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クリスマスローズは白色やアプリコット色など大人しい花色が多く、下向きに咲くのでどこか控えめな花姿をしています。クリスマスローズは花の少ない冬の時期に咲く植物です。寒い時期に可愛らしいクリスマスローズを観賞すれば、冬の間も楽しく過ごせそうですね。
今回はクリスマスローズの特徴や種類について詳しくご紹介していきます。
クリスマスローズは、西ヨーロッパやアジアを中心に自生する、キンポウゲ科ヘレボルス属(クリスマスローズ属)に分類される多年草です。開花時期は1月~4月頃で、花の少ない冬の時期に見頃を迎えます。
さまざまな咲き姿や花色・柄が楽しめるうえに、寒さに強くて日陰を好むのでシェードガーデンや冬のガーデニングによく楽しまれています。
※ちなみに、花びらのように見える部分は萼片(ガクヘン)が変色した部分であり、本当の花は花芯近くのネクタリー(蜜腺)という部位に形を変えて進化しています。今回の記事では便宜上、花色や花びらと記載していますが、実際は葉の一部であり、そのため長い間美しい姿を楽しめるのです。
クリスマスローズの原種は約20種類ほどありますが、交配によって日々新しい園芸品種が生み出されています。
なお、クリスマスローズには、種まきから育てると二度と同じ花が咲かないという性質があります。つまり雄雌まったく同じ親株から複数の園芸品種をつくったとしても、どれも違う花姿になる可能性もあるのです。
これがクリスマスローズの花姿が多様な理由なのですが、いちいち品種名を命名してもしかたがないということで、じつはクリスマスローズの交配種には品種名がつきません。
※ただし人気の品種は組織培養で同じ姿の株を増やして品種名をつけたり、育種家が作出した品種たちにシリーズ名をつけることもあります。
そのため、園芸店に並ぶときはラベルや商品名に「ブラック・ダブル」や「レッド・糸ピコティ・セミダブル」といったように、色や咲き方、花の模様を羅列して区別されています。
とはいえ、ガーデニング初心者にはこのような表示ではどんな花が咲くか検討がつきませんよね。そこでまずは品種選びの参考になるよう、要素別でクリスマスローズの種類をご紹介いたします。
原種の中でもとくに「クリスマスローズ・ニゲル」という原種はその人気が転じて、本来は固有名だったにも関わらず、日本ではヘレボルス属の植物を総称してクリスマスローズと呼ぶようになりました。
クリスマス・ニゲルは、ニゲル系またはノイガーとも呼ばれ、元々は白色しかありませんでしたが、現在ではニゲルを交配親とした黄色やピンク、紫などさまざまな園芸品種が生み出されています。ニゲル系は12月~2月頃が見頃となり、比較的早めに開花します。
クリスマスローズ・オリエンタリスは、クリスマスローズの原種の中でもニゲルと並ぶ代表的な品種で、花色は淡いピンクやホワイト、イエローなどです。別名「レンテンローズ」とも呼ばれ、キリスト教の四旬節であるレントの時期に咲くことから名付けられました。草丈は約40cm~60cmです。
日本で出回る園芸品種は8割方がこのオリエンタリスを交配元としており、総称して「オリエンタリス・ハイブリッド」や「ガーデンハイブリッド」とも呼ばれています。開花は2月~4月頃でニゲル系より遅めです。
ゴールドは2005年にイギリスで生み出された品種で、近年のクリスマスローズ人気の火付け役となった存在です。それまで暗い色味が多かったクリスマスローズに、明るい花色やバラエティに富んだ花姿が増えるきっかけとなったもです。
ゴールドは蜜腺(ネクタリー)という花芯部分が明るい黄色になるのが特徴で、華やかな花姿が楽しめます。ゴールドネクタリーやオーレア、オーレア交配と呼ばれることもあります。
花びらの数が5〜6枚つくクリスマスローズです。クリスマスローズの中でも主流の咲き姿です。
花びらの数がシングルよりも多いクリスマスローズです。
シングルの中に、花芯の周りでいくつか花びら(発達したネクタリー・蜜腺)がつくクリスマスローズです。アネモネに似た咲き姿をしていて、交配によって生み出されました。
ダブルよりも花びらの数が多く、いくつも重なっているクリスマスローズです。近年交配によって生み出されたばかりです。
ピコティとは覆輪のことで、花びらを縁取るように別の色が入ることをいいます。色幅が細いものは糸ピコティ、広いものは帯ピコティと呼ばれることもあります。
スポットとは花びらの表に斑点のような濃い色模様が入ることをいいます。
ブロッチとは花びらの表に斑点が集まって色染みのようになった模様が入ることをいいます。
リバーシブルとは花びらの裏表の色が違う個体のことをいいます。一般的には表(花芯があるほう)が色が濃くなります。
ベインとは花びらの表に葉脈のような筋が浮き出る模様のことをいいます。より網目状に浮き出たものはネットと呼ばれることもあります。
ネクタリーとは蜜腺ともいって、クリスマスローズの本来の花の部位のことをいいます。ネクタリーが黒っぽいものをダークネクタリー(DN)、黄色っぽいものをゴールドネクタリーともいいます。
無茎種は葉柄と花柄が別々に直接出てくるクリスマスローズのことで、根や茎が丈夫で、太いのが特徴です。オリエンタリスが無茎種なので、一般に流通する多くの交配品種は無茎種です。
有茎種は太い茎が立って葉が付き、その頂部に花を咲かせます。比較的細い根が特徴です。有茎種の代表としてはヘレボルス・ニゲルやヘレボルス・ヴェシカリウスが有名です。
ここからは最新品種やガーデナーに愛される最近人気のクリスマスローズの種類をご紹介します。そもそも品種名やシリーズ名がついているクリスマスローズはその美しさや殊勝なことからもファンが多いゆえに定着している品種です。
いろんな種類のクリスマスローズを庭に植えて、カラフルかつおしゃれな花壇をつくってみましょう!
