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山草の一覧

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醜男
白椨(シロダモ) クスノキ科シロダモ属の常緑高木。身近な山野に普通に生える。葉は枝先に集まってつく。やや長い楕円形の葉を見ると、葉脈が基部からすぐの所で3本に分かれて伸びているのが目立つ。これを三行脈といい、同じクスノキ科のクスノキやニッケイと共通の特徴である。春の若葉はだらりと垂れて、柔らかな毛に覆われ黄金色に輝き美しい。成葉になると毛は落ち、葉裏の白色が目立つ。花期は10~11月。雌雄異株。雄花のほうが華やか。雌花はやや地味だが、同時に赤い果実が熟す。果実は液果。長さ1.5㎝ほどの広楕円形。翌年の10~11月頃に赤く熟し、同時期に花も咲くため同じ枝に花と果実が見られる。種子はほぼ球形で径9㎜ほど。果実は常緑の葉の中で目立ち鳥を呼ぶ。種子に油が含まれ、灯火の油やろうそくの材料にされた。 タブノキと同じクスノキ科に属し、『タブ』の音が変化して『タモ』になったと考えられている。『シロ』は葉裏が白いことに由来する。シロタモは言いにくいので、『タ』が『ダ』に変化しシロダモになったようだ。アオダモはモクセイ科で、シロダモと名前が似ているが、植物としては仲間ではない。 出典『葉っぱで見わけ五感で楽しむ樹木図鑑』『里山の花木 ハンドブック』『都会の木の花図鑑』『草木の種子と果実』『樹木の名前』
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醜男
ピラカンサ バラ科トキワサンザシ属の常緑低木。ピラカンサはトキワサンザシの仲間の総称で、日本では主にトキワサンザシ、ヒマラヤトキワサンザシ(別名 カザンデマリ)、タチバナモドキの3種類がピラカンサと呼ばれている。雑種も多く、識別するのが難しいケースもある。いずれも一年中細い枝に艶やかな濃緑色の小さな葉をつける。花期は5〜6月。木に雪が降り積もったように白い花が枝を埋める。秋から冬にかけて枝がたわむほど果実が実る。果実は偏球形の偽果(ナシ状果)。美味しそうに見えるが毒があり、まとめて食べれば鳥も毒にあたる。3種類とも耐寒性、耐暑性に優れ剪定にも耐える。 名前は属名の音読み。属名はpyro(炎)+acantha(刺)の合成語。果実の熟した鮮やかな果色を炎にたとえ、枝に刺があることを表す。 3種類の違いは次の通り。 常磐山査子(トキワサンザシ) ・西アジア原産で明治時代中期に渡来した ・赤い果実は扁平で小さめ ・葉は靴べら形 ヒマラヤ常磐山査子(別名 花山手鞠カザンデマリ) ・ヒマラヤ原産 ・赤い果実は3種類の中で最も大きい ・葉は細長い 橘擬(タチバナモドキ) ・中国原産 ・果実は黄橙色 ・果実の色と形がミカン科のタチバナに似るのが名の由来 出典『樹木の事典600種』『葉っぱで見わけ五感で楽しむ樹木図鑑』『樹木 見分けのポイント図鑑』『草木の種子と果実』
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醜男
荻(オギ) イネ科ススキ属の多年草。水辺に生える。高さ1〜2.5m。ススキのように株を作らず、根茎が長く横に伸び、しばしば大きな群落を作る。葉は長さ50〜80㎝、幅1〜3㎝で、花期には下部の葉は枯れて無い。葉舌はごく短い。花期は9~10月。花序は長さ25〜40㎝とススキより大きく、枝も密に出る。小穂は長さ5〜6㎜で、基部に小穂の2〜4倍の長さの銀白色の毛が密生する。両性の小花の外花頴にはふつう芒(のぎ💬イネ科の種子にみられる細く尖った糸状の付属物、針のような毛)がなく、あっても短く、小穂の外に出ることはない。果実は頴果。狭披針形でやや平たい。 万葉集をはじめ、奈良時代のほかの文献にも登場する。