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桜の種類まとめ|早咲き桜の品種や、ピンク色・モコモコの八重咲き品種は?

桜は日本の国花のひとつとして、世界中に知られる花であり、春の風物詩として親しまれていますね。じつは桜はさまざまな種類がある花木なのですが、ソメイヨシノ以外の桜の名前や特徴などをご存知ですか?

この記事では

  • 日本でよく見る桜
  • 早咲き桜
  • モコモコの八重桜
  • ピンク色の桜

などの種類について、名前や特徴、開花時期などもふまえながらご紹介していきます。桜の起源や原産地、なぜ日本で桜が広まったのかについてもご紹介するので、ぜひご覧ください。

桜の種類はどのくらいある?

桜 ソメイヨシノ

桜とはバラ科サクラ属の落葉小高木〜高木の花木のことで、日本の国花のひとつとしてもなじみ深いお花です。

桜といえばソメイヨシノを思い浮かべますが、じつは日本にはもとから自生している桜の原種が10種類ほどあり、そこから自然交配してうまれた変種は100種類以上もあるのをご存知でしょうか。

さらに現在では、原種を交配して作出された園芸品種(総称して里桜とも呼びます)も数多くあり、すべてを合わせると400種類に及ぶほど、じつは種類が多い花木なのです。

日本でよく見る桜の種類

数ある桜の種類の中から、まずは日本の公園や街中でよく見る桜や、人気の品種、有名な原種などをご紹介します。

ソメイヨシノ(染井吉野)

ソメイヨシノ 染井吉野

【開花時期:3月下旬〜4月中旬】

ソメイヨシノは日本全国に分布し、日本に植えられている桜の約80%を占めるともいわれる、最も有名な桜です。つぼみは淡いピンク色で、開くと花は白に近いピンク色になります。

ソメイヨシノはエドヒガンザクラとオオシマザクラという原種の桜同士から自然交配で生まれた雑種の桜で、江戸時代末期から広まりました。

日本のほとんどの桜はソメイヨシノですが、そもそもの原木は上野恩賜公園にある1本だけで、あとは全てクローンだということが研究により明らかになっています。

エドヒガンザクラ(江戸彼岸桜)

【開花時期:3月下旬〜4月下旬】

エドヒガンザクラは原種の桜のひとつで、春の彼岸(例年3月20日の3日前後)に咲くことから、この名前が付いています。

枝を上から下へ枝垂れるように伸ばすことから、枝垂れ桜とも呼ばれ、多くの枝垂れ桜系の交配親品種となっています。花の大きさは他の桜よりも小さめで小花がたくさん枝先につくように咲きます。

原種の中でもかなり病害虫に強く、ほかの桜よりも寿命が長いです。それにともなって30mを越す個体もあるほど樹高が高くなる傾向にあります。

マメザクラ(豆桜)

【開花時期:3月下旬〜4月中旬】

マメザクラも原種の桜のひとつで、本州中部から太平洋岸に自生する桜です。自生地名から「箱根桜」や「富士桜」とも呼ばれています。

マメザクラという名前どおり、比較的樹高が低く、花径1〜2cmの小さな花を下向きにうつむくようにつけるのが特徴です。花と葉を同時につけることも多く、淡い桃色と新緑のコントラストが美しいですよ。

ヤマザクラ(山桜)

桜

【開花時期:4月上旬〜4月下旬】

ヤマザクラは本州の宮城以西や、四国、九州の山地に分布する、原種の桜です。ソメイヨシノにも似た花で、ソメイヨシノが普及する前はヤマザクラが最も有名でした。

一説には日本で最初に生まれた桜だともされており、日本最古の書物である古事記でてくる桜はこのヤマザクラだといわれています。

また、ヤマザクラは変異しやすく、多くの変種や園芸品種の親株でもあります。開花と同時に若葉を開き、秋の時期には美しい紅葉も楽しめるのが特徴です。

オオシマザクラ(大島桜)

大島桜

【開花時期:4月上旬〜4月下旬】

オオシマザクラは伊豆半島や東京などに咲く、原変種の桜です。若葉と同時に白い花をつけて伸びていきます。

園芸品種の桜は「サトザクラ(里桜)」という総称でも呼ばれますが、ソメイヨシノをはじめとしたサトザクラ品種の多くは、オオシマザクラを親株に開発されたものです。

カンヒザクラ(寒緋桜)

