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カトレアは中南米原産のランの一種で、「洋ランの女王」と呼ばれることもあるほど、そのたたずまいは華やかです。ここでは、そんなカトレアの育て方を中心に、植え替えの方法なども詳しくご紹介していきます。
カトレアは寒さに弱く暑さには強い植物です。寒さに弱いため1年を通して日光が当たる場所を選んで植えましょう。とはいえ日光が当たりすぎるのもよくありません。
そのため、初夏から秋かけてはカトレアに日光が当たりすぎないように日陰をつくり、遮光してあげるなど調整が必要です。秋になり次の夏がくるまではできるだけ日光に当ててあげましょう。
カトレアを鉢植えするときには、植え付けの材料として土を使うのではなく、水苔やバーク(ミックスコンポスト)を使います。
カトレアを育てるときは、普段よく用いる園芸用の土は使いません。鉢は水苔を使うときは素焼き鉢を、バーク(ミックスコンポスト)を使う場合はプラスチック鉢を使うのが一般的です。初めてカトレアを育てる場合は、カトレアの株を購入するときにお店で植え付けの材料についても相談してみるといいでしょう。
カトレアを鉢植えで育てようとするときは、鉢の選び方が重要なポイントです。あまり大きすぎる鉢は、植え込み材料が水分を多く保持してしまい乾きにくく、根の張りが悪くなることもあるので、小さめの鉢がおすすめです。
植え付けの手順は、カトレアの根を傷つけないように鉢のふちからナイフなどを入れ、植え付け材ごとカトレアの株を鉢から外します。次に根についている水苔などの植え付け材を、根を傷つけないようにていねいに取り除きます。
そして、古い植え付け材を取り除いたら、新しい植え込み材料で植え込みます。
新しい鉢に入れるときは新芽のほうにスペースをつくってあげましょう。植え替えのあとの水やりは、植え込み材料がしっかり乾いてからで大丈夫です。
カトレアの水やりは季節ごとに異なります。春から秋にかけては、こまめに水やりをしましょう。カトレアは夏に生長するため夏は特に多めに水を与えます。
一方で冬になるとそれほど水やりは必要ありません。気温が低い場所でカトレアを育てている場合は、冬のあいだ水やりは控えめに。ただし冬でも気温が比較的高い場所で育てている場合は、鉢の表面が乾いたら水を与えるようにします。
カトレアに肥料を与えるのは、生育期のみです。新芽が出だしたのを確認したあと、固形の肥料を春に1回から2回程度与えます。液体の肥料を使い場合は5月から7月まで、1週間から10日に1回ほど与えましょう。
カトレアを鉢植えする場合、2~3年に1回程度の植え替えが必要で、その理由は大きく2点あります。
一つはカトレアが生長したために、鉢のなかでさらに生長していくスペースがなくなったこと。花付きの株を購入した場合などは、新芽が出たときに鉢のふちに触れているかどうかで植え替えの時期を見極められます。新芽が鉢のふちに触れていたら、植え替えの準備をするサインです。
二つ目の理由は、植え付けに使った水苔やバークなどが2年から3年で腐敗してしまうことです。植え付け材が腐ってくると接しているカトレアの根も腐ってしまいます。根腐れを起こす前に、受け替えてあげる必要があります。
植え替えのタイミングは一般的には4〜6月初旬ですが、初夏咲き種は9月頃が適期です。植え替えの時期を逃してしまうと、生育が遅れ、翌年の花がつかない原因になってしまいますので、忘れずに行いましょう。
植え替えに必要なものは、新しい植え付け材としての水苔やバークなどのほかに、これまでカトレアを植えていた鉢よりもひとまわり大きい鉢です。カトレアが生長し根を伸0ばすスペースがなくなったことによる植え替えなので、植え替えのときはこれまでよりもサイズが大きい鉢が必要になります。ただし、株分けや根腐れによる植え替えの場合はこれまでよりも小さなサイズに植え替える場合もあります。
植え替えの仕方については、植え付けと同じです。
カトレアの花が終わったら、少々お手入れが必要になります。花が終わったあと、枯れて落ちたらカトレアが病気になるのを予防するために、セパルが透き通って茶色に変化してきたタイミングで、花茎を切り落とします。切り落とすときに使うはさみはあらかじめ火で焼いて消毒しておきましょう。
カトレアは「株分け」で増やしていきます。株分けに適しているのは一般的には4月から6月初旬ですが、初夏咲き種は9月頃が適期です。
用意するものは、ピンセット、剪定ばさみ、ナイフなどです。いずれも株分け作業の前に消毒しておきます。株分けしたい株を鉢から抜き、植え込み材料を取り除きます。この際に、根を傷つけないように注意が必要です。株の根を傷つけないように適宜ピンセットなども使用していきます。
株を切り分けたら、植え替えと同じように新しい植え込み材料で植え込みます。新しい鉢に入れるときは新芽のほうにスペースをつくってあげましょう。植え替えのあとの水やりは、植え込み材料がしっかり乾いてからで大丈夫です。
カトレアは非常に病気に弱い植物のひとつです。一度ウイルスに感染したカトレアは枯れてしまい、薬剤などで手当てすることは不可能です。
アブラムシやカイガラムシ、スリップス(アザミウマ)などがウイルスを運んでくることがあるので、虫がつかないようにじゅうぶんに注意しましょう。春から夏にかけては、葉に白い斑点が出るうどんこ病などに注意します。カトレアを手入れしたり植え替えしたりするときは、剪定ばさみなどの道具は必ず消毒してから使うのが病気を予防するポイントです。
カトレアはその花言葉が表すように、美しく咲き誇る花です。手に入れたいけれど手が届かない女性のように、手入れも細かく、ていねいな扱いが求められます。しかし手をかければかけるだけ、美しく咲いてくれるでしょう。生活に華やかさを添えてくれるカトレアを、ぜひ育ててみませんか?
河村賢治
GreenSnap編集部