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庭木にも人気のシャクナゲは、常緑性の性質と春ごろに咲かせるかわいらしい花が魅力の低木花木です。一度庭に植え付けてしまえはほとんど手入れはいりませんが、剪定や花がら摘み、芽かきなどの手入れをすると、毎年より美しく花を咲かせられます。
今回は春に華やかな花を咲かせる花木、シャクナゲの育て方をご紹介します。
シャクナゲは「花木の王様」とも呼ばれ、春を彩る常緑性花木のひとつとして人気です。低木なので、庭木にしても扱いやすく、常緑性があるため目隠し的な効果も発揮します。
耐暑性が弱いので夏場は多少暑さ対策が育て方のコツとなりますが、最近では日本の気候に合わせて改良された園芸品種も多いので、栽培地域にあった品種を選ぶようにしましょう。
シャクナゲは適度な日当たりを好みます。鉢植えでも地植えでも栽培可能ですが、季節に合わせた管理が必要です。地植えの場合は後述の手入れの項目を参考にしてください。
シャクナゲを鉢植えで育てる場合、深型の駄温鉢がおすすめです。春〜秋は風通しの良い日当たりで管理しましょう。なお、直射日光や強い西日は避けてください。冬は風の当たらない軒下などで保護します。
シャクナゲを地植えで育てる場合、風通しの良い、西日の当たらない半日陰に植え付けてください。酸性土壌をこのみますが、コンクリートの近くはアルカリ性に傾きやすいので、避けて植えるか、鉢ごと植えるようにしてください。
シャクナゲを鉢植えで育てている場合、鉢中の土が乾いたら、鉢底からもれ出すまでたっぷり水をあげてください。夏場の高温期は1日朝夕の2回、葉水をかねて水やりしてください。
シャクナゲを地植えで育てている場合は、基本的に水やりは必要ありません。ただし、夏場は水分が乾燥しやすいので、1日1回朝か夕に水やりをしてください。冬場は雨が降らない日が続き、極端に乾燥するようであれば、水やりをしましょう。
シャクナゲは水もち、水はけのバランスがとれた酸性の土壌が好みです。
シャクナゲを鉢植えで育てる場合、用土の配合は硬質鹿沼土小粒5:腐葉土2:ピートモス4の比率がいいでしょう。市販の山野草培養土に赤玉土小粒を同量まぜあわせたものや、シャクナゲ専用培養土も販売されているので、そちらもおすすめです。
シャクナゲを地植えで育てる場合は、植え付ける土壌に応じて、水もち・水はけのよい酸性土壌につくり変える必要があります。植え穴を掘ったら、穴底に軽石(大粒)を10cmほど敷いて、酸度未調整のピートモスと腐葉土の等量配合土をつかって、植え付けていきましょう。
シャクナゲの肥料は、基本的に5月ごろの花後に与える礼肥、9月の寒肥の、年2回を目安に施してください。いずれも油かすなどの有機質の肥料がおすすめです。または緩効性化成肥料を使用してください。
シャクナゲを地植えで育てている場合、樹形の先端の枝葉から真下の地面部分まで根が張っているので、株の外周に浅く埋め込んでいきます。
ただし、根がきちんと張る前の、植え付けから1年は、肥料は必要ありません。反対に、大株のシャクナゲには2回目の寒肥を2月ごろに施すといいでしょう。
シャクナゲの植え付け・植え替えは、いずれも3月ごろの花芽が伸びる前、もしくは10月前後が適期です。花付きの苗の場合は10月の植え付けをおすすめします。
シャクナゲは根を浅く広く伸ばしていく性質があるので、高植えを意識して植え付けてください。
苗木の場合は毎年、成木の場合は3〜4年に1回を目安に植え替えをしてください。根鉢を3分の1〜2分の1ほど崩して、古い土を落とします。このとき変色した古い根などがあれば切り落としてください。前述の用土を入れた一回り大きい鉢に、根を広げながら植え付けていきます。