古くから屋根葺き材として知られていた草で、ススキに似ているが、銀白色の花序は馬の『尾』のように見えた。草丈は大きく、約2mにも達した草であるが、長く、太い茎が『木』に思えた。『尾の木』がオギになり、万葉仮名の『乎岐』『乎疑』『乎支』『乎木』などを当てた。その後、中国名で『荻』と書くことが知られて、オギに荻の字を当てた。 よく似た薄(ススキ)との主な識別点は次の通り。 オギ ・湿った場所に生える ・地下茎から本ずつ茎が出る ・小穂に生える毛は銀白色 ・小穂に芒がない ススキ ・乾燥した場所に生える ・茎は叢生(そうせい💬草木などが群がり生えること)して大きい株をつくる ・小穂に生える毛は黄金色 ・小穂に折れ曲がったが芒ある 出典『野に咲く花』『草木の種子と果実』『野草の名前 秋冬』
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醜男
蝮草(マムシグサ) サトイモ科テンナンショウ属の多年草。山地の林内に生える。色や形に変異が多い。葉は2個、小葉9~17個。 偽茎(ぎけい💬地下茎から出た葉鞘が重なり合って、あたかも茎のように見えるもの)にまだら模様があり色は赤紫褐色。花期は4~6月。蛇の鎌首を思わせる花が咲く。この部分は仏炎苞といい、苞葉の変形。苞葉の色は淡緑から紫色で、白いすじが目立つ。仏炎苞の内側には太い花軸が屹立しており、花軸の下部に集まってつく突起の一つひとつが真の意味での花に相当する。花軸の上部は棍棒状に長く伸び、丸い先端が鎌首からちらりとのぞく。この部分は付属体と呼ばれる。付属体から特殊な臭いを発してキノコバエを誘い込み、花粉を運ばせる。赤く熟す実には大小があり、種子の数もまちまち。 蝮草は雄から雌へ性転換する。若い蝮草の花は雄花で花粉だけを作る。地下茎に栄養を蓄え十分に大きく育つと雌花を咲かせて実を結ぶようになる。性転換する理由は、雌として子作りや子育てをするには大きなエネルギーが必要なため、まだ体が小さいうちは体力的負担の軽い雄として花粉をばらまき、体が大きく育ってから雌になって確実に自分の子を作るため。 偽茎のまだら模様がマムシの模様に似ていることが名前の由来。花(仏炎苞)の形がマムシが舌を出した形に似ていることが由来との説もある。 出典『四季の野の花図鑑』『したたかな植物たち 春夏編』『里山の植物ハンドブック』
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醜男
嫁菜(ヨメナ) キク科シオン属の多年草。山野の湿った所や道端にふつうに生える。茎ははじめ赤みを帯び、上部でよく枝分かれする。茎の下部や中部の葉は長さ8〜10㎝、幅約3㎝の卵状長楕円形で、縁には粗い鋸歯があり、3脈がやや目立つ。花期は7~10月。枝先に直径約3㎝の帯青紫色の頭花を1個ずつつける。果実は痩果。長さ約3㎜の扁平な倒卵形で、冠毛は長さ約0.5㎜。 『万葉集』にはウハギの名で登場し、古くから若菜摘みの草として知られている。『嫁』はやさしく美しいことからという説もあるが、はっきりした語源は分からない。若葉は特有の香りがあり、ヨメナ飯は菜飯の代表格。和え物や油炒め、天ぷら、汁の実にしても美味しい。 本種は雑種起源ともいわれる。大陸から朝鮮半島を経由して日本に入った大柚香菊(オオユウガギク)と、中国中南部から入ってきた小嫁菜(コヨメナ)の交雑によってできたという。オオユウガギクとの識別は研究者によって様々な意見があり非常に難しい。また、野紺菊(ノコンギク)によく似るが、違いは次の通り。 ヨメナ ・葉は幅広で鋸歯があり、無毛で光沢がありつるつるしている ・頭花は枝先に1個ずつつく ・頭果の冠毛は0.5㎜ほどと短く、ないに等しい ・種子の形はなで肩。冠毛の長さが約0.5㎜と長い ノコンギク ・葉は大きく、幅広で、鋸歯の切れ込みは浅め、毛が生えていてざらざらしている ・頭花は散房状につく ・頭果の冠毛は長くふさふさしている ・種子の冠毛は種子より長い 出典『野に咲く花』『秋の野草』『四季の野の花図鑑』『野草 見分けのポイント図鑑』『帰化&外来植物見分け方マニュアル 950種』
