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寄せ植えは、玄関前や花壇などの狭いスペースでもあらゆる草花を楽しめる、ガーデニング手法のひとつです。
寄せ植えの作り方は簡単なので、初心者でも楽しめる一方、おしゃれでセンスのいい寄せ植えをつくるには、基本の作り方ににプラスして、いくつかコツが必要です。
今回は、初心者でもレベルアップできる、センスのいい寄せ植えをつくるポイントをご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
寄せ植えとは、1つの鉢やプランターに複数の草花を組み合わせて植えたものです。単体の草花だけで植えたものよりも、花色や花姿が違う複数の草花を組み合わせることで、より華やかになったり、より好みの雰囲気のガーデニングが楽しめるようになりますよ。
寄せ植えに使う草花に決まりはありませんが、寄せ植えを失敗せずに楽しむためには、まずは最低限知っておくべき花の組み合わせの基本をご紹介します。
寄せ植えをつくる前に、まずはどんな場所に置いて飾るのかを考えておきましょう。
例えば、日が当たりにくい玄関の角におきたい場合は、耐陰性のある草花を組み合わせる必要があります。また、日当たりがよいアプローチに飾るのであれば、直射日光に強い草花を組み合わせるなど、置き場所の環境に対応している草花を選ぶといいでしょう。
寄せ植えの花の組み合わせには、同じ栽培条件で育つかどうかも大切です。
例えば、夏の寄せ植えで人気なペチュニアは、直射日光が当たっても大丈夫なほど日光を好む性質がありますが、同じ夏の花のゼラニウムは、直射日光に当たりすぎると弱ります。同じ冬の草花でも、寒さに強いビオラ・パンジーは、寒さの弱いポインセチアとの寄せ植えには不向きです。
草花を組み合わせるときは、下記の栽培条件が同じかどうかをチェックしましょう。
とくに初心者の場合は、開花時期が同じ花を組み合わせて寄せ植えすることをおすすめします。
寄せ植えはつくったら終わりではなく、その後も数ヶ月その状態で育てますが、開花時期や開花期間が異なる花を植えてしまうと、一部分だけ枯れてしまい、見栄えが悪くなってしまいますよね。
もちろん一部分だけ植物を入れ替えるという方法もとれますが、できれば同じタイミングで咲いて同じタイミングで枯れると、寄せ植えのメンテナンスも楽になるので、開花時期はそろえたほうがいいです。
よくわからないという場合は、その季節に咲く一年草同士で組み合わせると簡単です。一年草はそのシーズンで枯れてしまいますが、開花期間が長いという特徴があるので、合わせやすいですよ。
寄せ植えをつくるのに必要な材料と道具はこちらです。
このほか、園芸シートや、トレー、バッドがあると、土汚れが広がらず、後片付けもしやすいでしょう。
※がついている項目は、花壇などに地植えする場合は不要です。
草花用培養土は、草花が生育するのに適した配合用土のことです。ホームセンターや100円ショップでも手に入れることができます。
なお、寄せ植えするときは草花同士が密集した状態になるので、より排水性の高さが求められます。そのため、できれば市販の草花培養土にさらに2割程度、小粒の軽石を加えて混ぜることをおすすめします。
自分で配合する場合は、「赤玉土小粒5:腐葉土3:バーミキュライト1:軽石小粒1」に、元肥として緩効性肥料を加えて使ってください。
次に、草花用培養土を鉢の1/2〜1/3ほどまで入れておきます。
草花の配置は、鑑賞する角度が全方位か一方向かで大きく変わります。全方位であれば、中心に向かって草丈の高い草花を置くといいでしょう。こんもりとした仕上がりをイメージします。
一方向の場合は、後方に草丈の高い草花を置き、手前にいくにつれて低くなるように配置すると、全ての草花がよく見えるようになります。