寒緋桜

【開花時期:3月上旬〜3月下旬】

カンヒザクラはおもに中国南部や台湾、沖縄などに自生する原種の桜です。

名前に緋の字が入る通り濃いピンク色をした花を咲かせるので梅の花とも勘違いされやすいですが、カンヒザクラは梅の花とは違って枝から緑の軸を伸ばして、その先っぽにつむきがちに花を咲かせます。

一般的な桜よりも早く開花するため、早咲きの桜の代表的な存在です。カンヒザクラをもとに生み出された早咲き品種の多くは、カンヒザクラに似た濃いピンクの花をつけます。

カワヅザクラ(河津桜)

【開花時期:3月上旬〜3月下旬】

カワヅザクラは、伊豆半島に自生しており、カンヒザクラとオオシマザクラの交雑種の桜とされています。名所である静岡県河津市にちなんで名付けられました。

カンヒザクラゆずりの淡いピンク色の花色で、開花期間が1ヶ月ほどと長く咲き続けるのが特徴です。

カンザクラ(寒桜)

【開花時期:2月下旬〜3月下旬】

カンザクラは、カンヒザクラとヤマザクラの交雑種の桜とみられ、関東以南の暖地のほか、熱海に多く植えられていることから、「熱海桜」とも呼ばれています。

名前の通り、寒い時期から早々に咲く早咲きの桜で、葉に先立って花を展開するので、満開時には淡い紅色に染まった株姿を楽しめます。

オオヤマザクラ(大山桜)

大山桜 蝦夷山桜

【開花時期:4月中旬〜5月中旬】

オオヤマザクラは寒さに強く、日本ではおもに北海道が名所となっており、「エゾヤマザクラ(蝦夷山桜)」とも呼ばれています。

ヤマザクラよりも葉や花が一回り大きく、花と同時に伸びていく若葉が赤いのが特徴です。

カスミザクラ(霞桜)

【開花時期:4月下旬〜5月中旬】

カスミザクラは原種の桜のひとつで、おもに北海道や四国、九州などの山岳地に自生しています。ヤマザクラより白みがかった花色で、満開になると山肌が霞がかったように見えることから、この名前がつきました。

ヤマザクラよりも開花時期が2週間ほど遅れる、遅咲きの桜です。

早咲きの桜の種類

冬桜

冬桜、または早咲き桜と呼ばれるのは、一般的に開花時期が1月〜3月ごろの桜の総称です。

そのほとんどが原種のカンヒザクラ(寒緋桜)から派生した変種や交配種がほとんどであり、おもに沖縄や台湾、中国南部などの、暖かい地域に自生しています。

カンヒザクラの花びらは、その名の通り濃いピンク色のため、早咲きの桜の多くは、比較的濃いピンク色の花をつけることが多いのが特徴です。

  • カンヒザクラ(寒緋桜)
  • ジュウガツザクラ(十月桜)
  • カンザクラ(寒桜)
  • シュウゼンジザクラ(修繕寺寒桜)
  • カザヅザクラ(河津桜)

ピンクの桜の種類

大寒桜 ピンクの桜

桜はソメイヨシノのようなほんのりと淡いピンク色に染まる種類と、紅梅のように紅色ぐらいに濃いピンク色で咲く種類があります。

濃いピンク色の桜のほとんどは、原種のひとつであるカンヒザクラ(寒緋桜)から派生して生まれた品種のため、比較的開花時期も早いという特徴があります。

  • カンヒザクラ(寒緋桜)
  • ドヒザクラ(土肥桜)
  • ヨウコウザクラ(陽光桜)
  • シュウゼンジザクラ(修繕寺寒桜)
  • カザヅザクラ(河津桜)

モコモコの桜の種類(八重桜)

八重桜

八重桜とは、桜の咲き方で呼び分けしたときの総称で、花びらを豊富につける桜の総称です。

一般的な桜の花びらは5枚ですっきりとした見た目ですが、八重桜はもこもことしたボリューミーな花姿をしています。

八重桜のほとんどは、オオシマザクラやヤマザクラなどの交配種で、日本に多く分布するソメイヨシノに比べて、1週間ほど開花が遅いというのも特徴のひとつです。

  • ヤエベニシダレ
  • カンザン(関山)
  • イチヨウ(一葉)
  • イモセ(妹背)

