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ブッドレアは藤のような円錐状の花を咲かせる落葉低木です。香りがよく、蝶が蜜を吸いに集まってくることから、欧米では「バタフライブッシュ」と呼ばれます。今回は、ボリュームのある美しい花を咲かせることから、観賞用として庭植えにもされる見応えのいい樹木「バタフライブッシュ」の育て方をご紹介します。
ブッドレアは、一年間を通して日当たりのいい場所で育てるのがポイントです。日差しに当たらないと、ブッドレアの元気がなくなってしまい、丈夫に育ってくれません。
ブッドレアは暑さや寒さ両方にも強いので、暖地でなくても育てることができます。高冷地のほうが夏に咲く花色が冴えるため、観賞も楽しめます。
また、ブッドレアは湿気には弱いので、風通しのいい場所で管理するようにしてください。
ブッドレアは丈夫で乾燥した土壌を好むので、鉢植えで育てている場合は、土の表面が乾いたときに水を与えるようにしてください。逆に水を与え過ぎてしまうと、土の中で湿気が高くなってしまい、根腐れを起こして枯れる原因にもなってしまうので注意してください。
地植えで育てている場合は、一度根付けば水を与える必要はなくなってくるので、根付くまでは鉢植え同様に、土の表面が乾いたときに水を与えるようにしてください。
夏場の気温が高くなって、乾燥しやすくなっている時期などは、こまめに土の状態を見るようにしてください。
冬の水やりも、通常とは殆ど変わりません。土の表面が乾いた頃を見計らい、水やりをしてください。冬の時期なら、土の表面が乾いてから2、3日ほど経った後で水やりをしてもかまいません。
ブッドレアの植え付けをする際に、あらかじめ土の中に肥料を混ぜ込んでおいてください。このときに施す肥料は、リン酸成分を多く含んでいる骨粉などが適しています。
リン酸は花つきをよくしてくれる成分で、生育の初期には特に多く必要とされているので、たくさんの花を楽しみたい人はこの肥料を施すことをおすすめします。
植え込みのあとに追肥するときは、液体肥料を水やりの代わりに1度与えておく程度でかまいません。早めにブッドレアを大きくしたい場合は、3月にゆっくりと効果がでてくる緩効性の化成肥料を施すようにしましょう。
冬になったら、肥料を与えるのはやめましょう。冬に栄養を与えても、吸収せずに終わってしまうので、栄養を与えているつもりが逆に生育を衰えさせていっているという場合もあります。
ブッドレアを育てるために適している土の配合は、赤玉土が6、腐葉土が3、川砂が1の割合で混ぜられたものがおすすめです。水はけがよくなっており、肥料の保ちがいい土なら、ブッドレアが元気に育ってくれます。
ブッドレアの植え付け時期は、3月から4月のあたたかくなってくる頃が適期です。
地植えでブッドレアを育てる場合は、根鉢の倍の大きさの植え穴を掘ってから、掘り上げている土に腐葉土や完熟堆肥、ピートモスなどを混ぜ合わせて、水はけのいい土を作っておきます。
植え付けたあとに水極めをすることで、根っこの間に土がしっかりとつまるようにしましょう。
根っこが粗く細いため、ポット苗を植え付けるときには、出来る限り根鉢を崩さないようにして植え付けるようにしてください。
ブッドレアを地植えした場合、一度植え付けてしまえば、植え替える必要はありません。
鉢植えで育てている場合、ブッドレアは生育が旺盛で根詰まりがしやすい性質となっているので、1、2年に1度は、ワンサイズ大きな鉢に植え替える必要があります。
また、ブッドレアの根は細くなっているので、移植するのにむいていません。もしも移植したいという場合は、移植を行う半年以上前に根切りをして、細根を出しておく必要があります。
ブッドレアは挿し木という方法を使って増やしていきます。
挿し木をするのに適している時期は6月から7月の間で、その年に伸びて育った枝の先端を10センチほどの長さに切り取ります。
このときに選ぶ枝は、傷がなく、丈夫なものを選ぶようにしましょう。丈夫でないものを選んでしまうと、挿し木をしている途中で栄養がなくなってしまい、ブッドレアを増やすことができなくなってしまいます。
また、傷があるものを選ぶと、病気にかかりやすくなってしまうので注意しましょう。
切りとった枝を川砂や赤玉土に挿し、完全に乾燥させないように気をつけながら、時々水やりをしてください。明るい日陰で管理しておくことで、根を早めに生やすことができるようになります。
