warning
error
success
information
暑い夏の日差しを遮ってくれるグリーンカーテン(緑のカーテン)は、おしゃれかつ、環境や家計にも優しい、エコな暑さ対策として注目されています。つる植物を使ってネットに誘引するだけで簡単にでき、植える植物によっては、花を楽しんだり、収穫を楽しむこともできますよ。
今回はグリーンカーテンの効果や作り方、グリーンカーテンにおすすめのつる植物などを紹介します。
グリーンカーテンとは、つる植物をネットなどに這わせて、カーテンのように仕立てたものをいいます。緑のカーテンとも呼ばれ、最近では夏になると、お庭やベランダで見かけることも多くなりました。
窓の外や壁面に設置することが多く、植物の力を利用して強い直射日光を遮り、室内温度を下げる効果が期待できます。また、カーテンいっぱいに葉が茂り、花が咲いたり果実がなるので、建物の外観をおしゃれに彩ることもできます。
グリーンカーテンは、夏の強い直射日光を遮り、部屋の中を涼しくしてくれる効果があります。
生い茂った葉が直射日光を遮ることで、建物の壁などに熱を蓄積させず、ヒートアイランド現象を緩和できるので、建物内の温度上昇を防ぐのです。
植物の働きの一つでもある「蒸散作用」は、空間に冷たい空気を発生させます。
蒸散作用とは、植物の葉の裏にある細胞間のすきまから呼吸をし、水分の出入りの調節をすることですが、この働きが夏になると盛んになります。気孔から出た水は水蒸気になり、水から水蒸気に変化するときに周りから多量の熱を奪うので、この作用により涼しさが得られるのです。
また、その水蒸気を含んだ「涼風」を室内に取り込むと、エアコンなどの冷房機器の使用を押さえ、省エネにもつながります。
グリーンカーテンを設置することで植物によるリラックス効果も得ることができます。
グリーンが目に入る環境では、ストレスが25%軽減し、リラックス効果を29%上昇するという研究結果が出ています※。グリーンカーテンを設置すれば、心身にいい効果をもたらすことが期待できます。
また、温度差の違いを調べたり、植える植物によっては花や実物野菜も収穫できるので、お子さんの自由研究のテーマにもおすすめです。
※千葉⼤学環境健康フィールド科学センター宮崎良⽂先⽣「花きの効⽤に対する正しい知識の検証・普及事業パンフレット(農林⽔産省)」
グリーンカーテンを設置したときと、設置しないときでは、壁や窓の表面温度はどのくらい差が出るのでしょうか。
平成19年8月~9月に環境創造局環境科学研究所が市内全域(62地点)で行った測定で行われた結果では、晴れた日の日なたでは、グリーンカーテンを設置した場合、10℃ぐらいの温度低減効果があり、窓では約4℃、壁では約11℃の表面温度が下がることがわかりました。
また、グリーンカーテンを設置したときと設置しないときでは、室内温度も異なります。とくに14時以降に温度差が大きくなり、日没まで持続するという研究報告も出ているのです。温度低下はグリーンカーテンの面積が大きいほど著しくなるので、できれば窓辺だけでなく壁面にも設置するとより効果が感じられるでしょう。
グリーンカーテンをつくり始める前に、まずはどこのどの範囲に設置したいかを決めます。グリーンカーテンを設置するときは、以下の点に注意しましょう。
グリーンカーテンに利用する植物の植え付け時期は、植物の種類や地域によって多少異なりますが、基本的には5月中がおすすめです。3月~4月頃は朝晩冷え込むこともあり、寒さで苗が弱る可能性がありますし、反対に遅すぎると生長が間に合わなくなり十分花や実付きができなかったり、植物自体が暑さに対応できなくなります。
植え付け時は、炎天下の日を避け、なるべくまだ気温が上がりきっていない朝の10頃までに植え付けを終えるようにします。植え付ける際は、プランターもしくはお庭であれば地植えしてもかまいません。