植え付けたら水をたっぷりとあげて、1週間ほど風の当たらない日陰で管理してください。
シャクナゲの苗を植え付けでは、根を傷めないように根鉢の土を3分の1ほど落として、植え穴に前述の用土を戻して、根を広げながら高植えしていきます。株元に5cmほど腐葉土でマルチングをして、支柱を挿して苗木を支えましょう。
シャクナゲはあまり樹形を乱さず成長していきますが、休眠明けの3月ごろに、透かし剪定(間引き剪定)などの手入れをすることで、樹形や花つきがよくなります。
透かし剪定では、次のような不要枝を必ず根元もしくは分岐点で切り落としましょう。中途半端な長さを残して切ると、そこから枯れこんで弱るので注意してください。
シャクナゲは4〜5月ごろに花を咲かせますが、花が萎れてきたら、早めに花がら摘みをしましょう。花茎のすぐ下から切り取っていきます。
花がら摘みをすることで、結実での体力消耗を防ぎ、株全体の健康および、翌年の良好な花つきへとつながります。
4月中旬〜7月にかけて、5cm程度の芽を摘んであげると、葉の下から枝が分岐して、翌年の花付きがよくなります。
シャクナゲは耐暑性が弱いので、強い日差しは避けてください。鉢植えの場合は置く場所に気を配り、地植えの場合は寒冷紗などをかけて遮光してあげるといいでしょう。
また花が柔らかく、雨に当たると傷んでしまうので保護してください。
シャクナゲは、接ぎ木、挿し木などで増やすことができます。種からの栽培は発芽率が低く、開花までに5〜10年かかります。一般的には接ぎ木が比較的容易でおすすめです。
シャクナゲの挿し木は、生育期である6月、もしくは新梢が硬くなった9月が適しています。
まず、2芽以上ある新梢から、1芽を残して長さ10cmほどに切り取ってください。先端の葉を4〜5枚残して、あとは全て落とします。切り口をV字に削ぎ落として、発根促進剤を薄めた水に3時間つけてください。
育苗ポットなどに、鹿沼土小粒を入れて、用意した挿し穂を挿し、日陰で乾かさないように管理してください。
シャクナゲの接ぎ木は、開花前の2〜3月が適しています。台木には赤星シャクナゲがおすすめです。
赤星シャクナゲの茎に、深さ2cmほど斜めに切り込みを入れ、1日かけて切り口を乾燥させます。挿し木のときと同じように挿し穂をつくり、水揚げして台木の切り込みと挿し穂の切り口がぴったり合うように、接ぎ木テープなどで固定していきます。
ビニール袋を被せて、水分の蒸発を防ぎながら管理していきます。2週間したら袋に穴をあけて徐々に通気させ、1ヶ月後に袋を取り外してください。
シャクナゲはハダニ、グンバイムシ、ベニモンアオリンガ、アブラムシなどの害虫に気をつけてください。過ごしやすい4〜6月、9〜10月に発生しやすくなりますので、日々の手入れの際に、葉裏までチェックするなどして防除に努めてください。
病気は灰色かび病、すす病などが発生しやすいです。また、日照不足になると斑点細菌病を、逆に日差しが強いと葉焼けから褐斑病を引き起こしますので、適度な日当たりが大事です。
シャクナゲは4〜5月ごろが開花時期で、ピンク、赤、黄色などの暖色系の花を密集させて咲かせる豪華な花姿です。
日本シャクナゲと西洋シャクナゲがありますが、もっとも一般的なのはアズマシャクナゲという品種です。ほのかなピンク色と、葉の濃い緑色が艶やかで美しいです。
現在は、育てやすい園芸品種も出回ってはいますが、厳暑期などの水切れ、日差しには注意しながら、大切に育ててください。春の時期になると満開になり、とても目をひくゴージャスなシャクナゲの花姿を楽しめますよ。ちょっと手間がかかりますが、満開の時の感動もひとしおのはず。皆さんもぜひ、シャクナゲを育ててみてください。
GreenSnap編集部