【ピンクッション物語　第一話】

部活動が終わって、こみあっていた下駄箱がやっと閑散とした。

それじゃあ、失礼します！
職員室のドアを閉めて廊下に出た卓は、下駄箱の周りで何かを探してうろうろしてる女の子に気がついた。

ゴミ箱や掃除用具入れ、玄関の植え木鉢の裏まで探した女の子は、大きなため息をついて、わたり廊下にどっかと腰を下ろすと、泣きそうな顔をしてしばらくじっとしていた。

いじめ。。かな？
どうしよう、今は出ていかない方がいいかな？

卓が見ていると、女の子は大きく頭をふって、何やら鞄から取り出して、銀紙をむいて食べ始めた。

チョコレート😳?
おいおい、、下駄箱で？
食ってら(笑)
強いな！

笑いながら、卓が声をかけた

すっげえな！
下駄箱でおやつ食うやつ、はじめてみた。


びっくりして振り向いた女の子の頬が、みるまに真っ赤に染まった。

しー！！これ内緒です！
初犯ですから、見逃してください！

女の子の目元に、涙の粒が光っていたが、気づかないふりして、卓が続けた。

よかろう！
ただし、袖の下にそのほうの隠し持ったものを半分所望じゃ


ははー( ﾉ;_ _)ﾉ🍫
これにてございます。

かしこまった口調で、女の子はチョコレートを半分に折ると、卓に差し出した。
それを受け取ると、卓は女の子の隣にどかっと腰かけた。

それじゃあ、俺も！
🤫内緒と言うジェスチャーをして、卓がチョコレートを頬張ると、女の子も笑って残りを口にした。


ところで、何か困っていたの？

一瞬、女の子は固まった様子だったが、ポツリポツリと話し出した。

いつもの事だけど、
靴がなくなっちゃって。
今日の靴は、母さんからの誕生祝いだったから。。とっても大切なものなの。

最後の言葉はちょっと震えて、泣くのをやっとこらえてる様子だった。

いじめられてんのか、お前！
ちくしょう、ひどい奴等がいるんだな！
だけど、お前、何でいじめられてんの？


(続く)


オオイヌノフグリ
花言葉は信頼
第一話の📍ピンは、信頼がテーマです。


🌱北風が冷たく通りすぎる原っぱは、一面に枯れていましたが、そんな原っぱの草の中で、小さな花があちこちで咲いていました。

光を浴びて、きらきらと、
精一杯咲いてる姿に、

あぁ、草たちも
春を信じてるんだなって
もうすぐもうすぐって
言っているようで
とっても、嬉しくなりました。