垂れ下がるつる性の植物などは、鉢の縁側(外側)に植えるといいです。
根鉢の側面に対して白い根が2〜3割ほど回っている程度であれば、根鉢を崩さずにそのまま植えます。
写真のように根鉢の側面に対して白い根が4割以上回っている場合、根鉢の側面が根で真っ白の場合、根鉢の底で根がとぐろを巻いている場合などは、根付きづらくなるので根鉢を崩すか、根鉢の高さ半分まで下からハサミで「十字切りして植えると、刺激されてそのあとの活着がよくなります。
このとき、背の高い植物から植えていくとやりやすいです。最初に植える位置にもよりますが、基本は奥から手前、もしくは中央から周囲に向かって順に植えていきましょう。
このスペースはウォータースペースとも言い、こうすることで水やりをしたときに水があふれずにすみます。
水やりをするときは、花に水がかからないよう、株元の葉をかき分けてあげるようにしましょう。
花壇や庭の一角に地植えして寄せ植えを作る場合も、基本的には上記でご紹介した手順と変わりません。
ただし、地植えは根を張るスペースも広くなるので大きく育ちやすいです。成長するにつれて株間同士が密集しすぎて病害虫が発生する可能性が高くなるので、株間は十分にあけておきましょう。
目安としては草丈30cm以下の植物の場合20cm程度、草丈30cm以上の植物の場合30〜50cmほどが必要です。寄せ植えしたばかりのときはスカスカに感じるかもしれませんが、花がピークを迎えるころには美しい仕上がりになりますよ。
基本的な寄せ植えの作り方をマスターしたら、次のステップに進んで、センスのいい寄せ植えをつくる4つのポイントをおさえましょう!
① いろいろな形の草花を組み合わせる
② 花色は1〜2色にとどめる
③ カラーリーフをうまく組み合わせる
④ おしゃれな鉢に寄せ植えする
これらを踏まえてつくれば、初心者でもワンランク上の、センスのいい寄せ植えが楽しめますよ。さっそく、それぞれのポイントについて詳しく説明していきます。
草花にはそれぞれ株姿にタイプがあります。寄せ植えをつくるときは、メインになる大きな花や、隙間を埋めるための細かな花など、形の違うさまざまな草花を組み合わせると、センスのいい寄せ植えに仕上がるでしょう。
例えばこの写真だと、下記のような構成で組み合わせされています。
寄せ植えは最低でも「メインとなる花」と「隙間をうめる花」の2タイプを組み合わせておくと、それなりのものがつくれますよ。
よりセンスのいい寄せ植えをつくるなら、縦のラインをつくる草花をいれて高さのある寄せ植えにしたり、アクセントに実ものをいれたり、鉢からこぼれるようなつる性の植物を組み合わせるのもおすすめです。
参考となるよう、それぞれ形タイプ別に、寄せ植えで使いたい代表的な草花をご紹介します。
春 | 夏 | 秋 | 冬 | |
メインの花 | チューリップ、ラナンキュラス、デイジー、ガーベラ、アネモネ、ネモフィラ | マリーゴールド、ペチュニア、ゼラニウム | コスモス、ポットマム、ガーデンシクラメン | プリムラ・ジュリアン、ビオラ・パンジー、クリスマスローズ、ハボタン、ガーデンシクラメン |
隙間埋めの花 | メネシア、ワスレナグサ | ダイアモンドフロスト、カスミソウ、ロベリア | センニチコボウ、ガウラ | スイートアリッサム、小輪ビオラ、イベリス |
縦ラインの花 | ルピナス、ムスカリ、アジュガ | サルビア、ラベンダー、デルフィニウム | ノゲイトウ、アメジストセージ、サルビア | カルーナ、エリカ、ストック |
実もの | ー | 観賞用トウガラシ、ジューンベリー | ヒペリカム、ムラサキシキブ、デコベリー、コケモモ、ビバーナム | スキミア、チェッカーベリー、ハッピーベリー |
寄せ植えでは花の形だけでなく葉っぱ形も大切です。
とくにつる性の植物や細長い線状の葉を持つ植物は、鉢の縁まわりにこぼれるように植えることで、より動きのある寄せ植えができるので、よりセンスのいい寄せ植えをつくりたい方にはおすすめです。