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醜男
コスモス キク科コスモス属の一年草。メキシコ原産で世界中で観賞用に栽培される。全体無毛。茎は直立してよく分岐し、高さ2mに達する。葉は2~3回羽状に細裂し、裂片は線状、柄があって対生する。花期は6~11月。茎の頂が分岐してその先に直径7㎝ほどの頭状花を多数つける。舌状花は先端3裂して大きく10枚前後、白色~淡紅紫色、筒状花は黄色。果実は痩果。線形で長さ1㎝ほど。休耕田や道路沿いに景観作物としても広く使われており、しばしば野生化している。 秋の花として親しまれ、公園や観光地などで一面のコスモス畑が見られる場所も多い。本来は夜の時間が一定以上長くなると咲く短日植物のため、以前は秋咲きが普通だったが、近年は夏から咲く早咲き品種が主流。一重のほかに半八重や花弁が筒状になったもの、鉢植え用に改良された矮性種、仲間の黄花コスモス、チョコレートコスモスなど花色、花形も多彩。早咲き性のものと日が短くならないと咲かない遅咲き性のものがある。 コスモスはギリシア語で『美しい飾り』の意味。日本の秋を代表する草花で、サクラに似た花をつけることからアキザクラの和名がある。 出典『日本帰化植物写真図鑑』『色と形で見わけ 散歩を楽しむ花図鑑』『花の事典 970種』
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74
醜男
蔓蕺草(ツルドクダミ) タデ科ソバカズラ属のつる性多年草。中国原産の帰化植物。江戸時代の1720年頃に長崎を経由して江戸に薬用植物として導入され、逸出・野生化した。関東以西の市街地なとに発生する。葉は長さ3〜7.5㎝の卵形で先は尖り、基部は心形。葉柄に関節があり、ここから脱落しやすい。花期は8~10月。花序は円錐状で、ひとつの花序に雄花と雌花が混じってつく雌雄雑居性。雄しべが目立つのが雄花。雌花の雌しべは花被より短く、目立たない。花被は緑白色ときに紅色で5裂する。果実は痩果。花のあと雌花の花被片3個は翼状になり、痩果を包む。こぼれ種で殖える。春の若芽や若葉は天ぷら、お浸しに利用できる。 名前は、葉がドクダミの葉とよく似たハート形をしていることにちなむ。漢名は何首烏(カシュウ)。唐の時代、泰山に住む『何(か)』という名の老人が、ツルドクダミの塊根を摂ってから、白髪や白いひげが烏(からす)のように黒くなったという中国の言い伝えに由来する。漢方ではサツマイモのような塊根を何首烏といい、滋養強壮、感染予防、加齢による虚弱の快復などを助ける薬として名高い。血液中のコレステロール値を低下させる作用や、中性脂肪を減らす作用なども報告されている。毛根にたまった脂肪を除去する働きから、育毛剤にも多く使用される。 昔、中国に病弱で悩んでいた『何 田児』という初老の男が、2組のつる性の草が抱き合ったり離れたりしているのを不思議に思い、根を掘って飲んだところ体力がつき若返り、白髪も黒々となった。子も孫の『何 首烏』もこれを愛飲し、ともに130歳まで長生きしたというので、不老長寿の薬として栽培された。日本では、八代将軍徳川吉宗が薬用として中国から導入し、江戸の小石川に植えさせて諸国の大名の間で栽培が広がったが、不老長寿の薬としては効果がなくブームは去り、捨てられ野生化していった。大正末期にも強壮剤として何首烏ブームが起こったが、効果がないためにブームもすぐに終わったという。 出典『野に咲く花』『日本帰化植物写真図鑑』『帰化&外来植物見分け方マニュアル 950種』『生薬単』『薬草の呟き』『自分で採れる薬になる植物図鑑』
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醜男
