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きれいなバラの花を咲かせるためには、剪定は必要不可欠な作業のひとつです。剪定によって良い芽を増やして、たくさんの元気な花をつけるようになります。ただし、ベストな時期や方法が品種によって異なるなど、少しややこしい作業でもあります。バラはそのまま放っておくと、樹形が乱れたり、正しいところに養分がまわらず、病害虫にかかりやすくなるので、正しく剪定を行って手入れをしてあげましょう。
今回はそんなバラの剪定の仕方や、品種ごとの適した時期などを、それぞれ詳しくご紹介していきます。
種類 | 剪定時期 | 主な品種 |
四季咲きバラ | 夏剪定+冬剪定 | モダンローズ、ハイブリッドティーローズ、フロリバンダローズ、ミニバラなど |
一季咲きバラ | 冬剪定(+夏剪定) | オールドローズ、つるバラなど |
バラの剪定の時期は、育てているバラの開花時期に合わせておこないましょう。
バラは春に開花する「一季咲きのバラ」と、春と秋に開花する「四季咲きのバラ」の2種類にまず分けられます。
一季咲きと四季咲きのバラとでは、剪定するタイミングがそれぞれ異なりますが、基本的にはバラは下記の剪定作業が必要になります。
ハイブリット・ティー(HT)やフロリバンダローズ(FL)などのモダンローズをはじめとした四季咲きのバラは、春と秋の開花にそなえて、冬剪定と夏剪定の年2回ほど剪定をしましょう。
オールドローズやつるバラの多くにみられる、春だけに開花する一季咲きのバラは、春の開花に備えて冬の剪定をします。
基本的には年1回、冬剪定をするだけで問題ありませんが、枝葉が混み合っているようなら様子をみて、夏に弱剪定をすると安心です。
バラの夏剪定は、9月上旬頃が適期です。あまり遅くなりすぎると、秋に花が咲きにくくなるので注意しましょう。
バラの夏剪定の時期は「見頃の時期」から逆算すると◎!
近年では、地球温暖化の影響により、9月に入っても猛暑となる日が少なくありません。そうなると、9月のいつ頃に剪定を始めたらいいのかわからない方も多いはず。
そんなときは、バラの見頃の時期から逆算して剪定を行うのがおすすめです。
バラの花が見頃を迎えるのは、平均気温15〜20℃となる頃(例年では10月頃)です。長期の天気予報や近所のバラ園の開花情報などを活用して、その年にバラが見頃を迎えそうな時期を予測し、そこから約1ヶ月半前くらいに剪定をするといいでしょう。
冬剪定をする時期は、基本的に1月上旬〜2月下旬頃です。ただし、つるバラだけは、少し早めの12〜1月中旬頃までに剪定しておきましょう。
バラの冬剪定は、花が終わってからでOK!
冬の剪定時期も、同じく地球温暖化の影響で後ろ倒しにずれる可能性があります。
冬剪定は、本来はバラが休眠している間に行うものです。そのため、花が咲いている(=休眠していない)間に剪定を行うのは避けた方がいいです。
バラが休眠しはじめるのは、最高気温7℃以下になり、落葉しだした頃です。この条件に近づいたら、剪定の準備をするといいでしょう。
夏剪定とは、四季咲き性のバラに対しておこなう、秋バラを咲かすための剪定です。
夏剪定の方法については、種類によって異なるため、それぞれ個別にご紹介していきます。
四季咲き大輪・中輪系のバラの夏剪定は、全体3分の2ほどのサイズ感になるように丸く形を切り整えていくのが基本です。
2〜3番枝(芽が分かれて生えている枝)を混ぜながらバランスよく剪定してください。花を切り落とし、まだ咲いていないつぼみも切り落とします。
そのほか、つぼみがつかない5cm以上伸びた(ブラインド)枝や、黄色く変色した葉などは取り除いてください。
四季咲きミニバラの夏剪定は、ごく浅めに切って、一回り小さく仕立てるように丸く整えていきます。浅めといっても、全ての枝にハサミを入れるようにしてください。
一季咲きのオールドローズ系のバラやつるバラは、基本的に夏剪定は必要ありません。
ただし、枝葉が混み合っているようなら、風通しをよくするために内向きに生えた枝などを中心に剪定してください。
そのほか、春にあまり花がつかなかった枝や、小さい花しか咲かなかった枝は根元から剪定しましょう。
冬剪定は春にたくさんの花をつけるための剪定です。バラの種類に限らず、冬剪定は必ず必要となります。
冬剪定の方法についても、種類によって異なるため、それぞれ個別にご紹介していきます。
四季咲き大輪バラの冬剪定は、全体の2分の1〜3分の1ほどの高さになるように剪定していくのが基本です。
その年早め(5〜7月ごろ)から伸びた太い枝や、年数の長い太い枝は浅めに剪定しますが、10月以降に伸びた枝や細い枝は、必ず深めに剪定してください。
四季咲き中輪バラの冬剪定は、全体の2分の1〜3分の1ほどの高さになるように剪定していくのが基本です。
大輪系とは違って、中輪バラの冬剪定は細い枝の浅めに切って残すようにすると、花付きがよくなります。
ミニバラの冬剪定も、基本的に全体の2分の1〜3分の1ほどの高さになるように剪定していきます。
ミニバラの場合も、細い枝を浅めに切って残すようにするといいでしょう。また、あまり芽を気にせずにバランスを重視して剪定していきます。
オールドローズやつるバラの冬剪定では、全体が2分の1ほどの高さになるように剪定するのが基本です。また、剪定と同時に誘引もするようにします。
バラの剪定方法のひとつである花がら摘みは、状態のいい花を長く咲かせるために行います。
バラの種類に限らず、花が咲き終わりそうな時期に、枝ごと切り落として、新しい花芽を伸ばしていけるようにしましょう。
一番花は3月から伸びた枝の半分で切り落とします。二番・三番花は、前回切り落としたところから伸びた枝の半分で切り落としてください。
バラの剪定をするときは、基本的にすべての枝にハサミをいれるようにしましょう。
よく伸びている枝は深く切って、あまり伸びていない枝は浅めに切ることで、全体のバランスを整えるのが基本です。
剪定バサミを入れる位置は、株に対して外側に向いている芽(外芽)の上5mmほどの部分です。
こうすることで外側に枝が広がる樹形をつくることができます。
そのほか、枯れ枝や内側に向いて伸びている枝は根元から切ります。なお、これらはバラの種類を問わず共通します。
切り口は「斜め」にするのがポイント!
