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クッション状の茂みのように生える葉と、青紫色をした釣り鐘状の花をもつオトメギキョウ(乙女桔梗)。鐘に似た形から、和名以外に日本ではベルフラワーという呼称で親しまれています。
今回はそんなオトメギキョウ(ベルフラワー)の育て方について、簡単にご紹介します。
基本的にオトメギキョウは、日差しの良い場所を好みます。ただし、午後は比較的明るい日陰に置いて上げることで、過剰な日光に当たらずに済むので順調に成長させることができるでしょう。
一般的にも屋外で育てるべきなのですが、強い日差しに長時間当たってしまうと、葉焼けや高温障害になる可能性が高いです。なお、特に暑い7月〜9月上旬までの間は必ず遮光をしてください。
オトメギキョウは、日差しが常時強く当たらず、湿気の少ない環境で育てるのが適しています。
耐寒性が強いので、冬の多少の寒さならば屋外でも育てることができます。ただし、北風にさらされると枯れる可能性が高いです。そのため、冬は風通しの良さをそこまでに気にしなくても大丈夫です。
オトメギキョウの水やりは、鉢植えの表土が乾いたら十分に与えるという頻度での実施で問題ありません。
オトメギキョウを地植えする場合には、晴天続きによる乾燥等がないかぎりは必要ないでしょう。
なお鉢植えの場合は、夏の間は二重鉢もしくは発泡スチロール箱の粗面の2~3センチのあたりに水抜き用の穴を数か所だけ開けて、その中に洗浄済の軽石や鹿沼土の小粒を満たした砂床に埋めておくことで、乾燥防止・鉢内温度の上昇抑制に効果が期待できます。
夏場の暑さには強くないので、可能な限りこの措置を取るようにしましょう。
冬はやや乾燥気味の状態で育てるようにしましょう。
オトメギキョウは冬の強さに強いですが、霜に当たると傷ついて枯れる可能性も捨てきれないので、細心の注意を払いましょう。
オトメギキョウは、肥えた土壌を好みます。そのため植え付けの際に、遅効性肥料を用土に混ぜ込んでおきましょう。
また、開花期には液肥を週1回程度与えてください。オトメギキョウは小さな花を一斉に多数咲かせるため、花が咲いた後で株が急激に疲労しだします。この時期に大量の肥料を施すと、枯れてしまうことがあるので、液体肥料もかなり薄めて使用しましょう。
そして夏が来る前に、徐々に株を回復させるように肥料を加えましょう。疲労や傷みが見受けられない株でも、葉の色が薄くなったら、薄めた液体肥料を10日に1回の頻度で施します。
なお、真夏は施肥は不要です。暑さが落ち着く9月下旬頃から、再び薄めた液体肥料を施します。冬も肥料を控えましょう。初春頃に芽が動き出すので、同様に液体肥料を施すようにしてください。
植え替えの際にも、元肥としてリン酸とカリウムが多めに配合された緩効性の化成肥料を、3号鉢ならばの二つまみ程度施します。液体肥料の濃度は、1500~2000倍に薄めるようにしてください。真夏の時期は3000倍程度にしたほうがいいでしょう。
オトメギキョウを地植えする場合も、同様に行いましょう。
オトメギキョウを育てるときは、水はけ&保水力がともにある肥沃な用土が適しています。
市販の山野草用培養土で育てられますが、配合土を利用するならば、軽石・硬質鹿沼土(もしくは日向土)・桐生砂(もしくは赤玉土)のそれぞれ小粒を、等量か2:4:4の割合で用いてください。
ただどちらにせよ、水でよく洗い、みじんを完全に抜くことが大切です。赤玉土を使う場合には、ふるいにかけて適切な柔らかさと細かさの用土にしてあげます。根と茎の境界線付近から上の部分は、花崗岩質の粗めの砂利で覆っておくとなおいいでしょう。
乾燥に弱いのため、プラスチック鉢を使うといいかもしれません。
オトメギキョウの植え付けは、芽が出る直前にあたる2月~3月上旬頃に行いましょう。春〜初夏に植え付け、翌年春に開花させるという形になります。
その際、キキョウ科の植物の特徴である1本の太いゴボウ状の根は、絶対に傷つけないように注意してください。この根が傷つくと枯れる可能性が高くなります。
多くのオトメギキョウは一年草なので、植え替えは基本的に必要ありません。ただし、実生苗の場合には、時期を問わずに成長に合わせて一回り大きな鉢へと植え替える必要があります。
冬越しも植え替えさえきっちり行えば、容易でしょう。
オトメギキョウの増やし方で一番簡単なのは「株分け」ですが、「種まき」でも増やすことができます。
一気に葉や茎をぐんぐんと伸ばし始める9月ごろに、株を鉢から抜き、古い根や古土を落とし、根鉢をほぐして植え替えを行います。
それと同時に株分けも行いましょう。古くなった株を自然に分かれている部分で分割してください。
連結している株は、それぞれの芽に対して十分な根がついていると判断できてから、ナイフ等を使って切り分けても問題ないでしょう。ただ切り口に、癒合剤や殺菌剤を塗って保護する必要があります。
なお1株を小さく分けたとしても、用土にしっかりと植え付けておくと1ヶ月も経てば根が張ります。その後は植え替えてから、冬が来る前までにできるだけ株を元気に太らせてください。
種まきの場合は、5月下旬〜6月にとれた種を冷蔵庫に保管しておき、翌年2月〜3月上旬に撒きましょう。密にまきすぎなければ、発芽は大抵うまくいきます。順調なら2年目で開花できます。
オトメギキョウに起こる可能性のある病気は、うどんこ病、立枯病、苗立枯病、灰色かび病、軟腐病でしょう。中でも軟腐病とうどんこ病には注意してください。
軟腐病は、梅雨から夏の多湿の時期に起こる茎の根本が腐って落ちる病気です。病気になっていると気がついてからではほぼ確実に枯れてしまうので、事前に風通しのよさや水はけのよい土を使うなど対策が必要です。
一方のうどんこ病は、5月〜8月に歯の表面に白っぽい粉をかけたような症状がでます。重症化することはなくとも、見た目がよくなく、花梗部につくと花芽を阻害するので気をつけてください。
気をつけるべき害虫は、ヨトウムシ、ハダニ、アブラムシです。
特に春〜初夏及び初秋というかなりの頻度で現れる(都市部の場合には常にいる場合がある)ヨトウムシは、葉を暴食してくるので、見つけ次第潰しましょう。ハダニは夏に葉の裏に、アブラムシは春先に新芽や蕾にくっついているので、しっかり駆除しましょう。
オトメギキョウは他のカンパニュラ属と同様に、寒さには割合強い植物です。
冬も屋外での管理は可能であり、5℃前後になるまで取り込む必要もありません。むしろ寒さに触れることで花芽を形成するタイプなので、しっかりと寒さに触れさせましょう。
オトメギキョウの花言葉は「感謝」、「誠実」、「楽しいおしゃべり」です。
日本の冬の寒さにも多少耐えられるオトメギキョウについて、今回は育て方を中心に簡単にご紹介しました。
もともとヨーロッパ原産の花であるため、育てにくいようなイメージがあるかもしれませんが、夏場の管理さえしっかりできれば楽しんで見守ることのできる花といえます。
そのたガーデニング初心者が挑戦ても良い植物でしょう。
ぎっしりと絨毯を敷き詰めたように花を咲かせるので、背の高めの植物との組み合わせて寄せ植えをするといいでしょう。
GreenSnap編集部