多年草がほとんどなので、通年を通して寄せ植えで使えますよ。
センスのいい寄せ植えをつくる上で、もっとも大切なのは「花色の組み合わせ」です。現在では園芸品種の開発が進んで、さまざまな色の花が出回っていますが、寄せ植えをつくるときは最初に色のテーマを決めて、組み合わせていくといいでしょう。
とくに初心者さんは華やかに寄せ植えをつくろうと思って、いろんな花色の草花を植えがちなのですが、花色は1〜2色までにとどめるのがベストです。1〜2色だと少ないと感じるかもしれませんが、次にご紹介するようなテーマカラーを参考にしてみると、寄せ植えの幅も広がりますよ。
寄せ植えする花の色を、白だけにしぼったり、ピンクと赤などの同系色の花だけを使って寄せ植えします。全体に統一感がでておしゃれになります。
反対色とは、色相環を見たときに反対側に位置する色のことで、紫&黄色、赤&青、青&オレンジ、ピンク&緑などが代表的な例です。互いの色を引き立てあうので、センスのいい寄せ植えがつくれます。
ニュアンスカラーとはパステルカラーやグレージュなど、色と色が混ざり合った中間色のことです。くもったような色味の花を集めると、トーンに統一感が出て上級者のようなおしゃれな寄せ植えがつくれます。
アンティークカラーとは、色褪せたな茶色っぽさや、焼き色がついたようなセピア色のことを指します。とくに花色が豊富なパンジー・ビオラや、ペチュニア、プリムラ、クリスマスローズなどに多く、アンティークカラーで統一するとおしゃれになります。
それぞれの季節には、たとえばお正月なら赤と白、春はピンク、夏は青、ハロウィンならオレンジと紫、クリスマスなら赤と緑、といったようなイメージカラーがあります。これらを花の組み合わせで再現させてあげると、季節感のあるセンスのいい寄せ植えがつくれます。
センスのいい寄せ植えには、草花だけではなく、カラーリーフがアクセントに使われていることが多いです。カラーリーフとは、緑色以外にも赤や黒、黄色、シルバーなど、さまざまな色で葉を伸ばす植物の総称です。花よりも長持ちするので、鑑賞期間も長く楽しめます。
カラーリーフにもさまざまな種類があるので、草姿のタイプ別に代表的な品種をご紹介します。
カラフルなカラーリーフは、花色では表現しにくい黒や、エキゾチックな色を使えるので、アクセントに使うのがおすすめです。ダークな色を寄せ植えにとりいれると、全体が引き締まってかっこいいですよ。
人気のカラーリーフは下記です。
シルバーリーフとは、葉色が白みがかってシルバーに見える植物の総称です。どんな花色にもすんなりとなじみ、全体をセンスのいい寄せ植えに仕立て上げてくれます。
下記のシルバーリーフがとくに人気です。
寄せ植えをつくるとき、草花の組み合わせと同じくらい重要なのが、鉢のチョイスです。ひとくちに鉢といっても、素材やデザインによって、寄せ植えの仕上がりはまったく異なります。
センスのいい寄せ植えをつくるなら、鉢の素材やデザインに合わせて、先にご紹介した、“草花のテーマカラー”も合わせることをおすすめします。具体的な例を、それぞれの鉢でご紹介していきましょう。
素焼きやテラコッタの鉢は、通気性や耐久性が高いのが特徴です。比較的高価にはなりますが、自然素材なのであらゆる植物となじみやすいでしょう。
素焼きやテラコッタの鉢を使うときは、組み合わせる草花のうち、ひとつでもテラコッタカラーや、アンティークカラーの花を使うといいです。花色と鉢の色がリンクすることで、よりまとまりのあるセンスのいい寄せ植えができます。
ブリキの鉢は、比較的安価で幅広いデザインから選べるので、手軽に楽しめます。経年変化によってサビが出やすいのが特徴です。
サビ感のあるブリキ鉢を使うときは、原色系の花色は避けたほうがいいでしょう。例えば、ビビッドな赤や青などは避けて、白い花やアンティークカラーの花を合わせます。ブリキ鉢の色に合わせて、黒いカラーリーフを使うのもおすすめです。
