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きっと誰もが幼い頃に綿毛を飛ばしたことがあるであろう、馴染み深いタンポポですが、実は栄養価の高いハーブでもあります。栽培も簡単なので、自宅で育てて観賞用にはもちろん、ハーブとしていろいろな形で楽しむのもいいかもしれません。
今回はそんな汎用性の高い、タンポポの育て方をご紹介します。
タンポポは日当たりのいい場所を好みますが、直射日光などは苦手なので、半日陰で育てるのが一番おすすめです。地植えでも、鉢植えでも育てることができます。ただし、本来タンポポは最長1mと、深く根をはる直根性の植物なので、鉢植えの場合は深めの物を選ぶといいでしょう。
なお、日当たりが良すぎると葉が硬くなってしまいます。葉をサラダなど食用に育てる場合には、半日陰〜明るい日陰くらいで育てるといいです。
タンポポを鉢植えで育てている場合は、土が乾いていたら水をあげるようにしてください。とはいえ、タンポポは日本全国に自生できるくらい生命力が強いので、乾燥気味に育てても大丈夫です。水が切れると葉がうなだれたようにしおれてくるので、それを目安に水をあげれば問題ありません。
タンポポを地植えで育てている場合は、雨の水分で十分成長していきます。長く雨が降らず、日照りのよい日が続いているようであれば水をあげてください。鉢植えの場合と同じように、葉がしおれてきたら水をあげるようにしましょう。
タンポポはとても生命力が強いので、あまり用土の質を気にする必要はありません。花付きをさらによくしたい場合は、植え付ける1〜2週間ほど前に、土に腐葉土を2〜3割まぜておくといいでしょう。
タンポポを育てる上でとくに肥料は必要ありません。肥料をあげると、葉だけが大きく育ち、かわいげのないサイズ感のタンポポに育ちます。葉が密集しすぎるとアブラムシの発生の原因にもなりますので、気をつけましょう。
それでも肥料をあげるとしたら、育成期の4〜9月ごろに薄めた液体肥料をあげるのがいいでしょう。
タンポポの植え付け、植え替えはともに2〜3月がおすすめです。植え穴をあけて、タンポポをポットなどから取り出したら、根鉢は崩さず植えていきます。植え付け・植え替え後はたっぷりと水をあげてください。
なお、タンポポは直根性の植物なので移動が苦手です。植え替えはあまりしないほうがいいでしょう。
タンポポを種まきで増やす場合、咲き終わった4〜6月に綿毛を採取しましょう。綿毛の部分を切り取って種だけにしたら、土にくぼみをつけて種をまきます。5mmほど土をかぶせて、たっぷりと水をやりましょう。発芽するまでは、日陰で管理し、表面の土が乾いたら水をあげるようにしてください。
タンポポを根挿しで増やす場合、育成期の4〜8月に行うといいでしょう。まずタンポポをの根を傷つけないように掘り起こしてください。一番太い根を3〜5cmほど切り取って、植え付ける場所の土の上に斜めに挿します。このとき、切り口が1cmくらい地上にでるように斜めに挿してください。その後は、乾燥させないように水をやっていくと発芽します。
タンポポは、花・葉・根の全てをハーブとして利用できます。欧米では「自然の薬局」と言われるほどメジャーなハーブとして知られています。
タンポポの花の収穫時期は開花期の3〜5月ごろです。おひたしにしたり、酒に漬け込んでタンポポ酒などにして楽しむことができます。
タンポポの葉の収穫は2〜4月ごろに芽生える若葉を摘み取りましょう。若葉は天ぷらやサラダなどにあえて使うことができます。若葉にはビタミンA、ビタミンC、鉄分などが含まれており、栄養豊富です。
タンポポの根は9〜11月ごろ、株全体を掘り起こして収穫してください。焙煎させ、ドリップするとコーヒーのような味わいになります。ノンカフェインなので、不眠症のかたや妊婦などでも飲める、タンポポコーヒーとして楽しめます。また、二日酔いなどにも効果的です。
基本的にタンポポは害虫にも病気にも強いですが、アブラムシが発生することが稀にあります。新芽やつぼみに群生するので、3〜6月の時期はとくに気をつけましょう。アブラムシはウイルスを媒介するので、放っておくと枯れてしまいます。見つけたら殺虫剤などで駆除してください。
予防には、窒素分の多い肥料を与えすぎないこと、風通しをよくしてあげることが有効です。
タンポポは3〜5月にかけて黄色い花を咲かせるキク科の多年草です。タンポポには大きく、在来種のものとセイヨウタンポポの2種があり、その交配種も全国各地に自生しています。とくにセイヨウタンポポは強健で、アスファルトの裂け目から生えてくることもあります。
花が咲き終わると一旦しおれて、ふたたび高く茎をのばして、果実および綿毛を作ります。冬越しの際には、地上部分は枯れて、地中深くに生やした根で耐え忍びます。
クリーム色の花を咲かせるシロバナタンポポも地域によってはよく見られます。また桃色の花をつけるモモイロタンポポ(クレピス)は、タンポポの近種でありますが、属性が異なります。
タンポポの花言葉には「幸せ」「愛の信託」などがあります。これは綿毛を一息で飛ばしきると恋が叶うという、恋占いが由来しているそう。また綿毛にも「別離」という花言葉が付いていて、まさに綿毛が飛んで親株を離れていく様子が浮かびますね。
もはやありふれた存在で雑草とも思われがちな、タンポポ。ですが花や綿毛の美しさもさることながら、実はハーブとしても使い勝手の良い草花です。とても強健で、放置気味に育てても問題ないので、初心者や忙しくて世話する時間があまり取れないという方でも、気軽に育てられます。ぜひタンポポを育ててみて、観賞用、ハーブとして楽しんでください。
GreenSnap編集部