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イチジクは昔から「不老長寿の果物」とも呼ばれていて、栄養が豊富な果物です。ドライイチジクなどで手軽に食べることができ、美容効果もあることから女性にも大変人気が高いですよね。品種によって異なりますがイチジクの木は樹齢20年以上のものもあり、イチジクを長く育てるためにも剪定はとても大切な作業の一つといえます。
イチジクの剪定の時期や方法、剪定で失敗しないコツなどについて紹介していきましょう!
イチジクは落葉低木なので、樹高が約2~3mまで生長します。地植えならば剪定せずとも育てられますが、より収穫量をあげるためには、日光がまんべんなく当たる樹形づくりと剪定が必要です。
また、鉢植え栽培の場合は大きくても樹高2mほどで管理したほうがいいので、剪定が必要不可欠といえます。
イチジクは剪定することで風通しもよくなって株自体の健康にもつながるので、収穫量をあげたり、長く安定的に栽培するためにも、定期的に剪定をしましょう。
イチジクの剪定は、「強剪定」と「間引き剪定」を組み合わせて作業します。強剪定は枝を途中で切り戻して分岐をうながす剪定で、間引き剪定は混み合った枝や不要枝を切り落として、日が株の内部まであたるようにする剪定です。
樹高を調整する場合は強剪定、それ以外の場合は間引き剪定で樹形を保ちましょう。
なお、イチジクの剪定は植え付けから2〜3年後の、実がなりはじめてからで大丈夫です。
イチジクの剪定時期は12~2月頃が最適です。
イチジクは春の時期に生長して夏~秋にかけて収穫するので、休眠期にあたる冬であれば強剪定をしても回復が早いですよ。
次に、いちじくの剪定でどこを切るのを解説します。基本的には強剪定をしてから間引き剪定をする順番です。なお、強剪定はイチジクの品種によって切る位置や切る枝が異なるので注意しましょう。
イチジクには夏の時期に収穫できる「夏果専用種」、秋に収穫する「秋果専用種」、そして夏と秋年に2回収穫できる「夏秋兼用種」の3種類があり、この種類によって花芽の付き方が異なるので、強剪定の方法も異なります。
初心者向きと呼ばれているのは秋果専用種か夏秋兼用種なので、自分が育てている品種がどの種類かわからないという方は、夏秋兼用種の方法を参考にしてください。
秋果専用種 | 前年に伸びた枝にある芽を2〜3芽残して、それ以上先にある枝は切り戻す。 | 春から伸びた新梢にのみ花芽がついて実がなる。 |
夏果専用種 | 前年に伸びた枝にある芽を5〜8芽残して、それ以上先にある枝は切り戻す。 | 剪定のときに残した芽が花芽となって実がなる。 |
夏秋兼用種 | 芽がついている枝の分岐部分を起点として、半分の位置で枝を切り戻す。 | 剪定のときに残した芽に夏果が、春から伸びた新梢に秋果がなる。 |
間引き剪定では樹形を乱したり、混み合う原因となるような不要枝を、必ず分岐の根元から切り落とします。切る位置が浅いと、そこから枯れ込んだり、さらに分岐して伸びてしまったりするので、必ず根本から切るということを覚えてください。
イチジクでよく見られる切るべき不要枝は、具体的に下記のようなものです。
イチジクの実の重みで枝が垂れ下がるのを防ぐためにも、誘引もこまめに行うといいでしょう。また、イチジクを苗木から育てている場合は、誘引することで樹形をきれいに仕立てることもできますよ。
地植えのイチジクの樹形でおすすめなのはワイングラスの形に似た「杯状仕立て」か、フェンスや棚を使う「一文字仕立て」の2つです。鉢植えの場合「ほうき仕立て」と言う樹形が、コンパクトにまとまって観賞用としても手頃です。
ここからはそれぞれの樹形づくりについてご紹介していきます。
杯状仕立てというのはワイングラスのような樹形のことで、家庭での栽培ならスペースもあまりとらないのでおすすめの樹形です。
苗木を植え付けた1年目の冬は、地上から高さ50cmほどのところで主幹を切って、主枝の分岐をうながします。