バスケットタイプの鉢は、通気性がよく、持ち手があるタイプなら簡単に移動管理できるのも魅力的な鉢(プランター)です。自然素材なので、基本的にはあらゆるテーマカラーの草花となじみやすいでしょう。
中でも相性がいいのが、春のピクニックを想起させるピンクの花や、初夏のピクニックを想起させる水色と黄色のテーマカラーです。濃い色合いよりもさわやかな色合いの草花を組み合わせると、センスのいい寄せ植えがつくれます。
アイアンの鉢やプランターは、デザイン性と耐久性が高く、イングリッシュガーデンやナチュラルガーデンにもおすすめです。ハンギングバスケット状になっているものが多いので、ココヤシファイバーや水苔などを合わせながら寄せ植えします。
シンプルなデザインのため、とくに鉢との配色を気にせずに自由に寄せ植えできますが、ハンギングの場合は壁掛けなどにするので、つる性のカラーリーフや垂れ下がるようなカラーリーフをうまく取り入れるとおしゃれです。
木製の鉢やプランターは、排水性がよく、安価で手に入ります。自然な風合いが草花との相性もいいですが、地面と接しているところから腐りやすく、菌が繁殖しやすいので注意しましょう。
木製の鉢はカラー加工されているものも多いですが、鉢と同じ色の花をひとつでも入れておくと、まとまりのある寄せ植えになります。
プラスチックの鉢は、安価で手に入り、色や形などのデザインが豊富です。軽いので移動管理も楽ですが、通気性や排水性がやや劣ります。スリット鉢という鉢底から切れ込みが入った鉢をつかったり、用土の水はけをよくして使うといいでしょう。
製品によってカラーはさまざまなので一概には言えませんが、プラスチックの無機質感を少しでもやわらげるため、写真のようにココヤシファイバーをうまく取り入れるのもテクニックのひとつですね。
ブリキをはじめ、木製や陶製、グラスファイバーなど、あらゆる素材の鉢は、さまざまなカラーバリエーションで出回っています。
このように、鉢自体が主張のあるカラーの場合は、鉢の色と反対色の草花を合わせたり、鉢の色と同系色の草花を合わせましょう。テーマカラーに鉢を含めて考えると、上手くまとまった寄せ植えがつくれます。
水やりは基本的に、土が乾いたら鉢底から流れ出るまでたっぷり与えてください。
できるだけ花にはかからないようにして、株元をかき分けて、土が十分にしめるように水やりをしましょう。
また、とくに夏場は日中の水やりを避けて、朝方か夕方以降に水やりをしましょう。冬は午前中に水やりをしてあげるといいです。
寄せ植えの花が枯れていたら、そのままにするのではなく、花首から枯れた花を取り除きましょう。これを花がら摘みといいます。
花がら摘みをすることで、本来種子をつくるために使われるはずだったエネルギーが株全体にまわるので、より寿命が長くなったり、次の花が咲きやすくなります。
とくにビオラ・パンジーやペチュニアなどの、開花期間が長い一年草などは、切り戻しをすることによって、乱れた寄せ植えの仕立て直しができます。
さらに花もそろって同じラインにできるので、寄せ植えしたてのような美し左が楽しめますよ。
寄せ植えの鑑賞期間はだいたいワンシーズン(3ヶ月程度)です。すべて1年草なのであれば、シーズン終わりの時期にいっぺんに片付けて、全く新しい草花を寄せ植えするといいでしょう。
多年草が混じっていたり、まだ花が咲きそうな元気な草花がある場合は、できるだけ残す苗の根を傷つけないように周りの土を出して、枯れた花だけ抜いて新しい草花を入れ直すこともできます。
草花や鉢の組み合わせを考えるときに、今回ご紹介した4つのポイントを意識することで、きっとセンスのいい寄せ植えがつくれますよ。ぜひ参考にして、よりステキなガーデニングをお楽しみください。
藤原正昭
GreenSnap編集部