水を与えすぎて過湿の環境をつくってしまうと、切り口の部分から枝が腐っていってしまうので、水はけのいい用土を使うようにしましょう。根が十分に生えたときには、ポットや小鉢に植え替えてください。
ブッドレアは全体の枝を短くするために行う刈り込み剪定をしなければいけない植物で、暖かくなる頃には、切って短くした枝もまた伸びてきます。
細い枝に花がつくと、花の重みに耐えることができずに折れてしまう場合もあるため、細い枝も切っておく必要があります。
ブッドレアが茂ってしまうと、全体のバランスが悪くなるだけでなく、風通しも悪くなってしまうので、突出して伸びてきている枝を夏に切ってしまいましょう。
また、株元からひこばえという勢いの強い枝が出てきたら、放置しておくと邪魔になってしまうので、見つけたときにはすぐに切り落とすようにしてください。
花が咲き終わったあとに残る花柄も、こまめに掃除しておく必要があります。そのままにしておいてしまうと、種ができ、栄養がそちらへと吸われていってしまいます。
花が咲き終わってからは枝先を剪定してください。こうすることで、ブッドレアが長く咲き続けるように調整させることができます。
ブッドレアに寄生する害虫には、アブラムシがいます。アブラムシは植物に口針を挿すことで寄生して、植物の栄養をどんどん吸い取っていってしまいます。繁殖したアブラムシに群れで寄生されれば、ブッドレアの栄養吸われ、生育が衰える原因にもなってしまいます。
ほかにも、アブラムシがウイルス感染している場合に、健康だったブッドレアが病気にかかることがあります。アブラムシの排泄物も、放置しておくとすす病をおこす原因になってしまうので注意が必要です。
害虫は見つけ次第、殺虫剤などで駆除し、ウイルスに感染してしまった部位はすぐに取り除きましょう。
また、コウモリガという害虫にも注意してください。コウモリガの幼虫は、幹に穴を開けていくことで内部へと潜り込んでいき、植物の内部を食い荒らしていく害虫です。最悪の状況になると、木を枯らしてしまうため注意が必要です。
木の内部に潜りこまれると、薬剤が届きにくくなって、効果も激減してしまいます。コウモリガに有効な薬剤もありますが、駆除するとなるととても厄介な害虫です。
ブッドレアは暑さにも寒さにも耐えることができるため、管理温度について難しく考える必要はありません。ただし湿気は苦手な植物なので、使用する用土は水はけがよく、肥料の栄養を保つことのできるものを選んで風通しをよくしておくようにしてください。
ブッドレアにはいくつかの品種がありますが、一番広く親しまれているものは、ダヴィディー種という品種です。園芸で植えられるブッドレアは、本種とされているものと、そのダヴィディー種というものを指すことがほとんどです。
ダヴィディー種は中国が原産の落葉低木となっており、樹高は3メートルから5メートルのものがあります。
甘い香りのするブッドレアは、その香りで蝶を誘うことから、バタフライ・ブッシュともいわれています。大きく茂り、花穂を色々な場所から出す姿が見応えあると、観賞用としても人気が高くなっています。
ダヴィディー種のほかにも、グロポーサ種という品種があります。ダヴィディー種に比べると耐寒性が弱まってしまいますが、黄色い小花が丸い玉上にまとまって咲くことから、可愛らしい印象をいだかせてくれる品種です。
ハーレクインという品種は、濃い紅紫色をしており、葉っぱにはクリーム色の斑模様が入っています。ブッドレアの中でも最も濃い青紫の花を咲かすアドニス・ブルーは、狭い場所でも栽培が可能となっています。
ブッドレアの開花時期は初夏から秋にかけてです。その年のボタ枝の先端部分に、小さな花がまとまって咲きます。
円錐状の房をつくるようにして花が咲き、その花からは甘い香りが漂うことで人気となっています。
ブッドレアの花言葉には、「魅力」「あなたを慕う」「私を忘れないで」などの言葉があります。甘い香りを漂わせるブッドレアは、「恋の予感」という花言葉もつけられています。
落葉低木であるブッドレアは、品種によってはそれほどスペースを使わずに育てることができるようになっています。
暖地でなくても育てることは可能になっているので、ぜひ庭に植えて、房のように花を咲かせるブッドレアを眺めてみてください。
GreenSnap編集部