枝垂れ桜(シダレザクラ)の種類

枝垂れ桜 シダレザクラ

枝垂れ桜とは、桜の株姿で呼び分けしたときの総称です。枝が枝垂れるように下に向かって伸び、桜の花が降り注ぐようにつきます。

枝垂れ桜のほとんどは、エドヒガンザクラという原種をもとに、交配してつくられた品種です。

  • コヒガンザクラ
  • ベニシダレ
  • シシブベニシダレ
  • ヤエベニシダレ

盆栽(鉢植え)で育てやすい桜の種類

最近では桜を苔玉にしたり、盆栽や鉢植えで楽しむ人も増えてきました。

桜の種類は数多くありますが、挿し木にして小さく育てたり、盆栽や鉢植えに向いている桜の品種は下記などがあげられます。

  • 一才桜(旭山桜)
  • 十月桜
  • ヨウキヒ(楊貴妃)
  • おかめ桜
  • フジシダレ

桜の起源・原産地は日本ではない?

桜の起源はネパールだった!

桜は日本の国花のひとつなので、当然その起源は日本であり、原産地も日本であると思っている方が多いようですが、じつは桜の起源はネパールだということが近年の研究により明らかになっています。

数千万年も昔、ネパールの山岳地帯で生まれた最初の桜「山桜(ヤマザクラ)」は、中国を通ってやがて日本にまで分布を広げました。日本で記録として残るのは古事記が最古ですが、弥生時代には日本に山桜が伝わり、桜を神聖な木として扱われてきたそうです。

ただし、ネパールの山岳地帯の発端が現在の中国ヒマラヤ地方(チベット)であるため、中国が桜の起源だとする意見もあります。

桜の起源は韓国説は間違いなの?

毎年のようにソメイヨシノが韓国発祥だというネットニュースが話題になり、果ては韓国が桜の起源であるという主張まで話題になっていますが、これは誤りです。

そもそもの主張はソメイヨシノが韓国済州島にある「王桜」を起源としているというものでしたが、これは韓国の研究チームがソメイヨシノと王桜の外見が似ていることから二つを同一種だと決めこみ、王桜のみのDNA解析結果を根拠にしてそう主張しています。

つまり韓国済州島に自生している王桜だけを調べて、それに似ているソメイヨシノも原産地は韓国だという憶測の主張を言っているに過ぎません。

現在はソメイヨシノのDNA解析をして、科学的にもソメイヨシノと王桜は別物だと証明されています。桜の起源はネパールですが、ソメイヨシノはまぎれもなく日本の現在の東京豊島区で生まれた、日本固有種の桜です。

なぜ日本で桜の種類がこんなに増えたの?

桜 河川敷

桜の種類は400種ほどあると先述しましたが、その多くはこの日本で生まれたものです。

なぜここまで日本で桜の種類が増えたかというと、その理由は花見文化が古くから盛んだったことにあります。

日本には古来より花を見て歌を詠む文化があり、日本最古の歌集である万葉集にはすでに桜を見て詠まれた歌の記録が残っています。ちなみに万葉集の時点では梅のほうが詠まれた歌の数も多かったようですが、古今和歌集の時点では桜のほうが上回りました。

つまり、奈良・平安初期ぐらいに桜=日本の花として貴族たちの間で定着し、花見で楽しまれていたのです。

その後の日本全国での広まりは桜の花言葉についてまとめた記事で詳しく紹介していますが、日本で多く植林されると同時に変異性の高い山桜が各地方に合わせて変異していき、さらにはそれぞれが自然交配して固有種が生まれていったのではないかと考えられます。

また、江戸時代に庶民に花見文化及び桜が広まると、植木職人たちによってさまざまな園芸品種が生み出されました。ソメイヨシノもその一つではありますが、そうした文化的な背景から日本で桜の種類が増えていったのです。

桜の種類や開花時期を覚えて楽しもう♪

古くから親しまれてきた桜ですが、今や日本全国には数え切れないほどの種類が存在します。画像でみてみると、ピンク色の濃淡や、花びらの数、若葉のつき方など、多種多様なことがわかりますね。

有名なソメイヨシノのほかにも、さまざまな地域に、その地特有の桜が咲くことがあるので、桜の種類を覚えて、春の開花を楽しんでみてください。

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