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樹形にこだわり、手入れが大変そうな盆栽。敷居が高そうで、興味があっても、なかなか始められない…という方も多いのではないでしょうか?そんなに難しく考えなくても大丈夫です。盆栽の決まり事や、盆栽の楽しみ方を知れば初心者でも楽しむことができます。もちろん盆栽は奥が深いものです。極めるには時間がかかりますが、興味があるのなら、まずは始めてみましょう。そこで今回は、盆栽を始めるのに必要な知識や道具、作り方、育て方などをご紹介します。初心者におすすめの盆栽もご紹介しますので、気軽に盆栽にチャレンジしてみましょう。
盆栽とは、ただ鉢に植えてある植物と思っていませんか?それなら鉢植えと変わりません。盆は鉢を指し、栽は樹木を指します。盆と栽が合わさって盆栽となります。すなわち、栽(樹木)だけ鑑賞するのではなく、盆(鉢)との相性を総合的に観賞するのが盆栽です。高級日本料理店の、料理と器のような関係といえます。
小さな樹木で壮大な自然や、雄大な時の流れを表現する伝統的な日本の芸術なのです。自然を表現する盆栽ですが、その自然は作られたものであることが、盆栽の面白さです。姿のいい自然の樹木を鉢に植えたのでは、盆栽とはいえません。盆栽を育てる人が思い浮かべる理想の形、枝ぶりにするのが盆栽です。そこには、盆栽を育てる人が表現する自然美があります。美しい風景の縮図が盆栽なのです。しかも、人工的にも関わらず、自然に見せることが盆栽の奥の深いところでもあります。盆栽を始めるのなら、まずは樹形を覚えましょう。
幹がまっすぐ天に向かって伸び、枝が左右対称にバランスよく保たれている樹形です。
自然に育った樹木のように、幹が曲がりながら天に向かって伸びる樹形です。
強風にあおられ、今にも倒れそうなのに、しっかり生えている姿を表現した樹形です。倒れ掛かっているにもかかわらず、不安定さを感じさせないよう、バランスを取ることがポイントになります。
風になびいているように、幹や枝が一方向に向いている樹形です。
樹木を下向きに育て、梢が根本より低い樹形です。
適度に曲がった細めの幹が天に向かって伸びる樹形です。下枝をほとんどつけず、上部の枝も下げ、古木が朽ち果てる侘しさを表現します。
1本の樹木の根や下枝が育ち、2つの幹になる樹形です。主幹の方が太くて高いことが条件で、なおかつ2本の幹の高さが、バランス良くなくてはいけません。幹が離れていない、向きが同じであることも求められます。
種類の異なる2本の樹木を寄せ植えして作る樹形です。双幹同様、2本の高さのバランスが良く、幹が離れていない、向きが同じであることが求められます。
初心者が覚えておきたい、主な樹形をご紹介しました。この他にも様々な樹形がありますが、追々覚えていきましょう。これらの樹形は、剪定や針金掛けなどで作っていきます。また、盆栽には見るべき角度があることも覚えておきましょう。正しい角度から盆栽を鑑賞しなければ、盆栽の作り手の表現したいものが伝わらないのです。
日本人に愛され続ける桜を盆栽にした桜盆栽は、人気の高い盆栽です。春の訪れを感じることができ、季節感を大切にする盆栽の考え方にマッチしています。桜は生育旺盛で、よく花も咲くため、華やかな盆栽を楽しむことができるでしょう。ただし、こまめなお手入れが必要です。
盆栽といえば松というくらい、松は盆栽を代表する樹種の1つです。松は常緑樹なので、一年中葉が青々と繁っている点が大きな魅力でしょう。また、どっしりとした幹や枝も松盆栽の魅力です。さらに、寒さに強く丈夫な上、比較的仕立てやすいため、人気があります。
四季を感じられる、もみじも人気の樹種です。春には芽出し、夏には青葉が楽しめ、秋には赤く色づく葉が楽しめ、四季折々の姿を楽しめるところが、もみじ盆栽の人気の理由です。
