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春の時期に見頃を迎える花といえば、桜が代表的ですよね。
桜は街路樹や庭木として楽しむイメージがありますが、桜盆栽としても楽しむことができます。ただし、桜を盆栽として育てるときは、ちょっとしたお手入れのコツを知っておく必要があります。
今回は桜盆栽の育て方や寿命などについて、詳しく紹介していきます。
桜は他の樹木と比べると盆栽で育てるのが難しいといわれていますが、初心者の方でもポイントを抑えれば育てることができます。
とはいえ、街路樹に植えられているような桜が桜盆栽に向いているわけではないので、盆栽にあった桜の品種を選ぶ必要があります。
桜盆栽に向いている桜の品種としては、「旭山桜」や「十月桜」などの品種が育てやすく、旭山桜はソメイヨシノの2週間後に開花する八重咲き品種です。十月桜は名前の通り秋にも開花する品種で、1年に2回開花が楽しめる育てがいのある品種です。
その他、「八重しだれ桜」や「川津桜」も育てやすいです。
桜盆栽は、日当たりや風通しが良い屋外で保管するのが基本です。日当たりは半日陰の場所でも育ち、直射日光に当たると葉焼けしてしまう恐れがあるので真夏では直射日光や西日が当たるとことは避けましょう。
桜は寒さに強い植物であり、一定期間の寒さに当てることで開花します。そのため、冬の時期も屋外で育てて問題ありません。
室内で鑑賞したい場合は、開花してからにしましょう。2~3日程度であればお部屋に置いても構いません。ただし、それ以上室内で保管すると木が弱ってしまうため、3日経ったら屋外に戻すようにしてください。
桜はもともと屋外で育つ植物なので、できる限り屋外で保管するようにしましょう。
桜盆栽は根も早く育つため、土の表面が乾いたタイミングで鉢底から水が流れるくらいまで水やりをします。季節ごとでは春~秋にかけては1日1~2回程度で、気温が涼しい朝と夕方に与えるといいでしょう。
冬の時期は1日2~3回が目安です。盆栽は水不足が枯れてしまう原因にもなってしまうため、水切れを起こさないようにすることが大切です。
水の与え過ぎも心配かもしれませんが、盆栽の鉢は浅いため他の鉢植えのように根腐れを心配する必要はあまりありません。
桜盆栽は、花が咲いた後の4月頃から10月頃まで月1回程度有機性の固形肥料を株元に施します。梅雨~真夏にかけては肥料を与えると株が疲れてしまうため、この時期は肥料を控えるようにしましょう。
花後最初の肥料は液体肥料を与えると、速効性があり花持ちもよくなります。
桜盆栽の植え替え時期は、花が開花する前の2~3月頃が適期です。
6号以下の小さい株の場合はよく成長するので、1〜2年に1回の頻度で植え替えをしましょう。7号以上の大株の場合は3〜5年に1回でも問題ありませんが、根詰まりの兆候がみられたら植え替えしてください。
土は市販のものが便利です。もし自分で配合する場合は[赤玉土5:軽石2.5:溶岩石もしくはバーミキュライト2.5]の割合で混ぜて、適量の緩効性化成肥料を混ぜて使いましょう。
また、鉢に対して桜盆栽の株が大きい場合は、ワイヤーを使って固定させるので、必要ならば用意しておきましょう。
桜盆栽の植え替えのやり方は下記の通りです。ワイヤーを使って株を固定させる場合は※の工程も踏まえて作業してください。ワイヤーを使わない場合は※の工程は飛ばして大丈夫です。
植え替えした後は、お好みで土の表面にコケを張ることで和の雰囲気が一層増してきます。コケには保水効果が期待できるので、水やりが大切な桜盆栽にとっては大いに役立ちます。
桜盆栽を現在と同じ大きさで管理したい場合は、植え替えと同時に根の剪定をする必要があります。
太く長い根は地上部と比例するように伸びていくので、太く長い根を切ることで地上部の成長具合をコントロールできます。
根の剪定の目安は、鉢の壁に当たらない程度です。根詰まり気味の株の場合、太い長い根がぐるぐると回るように伸びているはずですが、この根を新しい鉢に入れてみて壁にぶつからない程度のところまで短く剪定してあげればよいです。
土でよく見えない場合はバケツに水を張って根周りの土を落としてから、根の様子を見てみましょう。
桜盆栽の剪定は、花後の4月と落葉後の11〜12月上旬の、年2回行うのが基本です。
ただし桜盆栽の剪定は、完成樹と若木で異なります。若木の桜盆栽の剪定は、とくに時期を問わず芽摘みなどをして樹形作りをしていきますが、芽摘みについては後項でご紹介します。
