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シダ植物(羊歯植物、歯朶植物)は、厳密には「植物界シダ植物門」に分類されており、種類は日本国内だけでも約700種類存在します。なじみのある名前でいえば、生花店で扱われるグリーンのエニシダやタマシダ、山菜ならワラビやゼンマイなどもシダ植物に分類されています。ここではたくさんの種類があるシダ植物をひとまとめに「シダ」と表記して、育て方を解説していきます。
なお、庭に生えていたシダがいつの間にか増えて、ウッドデッキの下で元気に育っていたりすることもありますが、これは自生しているシダです。ここでは、観葉植物としてのシダの育て方を見ていきます。
鉢植えのシダの場合、室内での置き場所はそれほどこだわらなくて大丈夫です。とはいえ、多少日光が当たらないと丈夫な株になりませんが、逆に直射日光に当たり続けると葉焼けを起こし茶色くなってしまうので、窓際から少し離して調節しましょう。
また、シダは高温多湿な環境を好むので、お湯や熱い湯気がかからなければお風呂場でも育てることができます。乾燥している室内に置く場合は、時々霧吹きで葉に水をかけてあげてください。
シダを地植えする場合、日中ずっと日が当たる場所は避けて半日陰で育てましょう。土壌は湿り気がある方がより育ちやすいです。ただし、寒冷地では冬が越せないこともあるので注意しましょう。
シダの葉が枯れても根が生きていればまた春に芽が出てきますが、枯らしたくないのなら鉢植えにして温かい室内で育てる方が良いでしょう。
シダは基本的に乾燥させない方が良いです。ただし、水をやりすぎると根腐れを起こしてしまいます。
鉢植えシダの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水をやりましょう。水やりの頻度は夏場なら毎日、冬場は回数を少なめにしてください。また、シダは乾燥すると葉がポロポロと落ちてくるので時々霧吹きで葉に水をかけてください。
地植えシダの場合じゃ、水やりはそれほどする必要はありません。夏場や乾燥する季節は地面がカラカラに乾かないように水をやりましょう。夏の水やりは夕方以降にしてください。
シダは肥料をそれほど必要としません。もし肥料をやるなら植え替え時に元肥として土に入れるか、真夏や梅雨を除いた生育期に薄めた液体肥料を与えましょう。与えすぎると肥料焼けを起こすので注意してください。
シダを育てる用土は、市販のもので十分です。
鉢植えにする場合は、鉢底ネットや鉢底石を敷いてから観葉植物用の培養土を入れましょう。地植えにする場合の土壌は、日当たりが良すぎるところを避ければあまり気にしなくても大丈夫です。
シダの植え付けは、さほど難しくありません。
鉢植えにする場合は、鉢底に鉢底ネットや敷石を敷いてきます。市販の観葉植物用培養土を入れて植え付け、安定するように土を棒で突きます。地植えにする場合は、日当たりの良すぎない場所であればどこにでも植え付けることができます。
植え付けが完了したら水をたっぷり与えてください。
シダを鉢植えしている場合は、根が回りすぎると根詰まりを起こすので、2~3年に一度は植え替えをしましょう。
シダを鉢から取り出したら根についた土を少し落として、ひと回り大きな鉢に植え替えてください。用土は植え付け時と同じように市販の培養土を入れ、株が安定するように棒で突きましょう。植え替えが完了したら水をたっぷり与えてください。
地植えのシダは「胞子」で増やせます。
鉢植えのシダを室内に置いている場合は、「株分け」で増やしましょう。植え替え時に一緒に行うと無駄がありません。まずはシダを鉢から引き抜き根についた土を落とします。ナイフで切り込みを入れ、手で増やしたい数に分けて別の鉢に植え付けます。
植え付けあとには水をたっぷり与えてください。
シダは大きな手入れを必要としません。通常の手入れは下の方の枯れた葉や傷んだ葉を見つけたら取り除く程度で十分です。株が大きくなりすぎたら株分けをして大きさを調整しましょう。
シダにつきやすい害虫の代表が「カイガラムシ」です。カイガラムシは植物の栄養を吸い取ってしまうので株が弱ったり枯れたりします。霧吹きで茎や葉に水を吹きかけて湿らせておくことで予防にできます。
幼虫なら殺虫剤で駆除できますが、成虫になると効かなくなるので歯ブラシや軍手などではがし取ってください。また、地植えのシダの場合はナメクジがつくことがあります。見つけ次第駆除するか、ナメクジ用の駆除剤を散布して対処してください。
シダはあまり手のかからない植物ですが注意したいのは葉焼け、葉落ち、肥料焼け、害虫です。この4つの注意点についてもう一度見ていきましょう。
シダは花がつかない植物ですが、実は花言葉も存在します。
シダには種類がたくさんあるので、それぞれに違う花言葉があります。代表的な花言葉には「誠実」「愛らしさ」「魅惑」「魔力」「夢」「愛嬌」「魅力のある人」などが挙げられます。
この中の「魅惑」という花言葉はヨーロッパの言い伝えに由来しています。実際にはシダは花をつけないのですが、ヨーロッパでは夏至の夜に花を咲かせるといわれ、誘うようなイメージがあることから「魅惑」という花言葉がつけられました。
また、シダは2月5日の誕生花でもあります。シダの中でもタマシダは9月10日の誕生花で、エニシダは3月12日、3月30日、4月14日の誕生花です。この日が誕生日の人にシダのおしゃれな鉢植えをプレゼントするのも良いのではないでしょうか。
シダというと熱帯のジャングルに鬱蒼と生い茂っているイメージを持つ方もいるのではないでしょうか。そうでなければ山や空き地、自宅の庭にもいつの間にか生えてどんどん増える雑草というイメージを持つ方もいるでしょう。ですが昨今では観葉植物としても需要があり、シダのみが植えられた鉢や寄せ植え、花束、フラワーアレンジにも欠かせないグリーンとなっています。
ここまで観葉植物としてのシダ植物を「シダ」と表記して、育てる場所や水やり、肥料、用土、病害虫、植え付け、植え替え、増やし方、手入れの方法を解説してきました。
シダは日の当たりすぎや乾燥に気をつければ、とても育てやすい植物ということが分かりますね。観葉植物としてのシダは置く場所を選ばず、フサフサとした葉も魅力なので吊るして飾るのも素敵です。
シダの鉢植えには小さなものから大きなものまでおしゃれなものがたくさんあるので、お気に入りの一鉢を見つけて楽しんでみてはいかがでしょうか。
※トップ画像はなごこさん@GreenSnap
GreenSnap編集部