盆栽の王道である松伯盆栽の中でも、特に初心者におすすめなのが五葉松盆栽です。五葉松の特徴として、他の松伯盆栽は松の葉が2本なのに対し、五葉松は名前の通り、松の葉が5本あります。五葉松は乾燥に強く、成長が遅いので、初心者でも扱いやすいです。さらに、木質が柔らかく、枝を曲げやすいので、初心者におすすめの盆栽といえます。
黒松も育てやすく、人気の高い盆栽の1つです。その魅力は、荒々しく、力強い見た目にあります。また、成長スピードが速く、みるみる成長するので、早く成長する姿を見たい人におすすめの盆栽です。
春の芽出し、夏の青葉、秋の紅葉、冬の寒樹と、四季折々の姿が楽しめるもみじ盆栽は、家にいながら季節の移り変わりを感じられる、人気の盆栽です。中でも、山もみじは丈夫なので、初心者でも育てやすいでしょう。
春の訪れを告げる梅も盆栽に適した樹種です。紅白の花はめでたいので、紅白2種類の梅を寄せ植えにするとよいでしょう。梅は、寒さ暑さに強く丈夫な上、花付きもいいので、初心者におすすめです。
桜盆栽は人気がりますが、こまめに手入れをしなければいけないので、初心者には少しハードルが高いです。ただ、一才桜は、桜の中では育てやすいため、初心者が桜盆栽を始めるなら、一才桜が良いでしょう。花付きがよく、若木から花を楽しめます。
盆栽を始めると、いろんな道具が必要になってきますが、まずは、盆栽を始めるのに最低限揃えておきたい道具から揃えていきましょう。おすすめの道具セットをご紹介します。
水やりをするのにジョーロは欠かせません。盆栽は小さな鉢で育てることが多いため、注ぎ口が細い方が使いやすいです。ペットボトルに取り付けて使うシャワーキャップなどでも代用できます。
葉水を与えるのに霧吹きが必要になります。ペットボトルに取り付けて使うスプレーヘッドなども霧吹きの代わりになるでしょう。
枝の「剪定」など、盆栽鋏を使う機会は多く、盆栽には欠かせない存在です。盆栽鋏は万能で、盆栽に関する切る作業は、ほとんど盆栽鋏でできます。盆栽を続ける中で、必要があれば、使いやすい他の鋏も揃えていけば良いでしょう。
盆栽鋏と共にはじめから揃えておきたいのが又枝切です。他の鋏で切ると枝の根元が残ってしまいますが、又枝切なら枝を根元から切ることができます。盆栽鋏と又枝切があれば、不満なく盆栽を楽しめるでしょう。
盆栽は芸術です。若い芽を傷つけたりしないように、いろんな作業をする際には繊細さが求められます。虫やごみ、雑草を取る時や、芽摘などの作業は、手でやるのではなく、ピンセットを使いましょう。
盆栽の形を整えるのに「針金掛け」という作業が必要になります。また、植え替えした時に、木や枝を固定させるのにも針金を使います。針金を切る際に必要になるのが針金切です。針金を切るのならペンチでもよさそうですが、盆栽は小さく、繊細さを求められます。ペンチで枝に傷つけては困るので、針金切を用意しておきましょう。
針金を曲げたり、枝に巻き付けたりする時に使います。ペンチでも代わりになりますが、枝を傷つけてしまうリスクがあるので、やっとこを用意しておいた方が良いでしょう。
「針金掛け」や、植え替えした時に、木や枝を固定させるのに針金が必要です。盆栽用の針金には、アルミ製と銅製のものがあります。また太さも様々ですので、育てる盆栽に合わせて選びましょう。
上記の道具セットは、盆栽を始めるにあたり最低限揃えておきたいものばかりです。盆栽を続けていって、必要だと感じたら、他の道具も買い足していけば良いでしょう。道具もピンキリです。初心者のうちに背伸びして高い道具を揃える必要はありません。お手軽な価格の道具で十分です。また、当然のことながら、これら道具以外にも、主役の樹木や鉢、鉢底ネット、土、肥料、害虫駆除の薬剤なども必要になります。
盆栽は、「剪定」と「針金掛け」にて樹形を作っていきます。
「剪定」は、樹形を整えたり、全体のバランスを取るのに必要な作業です。それともう1つ、新芽を増やし葉を多くして、樹木を元気にしたり、逆に増えすぎや伸びすぎた枝を「剪定」して、樹木の内部まで陽が入るようにする、風通しをよくする目的もあります。内部まで陽が入らない、風通しが悪いと、病気、害虫の発生につながりかねません。まずは、基本的な「剪定」の仕方を確認しておきましょう。
