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樒(学名:Illicium anisatum L.)はマツブサ科シキミ属の被子植物ですが、マツブサ科ではなくシキミ科として分類することもあります。樒は花の鑑賞を楽しむことができ、枝葉は線香の材料に使用することもでいますが、毒性も持っているので、扱いには注意が必要です。また、摘心(新しい茎や枝の摘み取り)をしないと樹高2~10mにもなる常緑小高木ですので、ここでは樒の育て方のポイントを詳しく説明していきます。
樒は、株元に日が当たりすぎると弱ってしまうので、日陰での栽培が適しています。また、樒は乾燥に弱いため、湿度のある場所を好みます。
樒の原産地は関東北部、四国、九州、沖縄、台湾です。耐暑性は普通ですが耐寒性が低く、冬に土が凍るような場所での栽培にはあまり向きません。寒冷地でも育てられますが、温暖地の方がよく育ちます。
樒の栽培ではほとんどの場合、植え付け・植え替え時以外は水やりを行う必要はありません。
ただし、真夏の猛暑で乾燥したときや、長く雨が降らないときには水やりをしてください。夏の水やりは夕方以降に行いましょう。
樒へは冬から春に(2~3月)かけて、寒肥として油粕や堆肥、腐葉土を施し、花後の6月にも追肥を施しましょう。
樒を地植えにする場合、土壌は特に選びません。植え付け前の土に、腐葉土を混ぜ込んでおきましょう。樒を鉢植えにする場合は、保湿性の高い黒土に腐葉土を混ぜ込んで植え付けます。
樒の植え付け時期は、春と秋、霜の心配がなくなる4~5月と9月が適期です。
夏に西日が当たるような場所を避け、できるだけ日陰に植え付けましょう。生け垣にする場合は30cm間隔で植え付けてください。植え付け前の土には腐葉土を混ぜ込んでおきます。植え付け後には水をたっぷり与えましょう。
樒を鉢植えしている場合は、2~3年に一度は植え替えをします。植え替えは春、4~5月が適期です。根鉢を引き抜いたら土をよく落として、腐葉土を混ぜた新しい土に植え替えてください。
樒は、根から花に至るまでの全てにアニサチンという猛毒があります。
八角に似た実は薬用にも使われますが特に猛毒で、食べてしまうと死につながるほどの可能性があるので、扱いには注意が必要です。国内では唯一「毒物及び劇物取締法」の劇物に指定されています。
樒の増やし方は「種まき」と「挿し木」が一般的です。
種まきの適期は4~5月で、秋に採取した種をまいて育てます。
挿し木は6~7月9月が適期です。その年に新しく伸びた枝を10cmほど切り、赤玉土に挿して根が出るのを待ちます。挿し木で育てた苗を定植する適期も種まきと同じ4~5月です。
7月頃に、樒の頂芽(茎の先端の芽)が1本だけ伸びてくる場合は、これを摘み取ります。10月頃に遅く伸びてきた枝は柔らかいので、凍害を予防するためにも先端を摘み取りましょう。
樒の枝が込み合ったときは、適宜選定を行いましょう。樒は強剪定しても問題ありませんので、枝先の切り詰めましょう。
樒は病害虫の被害が多くみられる樹木です。
黒しみ斑点病、炭疽(タンソ)病、褐斑(カッパン)病、すす病、こうやく病が発生することがあります。症状がみられた葉は早めに摘み取り感染を防ぐと共に、薬剤を散布してください。
シキミグンバイ、アブラムシ、シキミモンフシダニ、サビダニ、ハマキムシ、カイガラムシが発生することがあります。見つけ次第取り去るか、薬剤で駆除してください。
樒は開花時期の3~4月頃になると、花びらが10~20枚の、白や淡い黄色の花を咲かせます。品種によっては、赤系の花を咲かせるものもあります。
樒の枝葉は線香の材料にされることもあり、剪定すると芳香が漂います。
樒の花言葉は「猛毒」「甘い誘惑」です。
これらの花言葉は、樒に猛毒や強い香りがあることに由来しています。また、樒には「援助」という花言葉もあります。これは樒が仏前に備えられるものであり、故人があの世へ行くのを助けるといった事柄に由来しています。
被子植物であり、常緑広葉小高木である樒(シキミ)の育て方や花言葉を紹介しました。国内では北関東以南で自生しており、温暖地での栽培が適しています。乾燥に弱く、日陰の湿度がある場所を好みます。
樒は猛毒や独特の強い香りを持つことから、「悪霊から守る」「邪気を払う」樹木ともいわれてきました。樒はお寺に植えられることが多いのですが、一部の神社では榊ではなく樒を使用するところもあります。このように、仏様や神様とも関わりのある樒はどことなく神秘的な樹木でもあります。
ぜひ、そんな樒をおうちで栽培してみてくださいね。
※トップ画像はtoshi722さんさん@GreenSnap
GreenSnap編集部