が進み、さまざまな花様の個体が人工的にも作られ、多くの花姿が楽しめるようになりました。
・花が終わった後に葉が出る
ユキワリソウの花が咲いているときにある葉は、実は、前の年に出た古い葉ばかりなのです。
もういちど、花が咲いている様子を見てみましょう。
なんだか、ちょっと、株元が寂しい印象ですね。
花が咲いている間は、新しい葉は出てきません。
花が終わると新しい葉が出てきます。
展開した葉を付けたまま冬を越し、早春に花を咲かせるというサイクルです。
・せっかく出た葉が枯れることが
ユキワリソウの栽培は特に難しくはありませんが、長期間安定して維持するには、それなりの管理が要求されます。最も注意しなければならないのは、夏の管理。
ユキワリソウを枯らしてしまう最大の原因は、夏枯れなのです。
適切な管理ができていないと、夏に展開して数か月しか経過していない葉が枯れてしまうことがあります。
・葉が枯れる原因は……
葉が枯れてしまうのには、いくつかの原因があります。
まず用土の問題。
しかも、買ったばかりの株の用土に、問題があることがあるのです。
・プロの土はちょっと違う(ことがある)
実は、ユキワリソウが生産者さんに育てられていたときの環境が、ヤッカイな問題を引き起こすことがあるのです。
生産業者さんの多くは、温室で雪割草を生産しています。
そして鉢の内部が過湿になることを防ぐために、粒の大きな用土で育てていることが多いのです。
・まずは用土をチェック
株を新しく入手した場合、まずは、どんな土で植えられているか、よくチェックしてみましょう。
グリーンスナップにアップされている写真の株も、さまざまな用土で植えられています。
たとえば…
写真で見ただけでも、粒の大きさや、ミックスされている用土の配合割合が異なるのがわかります。
・温室と家庭の栽培棚の違い
生産者さんの温室で栽培されていた環境と、一般家庭で栽培される環境は、たいていの場合、大きく異なります。
温室は、常に湿度が高い環境です。
一般家庭の栽培棚は、気温が上がってくると水の蒸発するスピードが早くなり、土も乾燥しやすくなってきます。
・生産者さんの元で元気でも……
湿度が高い環境の温室で元気に育っていた株を、そのまま乾燥の激しい一般家庭の栽培棚に移すと、急に元気がなくなることがあります。
植物が水分を十分に吸収できず、脱水症状を起こしてしまうためです。
ひどいときには、葉が枯れてしまうこともあるのです。
・細い根をたくさん出させるのがコツ
生産業者さんの多くは、温室でユキワリソウを生産しているので、鉢の内部が過失になることを防ぐため、粒の大きな用土で育てていることがあります。
そういった条件だと、植物体は太い根をまばらにしか発達させません。
乾燥の激しい一般家庭の栽培棚では、細かい根をたくさん伸長させるのが、上手に育てるコツです。
それには、粒のやや細かく、水はけのよい用土で植えつけるようにしましょう。
・栽培に適した用土を
見落とされがちなのですが、生産者が使っている用土が、自分の栽培棚における栽培に、必ずしも適しているとは限りません。
プロが使っている用土だから、よい用土、というイメージがあるかもしれませんが、一概には言えません。
栽培環境に適した用土を用いることが大切なのです。
ユキワリソウが夏に枯れてしまう原因には、ほかにも考えられます。
春先以降に十分な水やりをしなかったり、肥料が少なかったり、多すぎたりして、
新葉が貧弱なまま夏を迎えてしまったことも、枯れる原因になります。
梅雨に入ってから強光に当てたり、蒸れや高温にさらしてしまうのもよくありません。
植物を健全に育てるには、日照、用土、灌水(水やり)、肥料など、さまざまな要素を整えることが大切なのです。
フローリスト編集部