小紫(コムラサキ) シソ科ムラサキシキブ属の落葉低木。湿地などの近くに自生するが自生種はまれにしかなく、栽培種が逃げ出して野生化したものが多い。自家受粉により結実できるので実つきがよく、一般に市販されているものはほとんどが本種である。庭や公園に近縁種の紫式部(ムラサキシキブ)の名で植えられ、園芸店でもムラサキシキブといって販売されていることもある。葉は小さく、上半分だけに鋸歯がある。花期は6~8月。10~20個の淡紫色の花を葉腋の上部につける。花は雄しべ4本、雌しべ1本が突き出る。果期は9~11月。果実は核果。径3㎜ほどの球形で、葉の付け根より上につく。紫色を帯びた細い枝が長く伸びて枝垂れ、丸い果実が群がるようにつく。白い果実の園芸品種がありシロミノコムラサキまたはシロシキブと呼ばれる。 樹高3mほどの近縁種、ムラサキシキブに似るが、樹高が40~120㎝で小さいことが名の由来。別名のコシキブは、紫式部に対して、優雅な女流歌人として知られた『小式部内侍(こしきぶのないし)』にあやかってつけたともいわれる。また、ムラサキシキブは江戸時代初期までは実紫(ミムラサキ)、玉紫(タマムラサキ)、山紫(ヤマムラサキ)といい、その語源は紫の実が敷きつめられた『紫敷き実』であったようで、このムラサキシキミが変化してムラサキシキブになった。別の説として、紫色の実がたくさん成ることから『紫繁実(むらさきしげみ)』の転訛ともいわれる。他にも、植木屋が源氏物語の筆者『紫式部』にあやかろうと、ミムラサキの実の色にかこつけて命名したのではないかともいわれる。 よく似た紫式部(ムラサキシキブ)、藪紫(ヤブムラサキ)との識別点は次の通り 小紫 ・紫式部より全体に小形 ・葉は小形で若葉に毛がある ・花は葉柄からやや離れてつく ・果実は径3㎜で葉の上側にまとまってびっしりとつく ・茎に稜の出ることがある 紫式部 ・葉は無毛 ・花は葉柄の付け根につく ・果実は径3.5㎜でまばらにつく ・茎はまるい 藪紫 ・葉は裏面に毛が密生する ・花は葉腋に数個つく ・果実は径4~5㎜で葉に隠れる部分もある ・果実の半分を毛のある萼が包む ・茎はまるい 出典『木の実のガイド』『里山の花木 ハンドブック』『都会の木の実・草の実図鑑』
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紫式部(ムラサキシキブ) シソ科ムラサキシキブ属の落葉低木。野山の雑木林に生える。高さ3mほどに育ち、細身の枝を横方向に広げる。葉は対生し、尾状に先が尖った長楕円形で鋸歯がある。花期は6~8月。対生する葉の付け根に芳香のある淡紫色の小さな花が群れ咲く。筒形の先が4裂して平らに開き、4本の雄しべが突き出る。果期は9~12月。果実は核果。径約3.5㎜の球形で、葉が緑色の頃から紫に色づき、落葉後も枝に残る。園芸店でムラサキシキブといって販売されているものは、ほとんどが近縁種の小紫(コムラサキ)である。 ムラサキシキブの幹は真っすぐ伸びて強く、金槌などの道具の柄、杖、箸、傘の柄に用いられた。特殊な用途として、火縄銃の銃身掃除や弾丸込めの唐子棒に使われた。 江戸時代初期までは実紫(ミムラサキ)、玉紫(タマムラサキ)、山紫(ヤマムラサキ)といい、その語源は紫の実が敷きつめられた『紫敷き実』であったようで、このムラサキシキミが変化してムラサキシキブになった。また、紫色の実がたくさんなることから『紫繁実(むらさきしげみ)』の転訛ともいわれる。他にも、植木屋が源氏物語の筆者『紫式部』にあやかろうと、ミムラサキの実の色にかこつけて命名したのではないかともいわれる。 よく似た小紫(コムラサキ)、藪紫(ヤブムラサキ)との識別点は次の通り 紫式部 ・葉は無毛 ・花は葉柄の付け根につく ・果実は径3.5㎜でまばらにつく ・茎はまるい 小紫 ・紫式部より全体に小形 ・葉は小形で若葉に毛がある ・花は葉柄からやや離れてつく ・果実は径3㎜で葉の上側にまとまってびっしりとつく ・茎に稜の出ることがある 藪紫 ・葉は裏面に毛が密生する ・花は葉腋に数個つく ・果実は径4~5㎜で葉に隠れる部分もある ・果実の半分を毛のある萼が包む ・茎はまるい 出典『里山の植物 ハンドブック』『都会の木の花図鑑』『薬草の呟き』『樹木の名前』
