顔を洗っていたら目玉が取れたので、入れ直そうと瞼を裏返した。
ｵｺﾛｰﾝｵｺﾛｰﾝと何かが鳴いて、見やるとコーヒーがコポコポ湯気をたてて素敵な香りを漂わせてきた。
急いで目玉を入れると、二階の子供たちを起こしにいく。

「ママ! 瞼がめくれてる!!」と子供たちから指摘された。
「いいの。いいのよ。今日はハロウィンなんだから。」

子供たちは、朝から腕が絡まっていて布団から、なかなか出られないでいる。
一本取れちゃってる子供もいる。

どうにか、ごそごそと這い出てきて、ミルクに浸した白いパンを食べ、コーヒーを飲みたがった。
本当は、子供はコーヒーは飲んではいけない。
でも、今日はハロウィンだからと。
ひとりの子供は、コーヒーにどっぷり浸かって、恍惚としていたから、早く飲みなさいと急かす。
後片付けって、大変なのよ、と私は浸かってﾋﾞｼｮﾋﾞｼｮになった子供を絞ってテーブルに置き、裏返った瞼をﾋｸﾋｸさせた。

「パパはぁ❓」
と子供たちが言う。
うちの子たちのお馬鹿ぶりには、本当に困ってしまう。
「パパは、あそこ。昨日皆んなで、吸い尽くしてしまったから、もうゴミになっちゃってる。」

干からびた黒いものがコート掛けに吊るされていたが、原型をとどめていなかったので、子供たちには認識できなかったようだ。

「さあさあ、もう皆んな遊びに行ってらっしゃい! ママは後片付けで忙しいの!」
子供たちは、わあーい!と散り散りになって潰れ潰されながら庭に這い出ていった。

〜ハロウィンの蜘蛛〜🕷️

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