忌み枝(いたみえだ)と呼ばれる不要で、樹形を乱す枝を中心に、枝の根元から切り、間引きし、樹形を整えるのが基本的な「剪定」です。「剪定」すべき主な忌み枝を確認しておきましょう。
幹や太い枝から真っすぐ上に勢いよく伸びる枝
樹木の根元から出てくる若芽
下向きに出る枝
幹を横切るような枝
盆栽を鑑賞する正面に突き出して伸びる枝
枝の伸びる方向とは逆方向に生える枝
「剪定」には強・弱があります。切る枝の量が多い「剪定」が「強剪定」、切る枝の量が少ない「剪定」が「弱剪定」です。樹木の成長と、樹形を考慮して「強剪定」・「弱剪定」を行います。
また、新しい枝を増やすために行う「切り返し剪定」や、樹木の幹を太くし、高さを低く保ち、細かい枝を増やすために行う「切込み剪定」などもあります。
「剪定」は枝や幹ばかりではありません。樹木を良い状態に保つには、根の「剪定」が必要です。根を放っておくと、根詰まりや根腐れを起こす可能性があります。これらを防ぐには、伸びすぎた強い根や、腐った根を切り詰めなくてはなりません。根の「剪定」は、樹種や樹齢、樹木の状態などによりますが、1~3年に1回行う植え替えの時に、根を確認しながら行いましょう。
盆栽の形を作るのに必要なのが「針金掛け」です。枝に針金を巻きつけて、樹形を整えたり、忌み枝を矯正します。針金を掛ける方向は下から上で、太い枝から掛けていくのが基本です。
樹種にもよりますが、基本的には、土が乾いていたら、ゆっくり、たっぷり水やりをします。季節ごとによる水やりの仕方を確認してみましょう。
土が乾いていたら1日1回、鉢底穴から水が流れるくらい、たっぷり水やりをしましょう。
夏は特に水切れに注意が必要です。1日に2~3回、朝・夕もしくは朝・昼・夕にたっぷり水やりをしましょう。
1日に1~2回、鉢底穴から水が流れるくらい、たっぷり水やりをしましょう。
冬は、2日に1回程度で十分です。暖かい昼間に水やりをしましょう。
樹種や樹齢、樹木の状態などによりますが、1~3年に1回は植え替えしましょう。春3月下旬~4月がおすすめの時期です。植え替えをしないと、鉢に根が回り、発育不良、樹形の乱れにつながります。
また、土の水はけも悪くなってしまうので、土に水が染み込みにくくなったら、植え替えのタイミングです。植え替えの際には、根の状態を確認し、根の「剪定」も行いましょう。
基本的には外で管理しますが、夏の強い日差しや西日、雪、極端な寒さを避けるために、遮光ネットを使う、盆栽を移動させる等の工夫が必要です。また、害虫の侵入を防ぎ、風通しをよくするように、盆栽は地面に直置きせずに、棚の上に置きましょう。樹木により、耐寒性・耐暑性に違いがあります。あらかじめ、樹木に適した管理場所を確認しておきましょう。
樹木の生育に肥料は欠かせません。盆栽は小さな鉢で育てるため、自然の中で育つ樹木と違い、必要な養分は肥料に頼らざるを得ないのです。かといって、肥料の与えすぎも良くありません。また、肥料を施す時期にも注意が必要です。適時は、一般的に3月下旬~11月ですが、樹種により多少異なりますので、育てる樹木に適した肥料を施す時期や肥料の種類、量などを確認しておきましょう。
盆栽を始めるのに必要な知識や道具、作り方、育て方、初心者におすすめの盆栽などについてご紹介しました。盆栽は、日本の伝統的な芸術です。その伝統と歴史から、気軽に始められるイメージではありませんでした。しかし、昨今では、お手軽なミニ盆栽や「BONSAI」として海外でも人気が高まるなど、初心者でも気軽に始められるようになってきています。あなたも盆栽にチャレンジしてみませんか?あなた自身が自然を表現する喜びに触れてみましょう。充実感に満ちた時間、癒しの時間が過ごせるはずです。
GreenSnap編集部