まずは650サイズのプランターを用意し、鉢底網を敷いたら、底に厚さ約2cm程度で軽石を敷き詰めます。軽石を敷き詰めることで、排水性が高まり根腐れを防ぎます。
とくにゴーヤなど実物野菜に鉢底石は必須です。
培養土をプランターの8分目ぐらいまで入れます。残りはウォータースペースといって、水やりの際に水が溜まるようにするスペースです。土を入れたら、上から手で強く押さえたり、プランターを揺すって土を少し固めます。培養土は野菜なのか草花なのかによって変わるので注意していください。
肥料は野菜や花の種類によって違いますが、元肥として、有機肥料や化成肥料を植物の種類や生育に応じて適量を混ぜ込みます。
苗を容器から取り出したら、土になじむよう、根鉢の固まった部分をほぐしながら植え付けます。根鉢を崩しすぎない程度にほぐして植えましょう。植え付ける際は、プランターの土に穴を掘って苗を植え付けます。
根鉢と植え付け穴の間に隙間ができないように指や割りばしを突き刺しながら固定します。植え付け後は苗の土とプランターの土が同じ高さになるように調整し、土をかぶせたあとはたっぷりと水やりをします。
プランターの縁から窓上もしくは天井まで、作りたいグリーンカーテンの大きさに合わせてネットを貼ります。支柱を利用したり、市販のフックなどをつけると簡単にネットを貼ることができます。ネットはたるまないように、きつめに貼っておくのがポイントです。
グリーンカーテンをつくるときは、基本的につる性をもった植物を用いるのがおすすめです。次に、グリーンカーテンにおすすめの代表的な植物をご紹介します。
丈夫で生長が早く、枝数もどんどん増えるのでおすすめです。小学生の夏休みの自由研究にも定番の花です。日本アサガオ、西洋アサガオ、ユウガオなども同じように利用できます。
虫がつきづらいキョウチクトウ科のマンデビラは熱帯植物なので近年の猛暑にも強く、旺盛につるを伸ばします。園芸品種として「サンパラソル」、「パラソルジャイアント」などの名前で出回っています。
放射状に広がる花びらの上に、細いひげのような花びらを展開し、時計にそっくりな形の花をつけます。耐寒性が高く、きれいな花を楽しむことができます。
似た種類にクレマチスという花があり、こちらもグリーンカーテンに利用できます。食用の実がなるパッションフルーツもおすすめです。
巻きひげを出してネットやフェンスに絡みながら伸びる1年草の植物です。夏になると緑がかった白色の花を咲かせ、花の後にはふんわり膨らんだ紙風船のような愛らしい実をつけます。
実の中から取り出した種もハート模様がついており、実や種を収穫して楽しめます。
スズメウリ科の植物の中でもとくに実が鮮やかで美しい種類です。2~3cmほどの実にはウリ坊のような白い筋が入り、熟すと赤く実ります。グリーンカーテンが終わったあとは、実のついたツルをリースなどにして楽しめます。
グリーンカーテンの定番ともいえる野菜です。生長が比較的早く、実にはビタミンCを多くんでいるので、疲労回復や夏バテ予防に重宝します。
生長が早く、あっという間にグリーンカーテンができ上がります。豆のさやは、鮮やかな緑色で長さ15~17cm、幅1.5cmで、タネまきをしたあと約58日ほどで収穫できる極早生種は育てやすさではおすすめです。
ただ、最近の猛暑下の気温では暑すぎて、実がならなくなることもあるようです。5月~7月上旬ごろが適期です。
その他、グリーンカーテンに利用できる野菜として、ミニカボチャ(おもちゃかぼちゃ)や小玉スイカ、ひょうたん、ヘチマ、マクワウリ、キュウリなどウリ科の植物のほか、オカワカメやツルムラサキなどユニークな野菜類もあります。
室内温度を下げる効果があると同時に、花を観賞したり収穫を楽しめる一石二鳥のグリーンカーテンをつくってみたくなりましたか。
ツルを張って高く上に伸び、暑さに強く、強い日差しに耐えられるものが基本ですが、それぞれの住環境に合った植物を選んで、ぜひ育ててみてくださいね。
GreenSnap編集部