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唐橘(カラタチ) ミカン科カラタチ属の落葉低木。中国原産で薬用植物として奈良時代に渡来した。暖地では野生化しているものも少なくない。落葉性で耐寒性が強く、東北地方でも見られる。病気に強いので柑橘類の接ぎ木の台木に使われる。枝は葉緑素をもち緑色で稜があり、5㎝を超える長く鋭い刺がある。この刺を利用し、防犯、動物避けのために生垣や畑のまわりの柵として植えられた。花期は4~5月。葉が芽吹くより早く、長い刺の付け根に香りの良い白い花を1つずつ開く。秋に黄色に熟す果実をつける。カラタチは、果実の皮が剥けない、内部の果肉は固い、種子がたくさんできる、葉が落ちるなど、ミカン、キンカン、ナツミカンなどの柑橘類とは違っており、ミカン属から分けて、独自のカラタチ属に入れて区別されている。果実は乾燥させてから果実酒などに利用する。果実が熟す前に収穫し、3〜4つに輪切りにして日干しにする。この際、徹底的に乾燥させることが重要。乾燥不十分だと、服用の際に吐き気を催す可能性がある。 名前は、中国から渡来したことから、日本の橘に対して唐の橘であるからカラタチとなった。 出典『樹木の事典 600種』『都会の木の花図鑑』『里山の花木 ハンドブック』『薬草の呟き』『散歩で見つける薬草図鑑』『樹木の名前』
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醜男
槐(エンジュ) マメ科エンジュ属の落葉高木。中国原産で1000年以上前に渡来したとされる。庭園樹、公園樹、街路樹などに利用される。葉は奇数羽状複葉で長さ15〜25㎝、9〜15枚の小葉がつく。花期は7~8月。花は淡黄白色の蝶形花。大量の花を咲かせ、その花が散り始めると樹の下が淡黄白色に染まる。果実は豆果。長さ4〜7㎝、数珠状にくびれ、裂開せず中にはべたつく果肉に包まれた種子があり、長く枝に残る。種子は歪んだ楕円形で黒褐色、やや光沢があり、へそは端に偏りやや凹む。冬の野鳥や小動物の貴重な食料となり、ヒヨドリは果肉とともに種子を食べ糞には種子が混じる。新芽は天ぷらやお茶に、花の黄色の色素はルチンで高血圧の薬、または乾燥させて止血薬とし、花と果実は染物の染料、果実は痔薬、熟した果実は揉み出して石鹸にと非常に生活に役立つ。 ハリエンジュ(ニセアカシア)と違い刺はない。ハリエンジュが春に開花するのに対し、本種の花期は初夏から夏にかけてである。また、イヌエンジュより小葉がやや細く枚数が多い。枝が垂れる栽培品種をシダレエンジュといい、稀に植栽される。 中国では高貴な木とされ、古くから宮廷の庭に植えて大臣の座る位置を示した。最高位の三大臣が槐に向かって座し、その左右に九卿が並んだ。このことから、後に大臣のことを槐位、槐座というようになり、エンジュは立身出世の縁起木となった。 源実朝は、鎌倉幕府の将軍となったものの、北条氏に実権を握られていて、飾り的な将軍になっていた。その現実から逃避するため、歌づくりに励む。朝廷ともよい関係をつくり、右大臣にまで昇る。右大臣を表す言葉が槐である。その上に鎌倉の鎌の金偏の金をつけて、歌集『金槐和歌集』を出した。 『和名抄』ではエンジュの槐を『恵爾須(えにす)』と表示している。エニスがエンジュに変化したという説もある。 出典『葉っぱで見わけ五感で楽しむ樹木図鑑』『草木の種子と果実』『薬草の呟き』『樹木の名前』
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