クリスマスローズ・氷の薔薇は、ニゲル種とガーデンハイブリットを交配した次世代のクリスマスローズです。名前の通り、雪や氷の下でも美しく咲くので耐寒性に特化しています。遅咲きの品種であるため、2月上旬に開花します。
ピンクフロストは下向きに咲くクリスマスローズが多いなか、横向き・上向きめに咲くので美しい花色が目に入りやすい人気品種です。暖かいとクリームピンク色に、寒いとダークピンクの色味で咲くので、一株からさまざまな色味の花が楽しめます。
マエストロはピンクフロストの兄弟にあたる品種で、温度によって色が変わるのではなく、咲いた時点でクリーム色やダークピンクの花が混在する品種です。アンティークカラーが美しく、切り花にも人気です。
スノーダンスは咲き始めがクリーム色、咲き進むにつれてピンク色へと色が変わる変わり種の品種です。一株から色が若干異なる花が咲くので、シックでおしゃれな見た目からもファンが多い人気品種です。
ホワイトスポットは白色の花びらに紫色の細かな斑点が入るのが特徴です。中心に小さい花がもうひとつ咲くセミダブルタイプの咲き姿が珍しいですね。ニュアンスカラーの多いクリスマスローズの中ではビビッドな色合いで人気です。
別名「パーティードレス」と呼ばれる多弁咲きの品種です。緑の花びらのふちがピンク色に色づき、花びらに黒いスポットが入ります。花びらは短く、密に咲くのでとても美しい花の形をしています。
ここからはあまり市場には流通しない原種である、希少品種のクリスマスローズをご紹介します。自生地によっては日本では地植えで育てられないものもあるため、鉢植えにして室内にいれて楽しむといいですよ。
クリスマスローズ・フェチダスは、黄緑色でベル形のような花が下向きに咲く有茎種で、花径は1.5cm程度です。フェチダスの葉や茎の部分を潰すと独特な匂いがします。寒い地域では草丈約1mまで育ちますが、温暖な地域では夏の時期に生育が止まってしまうことから大きくは育ちません。葉は細長く、種類によっては班入り葉や黄葉などもあります。
クリスマスローズ・アトロルーベンスは、スロベニアなどに自生する原種のひとつで、発芽から開花するまでに約4~5年と長い年月がかかります。そのためかなり希少品種として扱われ、園芸店に並ぶのは珍しい品種です。花径は4cm~5cm程度で、草丈は約30cm~40cmです。多くの葉は細長く、冬の時期には葉が枯れてしまいます。
アトロルーベンスとは濃い赤色という意味があり、濃い赤色をした花色が由来のようです。
クリスマスローズ・リビダスは、スペインのマジョルカ島など限られた場所に自生する有茎種の原種で、薄紫色や緑色などの小花を沢山咲かせます。温暖な地域が原産の為、耐寒性には弱いため日本ではあまり流通していない希少品種です。開花時期が長く、育てていくうちに大株に育ちます。
クリスマスローズ・リグリクスは北イタリアに自生する原種のひとつで、花色は薄い緑色です。クリスマスローズの中でも香りが強く、柑橘系のような香りが特徴です。地植えしやすい原種でもあるので、園芸初心者の方にはおすすめです。
クリスマスローズは控えめに佇む花姿がとても可愛らしいですね。花色が豊富で、どの品種も個性豊かです。様々な品種があるので、まずは品種ごとの特徴や名前から覚えてみましょう。
品種によって育てやすさも異なるため、初心者~上級者まで楽しめる花です。ぜひともご自宅で育てて、寒い時期の開花を楽しんでみてはいかがでしょうか。
GreenSnap編集部