2年目の冬は主幹から分岐した主枝4本残して、前回切り詰めた位置より下にある分岐枝は根本から切りましょう。さらに一番上の主枝分岐部分で主幹の方を切り詰めて、上に伸びる主幹のエネルギーを左右の主枝に回すようにします。
このとき残す主枝が真上から見たときに「+」の形になる配置だと理想的です。残した主枝の中間部分から紐で誘引して地面に引き寄せるようにしましょう。
3年目の冬は主枝の強剪定と実がついた結果枝を全て基地戻すようにしてください。強剪定は先述の通り、品種によって切る位置が違うので注意。
さらに4本それぞれの主枝は、側枝が分岐している位置で切り戻して、側枝がたくさん伸びるようにエネルギーの流れを調整します。誘引は継続してください。
4年目以降の冬は樹形も落ち着いているので誘引を外しても大丈夫です。混み合った部分を間引くなど、先述のイチジクの剪定方法を参考にしましょう。
一文字仕立てというのはフォークの横幅が伸びたような、2本の主枝を左右に伸ばして主枝から伸びる側枝を上方向に伸ばしていくような樹形です。
プロの果樹園でよくみられる樹形でフェンスや棚などに誘引するのでスペースがある方におすすめです。
苗木を植え付けた1年目の冬は主幹を地上から50cmの高さのところで切り詰めて、主枝の分岐をうながします。
2年目の冬は、前回切り詰めた位置で分岐している主枝2本を、左右に一文字になるように、フェンスやトレリスなどに誘引します。このとき主枝の先端を芽の上で切り戻しておきましょう。
3年目の冬からは、主枝から上に向かって伸びる側枝の間隔を30cm間隔になるように、混み合っていれば間引くように根本から剪定します。また、実をつけた結果枝は、品種ごとのやり方に従って強剪定で切り戻します。
ほうき仕立てというのは、ほうきを逆さに立てたような樹形のことで、鉢植え栽培に向いています。
苗木1年生の冬、主幹が30cm以上あるのであれば20〜30cmの位置で切り戻します。まだ高さが満たない場合は翌年の冬まで作業を1年ずらしましょう。
2年目の夏に、主幹から分岐した主枝を3本程度に納めて、地面から20〜30cmの高さ以内にある枝は全て根本から間引くように切りましょう。
2年目の冬に、残した3本の主枝を根本から20〜30cmのところで切り戻してください。主枝は地面に引き寄せるように誘引しておくといいです。
3年目の冬は主枝からさらに分岐した側枝がたくさん出ますが、側枝は2芽を残して全て切り戻してください。
イチジクを剪定した後の枝の切り口をそのままにしておくと、病害虫にかかる原因になりかねません。とくに大きなイチジクの木の場合は切り口を保護するために時間がかかってしまうため、剪定後は癒合材を塗布するなど対策する必要があります。
また、剪定後はカミキリムシがつきやすいため、イチジクの幹に穴が空いているようであればミキリムシの可能性があります。剪定後は、カミキリムシが発生していないか確認するようにしましょう。
その他、イチジクを剪定する際は最適な時期に作業することが大切です。イチジクの枝は春先になると硬くなり折れやすくなってしまうため、特に枝を曲げる一文字仕立ては適さない時期に剪定すると上手くいかないことがあるので注意しましょう。
イチジクの剪定で切り落とした枝を使って、挿し木をして株を増やしてみてはいかがでしょうか。挿し木苗から収穫までは2〜3年かかりますが、収穫量も上がるのでおすすめです。
もともとイチジクは生命力が強く、挿し木の成功率もかなり高いので、初心者の方でも簡単にできますよ。
挿し木での増やし方はこちらの記事で詳しく紹介しているので、参考にしてみてください。
イチジクは特別な手入れは必要ありませんが、剪定は大切な作業の一つです。イチジクの木はすぐに大きくなってしまうため、枝が伸びてきたようであれば剪定する必要があります。
剪定することでおいしいイチジクの実がなり健康も維持できるので、ご自宅でイチジクを育てている方は定期的に剪定してみましょう!
七尾びび
GreenSnap編集部