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いちごを栽培していると、だらんとしたつる性の茎(ランナー)が出てきます。このランナーとはいったいなんなのために存在するのでしょうか。このページではいちごの苗を増やすための、ランナーの見分け方や切る位置、タイミングなどについてご紹介します。いちごを栽培していて、もっと実を増やしたいという方もぜひご参照ください。
ランナーとは、ほふく茎と呼ばれる「つる」のように伸びる茎のことです。ランナーはいちごの株下にある成長点の集まり、クラウンから伸びていきます。
いちごのランナーの見分けるのはとても簡単。親株からだらんと垂れている細長い茎があれば、それがランナーです。
ランナーはつるの先に子株をつけるまで、葉っぱを出さずに伸びていき、写真のように親株からにょきっと地面を這うように生えていくので、見た目にもわかりやすいです。
一般的に「株分け」というと、ひとつの株を株元から分割するように分けるというイメージがありますよね。これは多くの植物が親株のすぐ近くに子株をつくるためです。ところが、いちごの場合は、ランナーの先に子株をつくります。
つまり、いちごはランナーを伸ばして子株をつくったあと、ランナーを切ることによって株分けができるのです。
ランナーをうまく伸ばせることができれば、簡単にいちごの苗を増やすことができます。
いちごのランナーを切るタイミングは2回あります。
1回目はいちごの収穫前、2回目はその増やした子株がある程度成長してからです。それぞれの詳細については、順次ご説明していきます。
ランナーが実から栄養を奪わないよう、収穫を終えるまではランナーを適宜切っておきましょう。
収穫をし終えたら、ランナーを切るのをやめてそのまま伸ばしていきます。すると子株ができて、その子株からさらにランナーが伸びて孫株、ひ孫株、玄孫株と続いて増えていきますよ。
それでは、まず収穫を終えたところから手順を確認していきましょう。いちご苗の増やし方を簡単に説明すると次のような手順になります。
それぞれの項目について、詳しくコツをご説明します。とても簡単にできるのでぜひ挑戦してみてくださいね。
いちごは弱酸性を好む性質があるので、手順②の工程で使う子株を置く土は、野菜用培養土にしましょう。市販の野菜培養土なら酸度調整がすんでいるのですぐに使えます。
また、露地栽培であればポットも培養土も必要ありません。そのまま任意の場所に子株を置けば、そこに根を張らせて増やしていくこともできますよ。
また、手順②の子株をポットの土の上に置くときに大切なのは、無理矢理深く埋めないことです。この時点ではまだ発根しておらず、写真のように子株のクラウン(いちごの成長点となる部位)と新芽が形成されているだけの状態でしかありません。
土に子株を深く埋めるとクラウンに土が入ってしまい、新芽が伸びづらくなって失敗する可能性があります。子株のおしりの部分と土が数mmほど密着していれば、そこから発根していくので、置くだけであり埋めるのではないということを理解しておきましょう。
手順③の工程について。発根してランナーを切る、株分けをするまでは、U字ピンなどを使ってランナーを固定し、子株と土が密着するように安定させましょう。
針金・ワイヤーをU字にしたものや、クリップを一度伸ばしてU字にしたものなども使えます。
子株から発根して根が安定するまでは、土が乾き切らないように水やりをして管理をしてください。
1週間ほどで発根しますが、根張りが安定したかどうかは、子株を手で触ってみてグラグラするかどうかで判断しましょう。
子株がある程度成長すると、さらにランナーが伸びて孫株、ひ孫株、玄孫株と伸びていきますが、あとでどの株が何番目の子株なのかわかった方が作業しやすいので、ランナーは切らずにそのまま育ててください。
いちごはランナーでどんどんと増えていきますが、その全ての子株がいちご苗として使えるわけではありません。
いちご苗として適正があるのは葉が3〜4枚ついた苗です。
まず親株は子株を増やしたエネルギーで力尽きているので、次の収穫は望めません。また一つ目の子株は親株の病気を受け継いでいる可能性が高いので、栽培用の苗としては不向きです。
一番適しているのは、2つ目(孫株)、3つ目の子株(ひ孫株)あたりの葉が3〜4枚ついた苗です。4つ目の玄孫株でも3〜4枚葉がつけば、いちご苗として使えます。
ただし、あまり一つの親株からたくさん子株を増やすと、玄孫株以降は葉が2本しか伸びないことが多いので、生育の悪い苗は栽培用には使えません。
十分に子株たちが育ったら、ランナーを切って株分けをしましょう。
ランナーを切る位置はイラストの通りです。親株側のランナーを2〜3cm残して切り、さらに子株を増やそうと伸びたランナーは短く切りつめます。
このように切るのは、親株側のランナーの反対側にのみ実がつくためです。どれが親株側のランナーかわかるように残すことで、実つきの方向をそろえられて栽培がしやすくなります。
いちごは栽培適温が18〜25度ほどと暑さを苦手とするので、苗の植え付け時期である10月がくるまでは、温度や置き場所を工夫しましょう。
できれば空調の効いた室内の窓際などで管理するのが理想ですが、難しい場合は屋外の明るい日陰ほどの場所で管理してください。
暑さが極まる時期は、打ち水をするだけでもかなり周囲の温度が下がるので、暑くなりすぎないように工夫してください。
また、土が乾燥すると根が安定しにくくなりますので、朝方の涼しい時間帯にたっぷりと水やりをしましょう。また日中の日差しを受けて土が乾いているようであれば、夕方にもう一度水やりしておくといいです。
秋まで管理できたら、植え付けをして収穫に向けて育ててきましょう!
いちごを増やしたいのにランナーが出ない、もしくは枯れてしまうという方も多いようですが、ほとんどはプランターや鉢の中で根がまわりきっているのが原因です。
ほとんどの植物は、地下部分と地上部分が比例するように伸びていきます。そのため、鉢の中で根が伸びる余地がないと、ランナーが伸びなかったり枯れてしまうのです。
このようなときは植え替えするのが解決方法となりますが、いちごは移植を嫌うので、できるだけ根に刺激を与えないように作業しましょう。根鉢は絶対に崩さず、クラウンを地上部に出して若干浅植えするのがコツです。
いちごを収穫したらそのランナーを利用して、さらに増やしてみませんか。そうすると果実量も増えますので、おいしいいちごがまたたくさん楽しめますのでぜひチャレンジしてみましょう。
GreenSnap編集部