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「春植物」とは、春に花を咲かせた後に夏まで葉を付け、あとの季節は地下で過ごす植物のことを総称して言います。そんな儚い魅力を持ち、ニンジンのような可愛らしい葉がポイントの、福寿草の育て方をご紹介します。
福寿草は、ぐるりと黄色い花びらの詰まった花を咲かせます。山野の中でも目立つような濃い黄色の花色で、お正月用の寄せ植えなどにもよく使用されています。福寿草が芽を出したばかりの時期は、見た目がフキノトウに似ているともいわれます。
この福寿草の花は、初春の開花時期ならずっと咲いているわけではなく、天気や気温によって花びらを閉じたり開いたりするのが特徴です。天気がよく晴れ、日の当たるときにはしっかりと花を開いてくれます。
また、蕾が付いた状態の鉢を購入した場合、蕾が黄色く色づいているのにも関わらず開花しないことがあります。日照不足が原因でなければ、乾燥が原因と考えられます。
蕾が被っている薄皮が乾燥していると、蕾が色づいていても開花してくれないこともあります。その場合は、花をダメージを与えないよう細心の注意を払い、鋭角な物体で薄皮をつついて破ってあげると花が咲きます。
美しい花とは対象的に、根には毒があるので扱いには注意しましょう。
福寿草の花を綺麗に咲かせるポイントは、日当たりにあります。
福寿草の花は日光に当たると開花し、夜間や曇の日は花を閉じるため、1〜4月頃の開花期には、できるだけ日当たりのいい場所で育てることが大切です。
それ以外の時期は、落葉樹の下など木漏れ日が当たるような明るい日陰で育てましょう。
地植えで育てる場合も同じ様に樹木と樹木の間に植えるなど、日陰になりやすい場所に植えることで繁殖しやすくなります。ただし、冬場の凍結などには十分に気をつけましょう。
福寿草の好む土は、水はけが良く少し重めの土です。排水性・保水性・保肥性に優れた赤玉土と、酸性土で通気性と保水性に優れた鹿沼土のそれぞれ小粒の土を使って、ベースの土をつくります。
そこに水はけを良くするための軽石を混ぜたり、有機質を含む腐葉土を少し混ぜても福寿草の好む土になります。
基本的な配合の比率は赤玉土と鹿沼土、軽石をそれぞれ2:2:1で混ぜ合わせます。その状態から自分で様子を見ながら調整を行いましょう。もしくは、鹿沼土だけでも育てることができます。長く効く元肥を忘れずに混ぜておくのもポイントです。
福寿草の種はあまり流通していないため、苗から育てるのが一般的です。
植え付け時期は10〜12月頃です。
福寿草は乾燥させすぎず、湿らせすぎずのバランスをとるといいです。基本的には土の表面が乾いてから水を与えます。
地植えの場合は自然に降る雨に任せて大丈夫な場合もあります。
春植物のほとんどは肥料のあげ方で成長の仕方が大きく変わる植物です。植え込みをする前に、元肥(あらかじめ土に混ぜておく肥料)に緩行性の化成肥料を、一株当たり数粒混ぜておきます。
芽が出始めたら、置き肥をしますが同時に薄めた液体肥料を10日から2週間に1回ほどの頻度で与えます。生育期に与える肥料の量が翌年の開花に大きく影響するため、肥料はしっかりと与えておきましょう。
福寿草は病害虫に強いといわれていますが、まれにナメクジやアブラムシが発生する場合もあります。また、夏には白絹病が発生しやすくなります。
福寿草の植え替え時期は、9〜10月の秋頃となります。頻度は株分けの作業も兼ねて、2年に1回程度で行いましょう。
この植え替えを行なうさいに重要なのが、根の扱い方です。福寿草は花が咲き終わり、葉も散ってしまった9月から10月の時期は地下で過ごしています。
根が随分長く伸びていると思いますが、福寿草は水を吸う力が弱いため、できるだけ根の数は減らさないよう、ていねいに扱い、根を誤って切ったり取り除かないようにします。
また、同時に古く傷んでしまっている根はこのタイミングで除去します。
植え替える鉢はできるだけ大きく深い鉢(6号が目安)を用意して、根を広げるようにして植え替えを行って下さい。
福寿草は春植物のため、夏には落葉します。地上部が枯れたら日陰へ移動させて、ゆっくりと休眠させてあげましょう。
ただし、地上部は枯れても根は生きているため、夏の間も水やりは継続してください。休眠期は多湿な環境は厳禁ですので、これまでより気持ち乾き気味に管理しましょう。ただし、猛暑が続く日などは、都度頻度を多めにするなどしてください。
福寿草の種は一般には出回りませんが、花後に種を採取することで種から栽培することもできます。福寿草のタネは、複数の小さなタネがまるで金平糖の様にギュッと集まってできています。
タネを乾燥させると発芽率が下がるため、採りまき(タネを採取してすぐ土にまく方法)で種まきを行います。時期としては、タネが未成熟で手で触れると自然に落ちる頃を目安とします。
タネを撒くときは、親株と同じ用土を使います。未成熟なタネは腐りやすい為、まいてから7日間程は土を被せないようにします。その後、土を1cm程土を被せて、棚下に苔が生えないように気をつけましょう。
翌年の春頃に双葉が発芽しますが、タネをまいてから開花するまでには約4年ほどかかります。株分けを楽しみながらも種まきでじっくりと福寿草が育つ様子を楽しむのも良いですね。
株分けは、9〜10月の植え替えの際に行います。株をあまり小さく分けてしまうと、十分に生育しなかったり枯れてしまうことがあるので気をつけましょう。
株に5〜6つの芽がついている形が理想です。株から土をしっかりと落として、地下茎と芽を確認しながら手で分けます。芽が密集している場合は無理に分けずに、自然に分かれる個体のみを分けて株分けを行いましょう。
福寿草を育てていた方の中には、いつの間にか福寿草が消えてしまったという経験をした方も多いようです。
これは福寿草が冬の間に凍結してしまい、細胞から腐って崩れ散った可能性が考えられます。植え付けが遅かった株などは、できるだけ凍結しないように気をつけて育てましょう。
早い時期に開花したものは凍結により花弁が傷むことがあるので、水やりの際はできるだけ花に水がかからないように、低い位置から根元へそっと水をあげましょう。
今回は、山野でよく見かけられる、福寿草の育て方についてご紹介しました。根に毒を持っていますが、手で触れたり匂いを嗅いだりしただけではさほど害はないので大丈夫です。福寿草の毒の被害に合うケースのほとんどは誤飲とされています。
庭に福寿草の芽が出てきた頃、フキノトウなどと間違えないようにしてくださいね。それだけ気をつければ、福を呼び込んでくれる美しい花を楽しめるに違いありません。
GreenSnap編集部