『ホトトギス』
🏷️今日のお花



🌸 花 ホトトギス（杜鵑草／時鳥草）

学名：Tricyrtis hirta
ユリ科ホトトギス属
秋の山野にひっそり咲く多年草。
花びらに散る紫の斑点が、まるで鳥の「ホトトギス」の胸の模様に似ていることから、その名がつきました。

✿ 花の特徴

・花期：9〜10月
・斑点模様の花が“妖しい美しさ”を放ち、日陰や渓流沿いなど静けさの中で咲く。
・和の庭でも人気があり、楚々とした中にも艶やかさを持つ花。

✿ 花言葉

「秘めた意志」「永遠にあなたのもの」「忍耐」
どれも、強さと儚さが同居するような意味をもっています。

✿ 逸話・伝承

昔から“人知れず咲く花”として、山の精が愛でる花と呼ばれました。
夜露をまとった花は「月明かりの雫を宿す」とも言われ、見る者の心を惑わせる――そんな妖しさを秘めています。
また、斑点模様が「血のしずく」に見えるとして、戦で散った武士の魂が宿る花とも語られたことがあります。

🕊️ 鳥 ― ホトトギス（時鳥／杜鵑）

学名：Cuculus poliocephalus
カッコウ科の渡り鳥。
「特許許可局（トッキョキョカキョク）」のような鳴き声で有名な、初夏の風物詩。

🐣 習性 ― 托卵（たくらん）

ホトトギスは自分で巣を作らず、他の鳥（ウグイスなど）の巣に卵を産みつけます。
孵ったヒナは、巣の中の他の卵や雛を外に押し出してしまい、親鳥は自分の子だと信じてそのヒナを育てます。
自然界の“したたかな生存戦略”とも、“切ない運命”ともいえる習性です。

ホトトギスの雛の口の中は、実際に非常に鮮やかな赤色（または朱色に近い赤）をしています。あの驚くべき赤色は、托卵成功のための重要な進化です。

この鮮やかな赤色は、仮親（ウグイスなど）の給餌本能を極限まで引き出すための「超正常刺激（スーパーノーマル・スティミュラス）」として機能すると考えられています。仮親は本能的に「口が大きく、色が鮮やかな雛ほど、元気でたくさんの餌が必要」と認識して、より熱心に餌を与えるのです。

ホトトギスの雛は、仮親の雛を巣から排除することで、餌を独り占めするうえ、この赤い喉で最大限の餌を引き出すという、二重の戦略で大きく成長します。


🕊️ 鳴き声に込められた情

古来より日本では、ホトトギスは「思いを告げる鳥」とされ、万葉集や俳句では「待ち人」「哀しみ」「恋しさ」を象徴してきました。
松尾芭蕉も「五月雨を　集めて早し　最上川」と詠んだ旅で、この鳥の声を聞いたと記録に残しています。

🌙 花と鳥 ― 名を同じくして

花の斑点は鳥の胸の模様に似て、
鳥の声は人の恋しさや孤独を映す。
どちらも、"静けさの中に潜む情念”を秘めています。

杜鵑草は秋に妖しく咲き、
ホトトギス（鳥）は
初夏に哀しく鳴く

季節も性格も異なるのに、
どちらも「儚くも美しい命の象徴」として、日本人の心に深く根づいているんですね




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コメント📝
下さった皆さま
ありがとうございました🙇‍♀️
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