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雑木林などで秋になると鮮やかな紫色の小さい実を付けるムラサキシキブという植物には、コムラサキという園芸品種もあるのをご存知ですか?コムラサキもムラサキシキブと同じように、夏に花が咲き、秋には実を付けます。コムラサキは低木で小さく、お店や和風庭園、家の庭木としても人気のある植物なのです。今回は、そんな秋に美しい紫色の実を付けるコムラサキの育て方と、ムラサキシキブとの違いを合わせてご紹介します。
コムラサキは、明るめの日陰や半日陰になる、風通しの良い場所で育てるのが適しています。たくさんのかわいい花、彩る実を付けるには、日当たりが非常に重要です。
ただし、乾燥に弱く、夏場の強い西日は避けたいところです。乾燥しすぎる場所を避け、明るめの日陰で育てましょう。
コムラサキを地植えにしている場合、基本的に降雨のみで育ちます。雨不足や乾燥気味な時のみ、たっぷり水やりをしてください。
コムラサキを鉢植えにしている場合は、土の表面が乾き始めたらたっぷり水やりをします。
なお、地植え・鉢植え共に夏の乾燥には注意しましょう。
コムラサキはあまり肥料は必要なく育つ植物ですが、実があまり付かなかったり、生育が悪いようなら肥料を与えると生育が良くなります。油かすや有機肥料などを年に1回施せば十分でしょう。肥料を与える時期は、1~2月頃が適しています。
コムラサキは、腐植質が多く保湿・通気性がよい、やや湿り気のある用土が適しています。地植え・鉢植えともに、用土に腐葉土・堆肥を混ぜた土や、赤玉土に腐葉土を混ぜて配合した土などを使用しましょう。市販されている草花用の培養土を使うのも便利です。
コムラサキの植え付け・植え替え時期は、2~3月頃または11~12月頃が適しています。
コムラサキを地植えしている場合は、基本的に植え替えの必要はありません。日当たりや風通しなどが悪い環境下では、生育不良になったり病害虫が発生してしまいます。そのようなときは適切な場所に植え替えて、育てる環境を変えてあげましょう。
コムラサキを鉢植えしている場合は、根詰まりをおこしやすいので、1~2年に1回を目安に植え替えをしましょう。根鉢を少し崩し、伸びすぎている根を切り詰め、ワンサイズ大きな鉢に植え替えてください。
前年の枝を挿し穂とする3月頃と、当年の枝を挿し穂とする6月頃が適しています。3節程の長さに若い枝を切り、水あげしてから挿し木しましょう。
まずはコムラサキの種を採取します。秋に熟した実を収穫し、洗って果肉を取り除き、種を出します。採取した種を乾燥させる必要はないので、そのまま育苗ポットなどにまきましょう。
コムラサキの剪定時期は、落葉期(12月~3月頃)が適しています。コムラサキは自然に任せ、弓なりに枝が垂れた樹形も美しい植物です。ただし生育旺盛なので、美しい樹形を保つには、定期的に剪定をして整える必要があります。
伸びすぎている枝や、古い枯れ枝を間引き、短い枝は残すように剪定しましょう。あまり大きくしたくない場合は、切り戻し剪定をします。
うどんこ病:日照不足や風通しが悪いと、うどんこ病になることがあります。うどんこ病は、葉に白い斑点ができ全体に広がってしまう病気です。発見しやすいので、見つけたら感染した葉や枝を切り取り、薬剤を散布しましょう。
ケムシ:ガの幼虫であるケムシは、葉を食害します。ケムシを発見したらすぐに取り除き、虫食いされた葉も変色する前に摘み取りましょう。
カイガラムシ:カイガラムシは、殻に覆われた害虫です。汁液を吸い、コムラサキの生育を妨げる直接被害と、カイガラムシの糞によりスス病やコウヤク病を誘発する間接被害があるので気を付けましょう。見つけたら使い古しの歯ブラシなどで擦り落としましょう。
残念ながら、殻に覆われた成虫には薬剤が効かないのです。幼虫のうち(5月~7月頃)に、薬剤を散布することで予防できます。一度だけでなく何度か散布しましょう。
コムラサキの病害虫を防ぐには、風通しと適度な日当たりが大切です。剪定したり、場所を移動するなど環境を整えましょう。
コムラサキには、特別な手入れは必要ありません。耐暑性・耐寒性に強い植物です。防寒対策などせずに冬越しもできます。強いてあげるとすれば、冬になると細い枝は枝先から枯れてしまうので、枯れてしまった枝はこまめに取り除きましょう。
コムラサキは、春に伸びた枝に花芽をつけ、6~8月頃に薄いピンク~薄紫色の小さく可愛らしい花が房状に咲きます。そして、花が終わった秋頃になると、紫色の実が付きます。
とても似ているムラサキシキブは自生種で、コムラサキは園芸品種という違いがあります。見た目の大きな違いは大きさと樹形です。その他の違いについても確認してみましょう。
ムラサキシキブ | コムラサキ | |
樹高 | 2~3m | 1~2m |
枝 | 上・横にまっすぐ伸びる | 下に枝垂れる |
葉 | 葉のふち全てがギザギザ | 葉の半分がギザギザ |
実 | 間が空きまばらに付く | 小さめでまとまって付く |
コムラサキの育て方をご紹介しました。冬になり落葉すると枝と実だけになりますが、その姿も風情があっていいものです。庭やベランダを彩り、野鳥も寄ってくるので、鳴き声も聞こえ華やかになりますよ。
また、庭や鉢植えでそのままでも楽しむことができますが、生け花やドライフラワーにしたり、流行りの苔玉にして楽しむこともできます。一年を通して観賞期間の長い植物です。色々な楽しみ方のあるコムラサキを育ててみませんか?
※トップ画像はウッチー29さん@GreenSnap
GreenSnap編集部