新宿御苑のヤシ紹介その10

Sabal minor(ミキナシサバル)
クマデヤシともいいます。
うちにいるエトニアとともに最も小型のサバルヤシです。
自生地はアメリカ合衆国のノースカロライナ、サウスカロライナ、ジョージア、フロリダ、アラバマ、ミシシッピ、ルイジアナ、アーカンソー、テキサス、オクラホマ各州で、産地によって形態が少しずつ異なります。
また同じ産地のものでも日向に植えると葉が大きくなる傾向があり、日陰では幹が地上に現れにくく葉もやや小ぶりになるようです。
この株の葉は通常よりも小さめで全高は腰ほどの高さしかありませんでした。

見た目は何となく地味な印象ですが、このヤシの魅力は驚異的な耐寒性にあります。
自生地の一つアラバマ州チェロキー郡ではかつて最低気温-11°F(-24℃)が観測されました。そんな土地で自然に繁殖しているというのですから凄いことです。
植栽としてはニューヨークやシカゴといったヤシのイメージとは程遠い場所でも見られるそうです。
ただし、生育には高温が必要で、夏の最高気温が低い北欧等ではなかなか成長しないようで、そうした地域では冷涼な気候を好むシュロのほうが適していそうです。