warning
error
success
information
フジバカマは秋の七草でよく知られ、夏の終わりから秋のはじめに花を咲かせる多年草です。茎の先に直径5mmほどの小さな筒状の花をたくさん咲かせ、3裂する葉が対生している姿が一般的です。花色は白や淡いピンク等で、糸のように突き出した雄しべが特徴です。
もともと川沿いの湿った土地で自生していましたが、自然環境の変化に伴い、いまは自生のフジバカマは減少しています。そんなフジバカマを、家庭で育てる方法についてご紹介します。
フジバカマの育て方は、水切れさせないことがポイントです。
乾燥を苦手とするため、鉢植えの場合は雨が降らない日は毎日水やりをしましょう。地植えの場合は、3日以上日照りが続くときは水やりをします。
また、フジバカマは地下茎が土の中で繁殖するため、広がりやすいという性質があります。繁殖しすぎてほかの植物の成長の邪魔にならないよう、あらかじめ土の中を板などで仕切っておくと、なお良いでしょう。
フジバカマは耐寒性や耐暑性はありますが、できるだけ日当たりの良いところで育てましょう。半日向で育てることも可能ですが、花の色や数が悪くなるので、できれば日向が好ましいです。
フジバカマは極端な土の乾燥を嫌うため、地植えの場合は西日が当たるような場所は避けてください。
また、フジバカマの茎は細いため、まっすぐに育てるためにも風が強すぎるところを避けてあげると良いでしょう。
フジバカマを育てるときは、元肥に水はけと水もちのバランスのよい土を混ぜ込み使います。
自作するのであれば「赤玉土(小粒)6:腐葉土4_か、「赤玉土(小粒)5:腐葉土3:川砂土2」の割合で混ぜた土がおすすめです。
地植えの場合は、植え穴を掘った土に腐葉土を2割程度混ぜたものを使いましょう。長期間にわたって効果が持続するように緩効性肥料や、腐葉土を混ぜ込んでおくと良いでしょう。
鉢植えの場合は、植え付け用の土に粒状肥料を混ぜ込んでおきます。土に混ぜ込む肥料はチッ素、リン酸、カリウムが等量配合の化成肥料にします。
肥料が多くなりすぎると、葉が増え花数が減るため注意しましょう。
植え付け時期は3月頃が最適です(ただし、フジバカマは丈夫なので、ある程度時期がずれても大丈夫です)。
フジバカマの苗の本葉が5〜6枚になったら、鉢や地面に植え付けましょう。
鉢植えなら、5号サイズの鉢に1株植えるのが目安です。地植えは日当たりの良い土地を選び、地表から下に根がある位置に植え付けます。
広がりやすい性質があるため、ほかの植物と同じ場所に植えるときは、20〜30cmほどの板を間に入れて仕切っておきましょう。
鉢植えの場合は、根づまりを防ぐためにも、毎年3月頃になったら1回り大きな鉢に植え替えます。
最終的には放任し続けると2mくらいになるので、ある程度鉢植えを楽しんだら地植えに切り替えるのもおすすめです。
地植えの場合は、3年に1回ほど、植え替えと同時に株分けをすると、より生育が良くなります。
なお、植え替え方法は以下の通りです。
フジバカマを地植えする場合は、水やりを気にする必要はありません。ただし3日以上日照りが続くようであれば、朝と夕方に水を与えます。
鉢植えの場合は、成長期の春から秋にかけてたっぷりと水を与えます。一度水切れを起こすとひどく傷みます。水を張った容器に直接鉢を置き灌水させる、腰水を行うと、底穴から十分に水を吸収させることができますよ。
ただし、長期間この方法を行うと根腐れの原因にもなるので、時々水をはった容器から出すなどして様子をみましょう。夏の暑さで水が高温になったり、冬には水が凍ってしまうこともありますので注意しましょう。
地植えの場合は、特に追肥は必要ありません。ある程度放っておいても、地下茎を横にぐんぐん伸ばして毎年芽の数を増やしていきます。
鉢植えの場合は、春に芽が出たら初夏まで液体肥料を与えます。
ただし、肥料が多いと株が軟弱に育つので花つきも悪くなります。液体肥料も、普通の草花に与える濃さの1/2で構いません。
フジバカマは草丈が1.5mほどまで生長するので、7月頃に一度切り戻しをしておくと、花が咲く秋にほどほどの草丈にまとまります。切った枝は挿し芽に利用できますよ。
フジバカマは、冬になると地上部の花茎は枯れてしまいますが、根は生きています。冬は休眠期に当たりますが、控えめに水やりを続けましょう。
指で土が乾いていることを確認し、5日から1週間に1回程度にします。ただし、地中では地下茎が生きているので極端に乾かすことのないように注意しましょう。
フジバカマの増やし方には、「株分け」や「挿し木(挿し芽)」といった方法があります。
株分けは、植え替えをかねて3月頃に行います。
挿し木は5〜6月頃に行います。
フジバカマの病気として挙げられるのは「うどんこ病」です。うどんの粉をふいたような症状が葉に出て、光合成ができず枯れてしまうという病気です。病気にかかった部分は切り捨てるか水で洗い流し、被害が深刻な場合には、薬剤を散布して拡大を防ぎます。
また、フジバカマはアブラムシやハダニがつきやすい植物です。見つけたらすぐに薬剤を散布して駆除していきましょう。ハダニは乾燥した環境が続いたときに、葉っぱの裏に寄生する害虫です。
水が苦手なので、水やりのときに葉っぱにも霧吹きで水を吹きかけると予防につながります。
自生する姿が少なくなったフジバカマですが、暑さ寒さにも耐える丈夫さと、大きくなると1.5mにもなる草丈が珍しく、ガーデニングでも人気があります。
ほかの植物の邪魔をしてはびこってしまうので、ほかのものを植えないか、地下茎が伸びていかないように仕切りを埋めるなどの工夫が必要です。強い野草であるフジバカマは手間のかからないガーデニング材料として最適です。
ちなみに、フジバカマ同様に絶滅危惧種の長距離移動で有名な蝶、アサギマダラが、この花を好んで蜜を吸います。この花の蜜には有毒成分ピロリジジンアルカイドが含まれています。
夏の花と冬の花の間の時期に、長期間花を咲かせてくれるので我が家の庭でもとても重宝しています。切花として楽しめるのでおすすめですよ。
松原真理子
GreenSnap編集部