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クワイは球形から太い芽が飛び出るように伸びているのが特徴です。「芽が出る」縁起物として、正月料理で多く使われる野菜のひとつとして知られています。煮物や揚げ物など料理でも幅広い使い方があります。
今回はそんなクワイの育て方をご紹介します。
クワイの成長には、十分な日光が必要です。日当たりの良い場所で育てるようにしましょう。種球を深く植え過ぎたり、水を入れすぎて水深が深くならないように注意が必要です。
クワイの栽培で水田跡地や畑を利用する場合は、水切れにならないように、すぐに水を補給できる場所がいいでしょう。
水田跡地ではそのまま利用して育てることができますが、畑を利用して栽培する場合は植える前に窪地を掘るなどの準備が必要です。
発泡スチロールやプラスチック容器を使ったプランター栽培、家庭菜園では、日の当たりの良い場所に置きましょう。
クワイはレンコンなどと同じ水性の植物です。生育期間中は水切れを起こさないようにし、常に水を張っておく必要があります。生育の途中に水不足や落水をしてしまうと、実の成長が止まったり悪くなってしまいます。
植え付け直後は水深3cm〜5cm程度で育て、葉茎が成長して伸びてきたら6cmから9cm程度まで水深をあげましょう。
1月から12月頃の収穫が終わるまで、水をしっかりと張り続けましょう。収穫の際は水を抜いて土を掘り上げます。
クワイを育てる際は、しっかりとした収穫のためにも追肥などを施して肥料をよく効かせておきましょう。
肥料にはチッ素やカリ、リン酸を含んだものを使用するといいでしょう。元肥では堆肥などの腐植物や化成肥料、熔リンを混ぜて用土をつくります。用土10リットルに対して、化成肥料は10〜15g、熔リンは5g程度が目安です。
クワイの塊茎に直接多くの肥料が当たっている状態では、芽が出にくくなることもあるため、偏りが出ないようによく混ぜ込んでおきましょう。
追肥は8月上旬と収穫前の9月下旬頃に施すのが適しています。追肥の際は一度張っている水を落とし、化成肥料を1平方メートルあたり50gずつ施すといいでしょう。株と株の間に肥料を埋めて土をかき混ぜたあとは、再び水を張り直してください。
生育が進むと葉の数が増えてきますが、葉の数が多すぎると地中のほふく株の発生や生育が悪くなってしまうため、注意が必要です。
枯れている葉や地面に近くにある葉は取り除くようにし、常に1つの株に5〜8枚程度の葉だけを残すように葉かきを行うようにしてください。
発泡スチロールやプラスチック容器を使ったプランター栽培でクワイを育てる際は、市販の野菜用培養土を使用するといいでしょう。肥料を混ぜ込めば、庭の土や無肥料の培養土でも使用することができます。
用土の酸度はpH6〜7程度が適しています。苦土石灰などを混ぜ込んで、酸度調整するといいでしょう。苦土石灰は用土1リットルあたり1gほどが目安です。苦土石灰を混ぜ込んだ後は1週間ほど置いてから、化成肥料などを元肥として混ぜ込んでください。
容器は用土の深さが20cm以上、水深が5cm以上を保てるものを用意するといいでしょう。
クワイの植え付け時期は、4月中旬から6月中旬頃までが適期となっています。
株と株のあいだは60cmほど間隔を取って埋めましょう。種球は芽を上に向けて、土の表面から深さ5cmほどに埋め、水を3〜5cmほど張ります。植え付ける種球は傷がついていないものや、健康状態が良いものを選ぶといいでしょう。
種まきから育てる場合は、種球の植え付けよりも1ヶ月ほど早い、3月中旬から5月頃が適しています。古い種や傷のついている種では発芽しないこともあるので、状態の良い種を選ぶようにしましょう。
容器に7分目程まで用土を入れた状態で種をまき、その上から土を被せます。水を入れた際に浮き上がってこないよう、種球を埋める場合よりも少し深めに種を埋めるといいでしょう。
クワイに植え替えの必要は基本的にありませんが、プランター栽培などで用土の深さが足りず、根詰まりなどを起こしてしまったときは大きな容器に移すようにしましょう。
クワイは収穫した種球を利用することで、繰り返して栽培することも可能です。
収穫したクワイを種球として使用する場合は、傷をつけず、状態がいいものを選ぶといいでしょう。また、受粉した雌花から種子を収穫することもできますが、熟してしまうと茶色く変色し、落下してしまうため、落下する前に収穫するようにしましょう。
病気の持っていない種球を使い、連作障害を起こさなければ大きな病気は発生しないでしょう。注意する病気としては葉枯れ病や赤枯れ病があります。
葉枯れ病は多くの植物に共通して発生する症状であり、多くの場合、土に残っていた病原が原因となっています。葉に黄色や褐色の斑点をつくり、症状が進むと葉が枯れ、光合成を阻害されることになります。症状が確認できた葉は取り除くようにして対策しましょう。
赤枯れ病は主にイネなどに起こる生理障害です。葉に褐色の斑点が現れ、症状が重い場合には根が黒く変色し腐ったり、株自体が枯れる原因にもなります。カリ肥料を十分に施し、バランス良く肥料を施すことで予防することができるでしょう。
クワイに発生しやすい害虫としては主にアブラムシが挙げられます。特に、4月から6月の春頃、9月から11月の秋頃に発生しやすいです。
アブラムシは1mm〜3mmほどの大きさで、葉から吸汁され、生育が悪くなることがあります。数が少ない場合は捕殺などでも対策ができますが、多く発生した場合は乳剤など薬剤を使用して防除しましょう。
クワイの生育に適した温度は20℃〜30℃になっています。寒冷地などでも植え付けの時期を遅らせることで栽培することができます。種の発芽は13℃〜15℃ほどが適しています。
クワイの収穫時期は、11月上旬から12月下旬頃になります。地上部分の葉茎が黄変してきたら、塊茎が十分に大きくなっており、収穫することができるでしょう。
1つの株から約10〜15個ほどの塊茎がついています。収穫する際は水を抜いてから土を掘り上げます。この際、収穫するクワイに傷をつけないように注意して、丁寧に掘り上げましょう。
収穫の約1ヶ月前に地上部分を刈り取っておくと、クワイの渋皮が取れるため、色のよいものを収穫することができます。
保存する際は乾燥させないように注意してください。水を張った容器の中に入れて冷蔵庫で保存したり、湿らせてラップや新聞紙で包むことで冷凍で保存することで長持ちさせることができます。
クワイにはカリウムや食物繊維、ミネラルなどがほかの野菜と比較しても多く含まれており、高血圧の予防にも効果があるとされています。
クワイの花言葉は「縁起が良い」です。
今回は正月料理で使われることも多い、縁起野菜のひとつであるクワイの育て方についてご紹介しました。
水田のような場所で栽培されていることが多いイメージのクワイですが、家庭でも発泡スチロールやプラスチックの容器を用いて水耕栽培で育てて収穫することができる野菜です。水性の植物なので、水を切らさないようにだけ気をつけましょう。
クワイは縁起物としてだけではなく、カリウムや食物繊維を多く含む野菜でもあります。
ぜひ家庭菜園で挑戦してみてはいかがでしょうか。
GreenSnap編集部