花後の剪定は、必ずしもやらなくてはいけないというわけではありませんが、花芽分化が起きる7〜8月までに枝数や花をつける位置を調整することができるので、桜盆栽のお手入れに慣れてきた頃にやってみるといいでしょう。
基本的には、後述の芽摘みと徒長枝の切り戻しをしましょう。今シーズンに花がついた枝は分岐から2節程度になるように短く切り戻してください。針金を巻いて枝の向きを調整しておくと、かっこいい樹形がつくれます。
落葉後、休眠前の剪定は、桜盆栽にとっては必ず必要な剪定です。
この時期にはすでに葉芽と花芽がはっきりと目視できるので、枝を伸ばしたい方向の葉芽の上で切り戻しをしたり、針金で枝の向きを調整していきましょう。
桜には「桜きる馬鹿」ということわざがありますが、これは桜の切り口が塞がりにくい性質が由来しています。
そのため、桜盆栽の剪定では、どんな細い枝を切った場合でも、癒合剤を塗布しておかないと、切り口から枯れこんでしまうこともあるので注意しましょう。
また、剪定に使う道具類は必ず殺菌消毒をして、清潔な状態で使うようにしてください。
芽摘みとは、桜の花が咲いた後、新梢から出る新芽を摘むお手入れのことです。
桜の花芽分化は先述の通り7〜8月ですので、花後から花芽分化が始まるまでの間に芽摘みをすると、来年の花つきをよくさせたり、枝を伸ばす方向を決めるなど、コントロールができるようになります。
芽摘みをするタイミングとしては、花後、新梢が少し伸びたころです。時期としては4月中旬ごろが目安となります。
春に新しく伸びた枝(新梢)が分岐している部分の根本から、2〜3芽を残してそこから先は清潔なハサミで切るだけです。
一つの枝に芽がたくさんつきすぎていると、根本の芽が開花しにくくなるので、桜盆栽としては少し不恰好になってしまいます。
効率よくエネルギーを株に蓄えさせ、さらに来年もよく花を咲かせたいのであれば、芽摘みは積極的に行いましょう。
また、伸ばしたい枝がある場合は、針金で調整するのもおすすめです。
桜盆栽には、アブラムシやハダニなどの害虫がつきやすいです。アブラムシは繁殖力が強く、5~11月頃まで活動して冬の時期は冬眠します。とくに春先に大量発生する傾向があるため、桜の芽や葉などを吸汁してしまいます。
アブラムシに牛乳をかけると窒息死するため、見つけたら牛乳スプレーや薬剤散布などで予防しましょう。
ハダニは0.5mm程度の小さな害虫で、葉の裏に寄生して葉の葉緑素を吸い取ってしまいます。梅雨明けから夏の時期に発生しやすく、高温で乾燥した環境を好みます。ハダニは水に弱いため、見つけたら盆栽を水に漬けるかハダニ専用の薬剤で退治することができます。
桜盆栽の花が咲かない時は、病気にかかっている可能性も考えられます。てんぐ巣病は春~冬の時期にかけて発生する伝染病で、カビの一種であるタフリナ菌が原因です。
てんぐ巣病にかかると枝の一部がホウキのように膨らんだ小枝が現れ、その小枝が伝染することで花数が減ってしまいます。てんぐ巣病の枝を見つけた場合は、その部分を切り取って燃やしましょう。切り口の部分には殺菌剤を塗布し、細菌やウイルスにかからないよう予防します。
その他、桜盆栽はせん孔褐斑病(せんこうかっぱんびょう)という病気にもかかりやすいです。この病気は5~6月頃に発生しやすく、葉の表面に丸い褐色の斑点現れて最終的には斑点部分に穴が空いて枯れてしまいます。感染した葉を見つけたら病気の葉を取り除き、薬剤を投与します。
日頃から桜盆栽を手入れしていても病気にかかってしまうことがあるため、病気を見つけたらなるべく早めに対処することで病気の悪化を防ぐことができます。
桜には多くの品種がありますが、代表的なソメイヨシノの寿命は100年程度といわれています。
桜盆栽の場合も育てる品種によって変わりますが、一般的に寿命は数十年ほどのようです。
しっかりとお手入れしていれば長年楽しめますが、害虫や病気の被害にあって枯れかかっている場合は、無事な枝を選んで挿し木で増やすのもおすすめです。
桜盆栽は室内でも春が感じられ、庭木とはまた違った楽しみ方ができますね。日本では庭木といえばソメイヨシノがとても有名ですが、桜盆栽で育てる一才桜などの品種もかわいらしいです。
桜盆栽を育てることは一般的に難しいといわれていますが、植え替えは毎年する必要もなく基本的な手入れをしていれば育てられるでしょう。
盆栽をご自分で育てて開花した時はとても感動するので、ご興味があればぜひ桜盆栽を育ててみることをおすすめします!
GreenSnap編集部