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スーパーに並ぶ美味しそうな野菜。
買い物カゴに入れようとして「福島県産」の表示に気づいたら、棚に戻しますか?
そのまま買いますか?
2020年3月11日で東日本大震災、福島第一原子力発電所の事故から9年。
時が経ち、福島県産の農産物も「安全」とPRされるようになりましたが、放射性物質の土や植物への影響が気になり、避けている方はまだまだいるはずです。
ではどうして安全と言い切れるのでしょうか?その理由を専門家に解説してもらいました。
藤田医科大学大学院客員教授、会津若松市放射線管理アドバイザー、中部原子力懇談会放射線部会専門委員
私たちの身の回りには放射性物質がたくさんあります。
放射性物質というとセシウムが有名ですが、栄養成分であり肥料にも使われるカリウムも実はその一つ。
カリウムには種類があり、全てが放射性というわけではありませんが、選んで摂取できないため体内に入ってきてしまうのです。
園芸でも使う土にもウランが含まれています。ただ量が非常に少ないため、人体への影響はありません。ラドン温泉で有名なラドンも放射性のガスです。
私たちはこういった食べ物や大地、空気などから日常的に放射線を受けています。
その量は日本で年間2.1ミリシーベルト。
そのほかにも例えば病院でCT検査(全身)を受ければ1回につき7ミリシーベルト程度の放射線を受けています。
このように私たちは放射線を避けて生活していくことはできません。
それでも福島県産の農産物を避ける方もいらっしゃると思いますが、福島県産は「安全」です。
そう言える理由は主に2つあります。
一つ目はしっかりとした検査体制があることです。
福島県では、県内産のコメは全量、コメ以外の農産物はサンプリング検査が行われて、疑いが出た場合は、さらに精密な検査が行われています。
内閣府の食品安全委員会が定めた基準値を上回った場合は、市場に流通させません。
なお、ここ数年では、基準値を上回ったものは、農家や畜産業者が生産しているものにはありません。
例えばセシウムの基準値は一般食品で1キロあたり100ベクレルです。
この基準は、米国やEUと比べても、前提となる条件がとても厳しく設けられています。
まず、食品の50%が汚染されていると仮定し、食品の摂取量が最も多い13~18歳の男性でも年間1ミリシーベルトを超えないように設定されています。
そして二つ目は、農地の除染が行われたことです。
原発事故の後、福島県の畑では除染が行われ、今ではセシウムが検出されることはほとんどありません。
つまりそもそも安全な場所でしか農作物は作られていないのです。
これらの検査状況などは厚生労働省や各自治体ホームページなどで公開されています。
こういった背景から、市場にでている福島県産の米や野菜は安全といえるのです。
福島県産の農産物への風評被害はいまだにあります。
私が放射線管理アドバイザーを務める会津若松市では、市の担当者が「何度説明しても理解してもらえないことがある」とボヤいていました。
私は小学校で放射線についてきちんと教えることが必要だと思っています。
その知識は子どもが大きくなったときに役立つのはもちろん、家庭内で正しい情報を共有することにもつながります。
私たちは放射線と共存しています。
だからこそ福島県産の農産物をただ危険と避けるのではなく、まず科学的な根拠を知って、そのうえで食べるかどうかを判断してほしいと思っています。
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GreenSnap編集部