枝に剪定ハサミを入れるときは、切り口が斜めになるようにしておくと、断面に水がたまりにくくなり、病気の発生を防ぐことができます。
これは夏剪定でも冬剪定でも共通している剪定のポイントです。
▼バラのベーサルシュート
ベーサルシュート(シュート)とは、上の写真のような、地面や株の根元付近から勢いよく伸びていく枝のことです。おもに春から夏にかけて、花が咲き終わったタイミングで伸びだします。
ベーサルシュートは、翌年以降に株の主幹枝となる大切な枝ですので、基本的には剪定をせず育てていきます。
なお、その年の主幹枝は一定の期間花を咲かせると、役目を終えどんどん元気がなくなっていきます。
翌年もきれいで元気な花を咲かせるためにも、その年の主幹枝の方は切り落として、ベーサルシュートの方を残して、翌年の主幹枝として育てていきましょう。
ただし、四季咲き木立性のバラだけは例外で、「ピンチ(摘心)」という剪定作業が必要になります。
四季咲き木立性のバラは、生命力が強い傾向にあるため、ベーサルシュートもどんどんと伸びていきます。例えば、ハイブリッドティーローズ(HT)やフロリバンダローズ(FL)などの品種が代表的です。
▼ほうき状になったバラの蕾
これらのベーサルシュートをそのままにしておくと、枝先がホウキのように分岐して、上の写真のようにたくさん蕾をつけます。
そうなると枝がひょろひょろと細くなり、次の主幹枝にするには枝が弱くなりすぎてしまうので、蕾をとって、養分を枝に集中させてあげる必要があるのです。
このシュートの先端の蕾をとる作業のことを「ピンチ(摘心)」といいます。
四季咲き木立性バラのベーサルシュートのピンチは、蕾ができはじめたら行います。蕾が小さく、やわらかいうちに先端を折ってしまいましょう。
もし蕾が大きくなっていたり、シュートが上の写真のようにほうき状になってしまった場合は、HT系なら1回、FL系なら3回に分けてピンチを行います。
基本的な手順は、次のとおりです。
ベーサルシュートが40〜50cmほど伸びたら、5枚葉がついている茎を5本ほど残して、それより上の枝は生え際1mm上のところで折る。
1回目にピンチしたところから次の芽が伸びるので、新しく伸びたところから数えて5枚葉の茎を6〜7本残して、同じように折る。
2回目にピンチ部分から生えた芽は、同じく茎を6〜7本残して、同じように折る。その後生えた芽はそのまま育てます。
バラの剪定をする前にまず、剪定の数日前からバラへの水やりは控えて、乾燥気味にしておきましょう。乾燥させておくことで、剪定のダメージが減ります。
また、剪定バサミはよく切れるように研いで、必ず剪定前に消毒をしてください。バラが枯れる原因のひとつは、剪定後にウィルスに感染してしまうことです。清潔な剪定バサミを使うことで予防できるので、必ず消毒をするようにしてください。
バラの剪定をしたあとは、切り落とした枝葉は残すことなく取り除いて捨てましょう。そのままにしていると、蒸れの原因になって害虫や病気が発生しやすくなります。
また、木立ち生のバラで太めの枝を切った場合は、癒合剤を塗布しておくと病気の感染リスクが抑えられます。
バラはどれも奥が深く、毎年いい花をつけ続けるためには、日々の観察と工夫が必要です。
今回ご紹介したバラの剪定や、つるバラの誘引などのお手入れ方法は、あくまで基本であり、品種や個体差によってベストな方法は異なります。今回の記事を参考に、ぜひ美しくバラを育てられるよう研究してみてください。
GreenSnap編集部