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春になるとスズランのような白いベル状の小さな花を葉が隠れるほど咲かせるアセビは、万葉集にも10首読まれているほど、古くから親しまれてきた常緑の花木です。中でも、ヤクシマアセビは「屋久島馬酔木」と書くアセビの変種で、名前の通り屋久島に自生している日本の固有種で、屋久島でも1000mを超える高所にのみ自生しています。自生種は採取できませんが、園芸品種は園芸店でも手に入れることができます。そんなヤクシマアセビの育て方をご説明します。
ヤクシマアセビは、日当たりと風通しのよい場所を好みます。屋久島でも1000m以上の高地に自生していることから、涼やかな環境を好むことがわかります。また、耐陰性も高いので、半日陰でもよく育ちます。
ヤクシマアセビはある程度湿り気のある環境を好むので、日当たりがよすぎる場所よりは、半日陰の方が育てやすいでしょう。
ヤクシマアセビを地植えにしたとき、根付いたあとは基本的には自然の恵みだけで十分です。乾燥した日が続くときのみ、たっぷり水やりしましょう。
なお、ヤクシマアセビは土がからからな環境を好まないので、株元に腐葉土を厚く敷き詰めるようなマルチングをしておき、乾燥を防いでおくのもおすすめです。
ヤクシマアセビを鉢植えにしたときは、表面の土が乾いてきたらたっぷりと水やりするようにしましょう。湿り気のある土を好みますが、ずっと水浸しでは根腐れしてしまうので、鉢皿に水をためないようにしましょう。
乾燥しがちな夏の季節は、風通しの良い明るい日陰に置き場所を変えて、朝夕水やりするなど、乾きすぎないように注意します。冬の休眠期は、生育期の春~秋より乾燥気味に管理しますが、乾きすぎるとダメージを受けるので、土が乾ききる前に水やりしましょう。
ヤクシマアセビを含むアセビは多肥を好まないので、春に株元に緩効性化成肥料をまいておきましょう。マルチングに腐葉土を使うなどして、有機質が多く含まれるようにしておくのもおすすめです。
ヤクシマアセビを育てるときは、水はけのよい土を用いましょう。ある程度湿り気のある環境が好きなので、土が乾きすぎないように注意します。
土質はあまり選びませんが、鉢植えは赤玉土小粒や鹿沼土小粒に半量ほどの腐葉土をブレンドした土を用いて、地植えは庭土に腐葉土をたっぷり混ぜ込んでおくのがおすすめです。
また、酸性の土壌を好むので、あらかじめ苦土石灰などをまいておく必要はありません。水はけと水持ちを改良するために、川砂やバーミキュライト・パーライト、酸度未調整のピートモスなどをブレンドするのもおすすめです。
ヤクシマアセビの植え付けは、新芽が伸び始める前の3月~4月か、秋が深まる10月~12月が適期です。
ヤクシマアセビを植え付けるとき、土をなるべく落とさないで、深植えにならないように注意して植え付けましょう。
ヤクシマアセビを地植えにするときは、植え穴を大きく掘って腐葉土をたっぷりと混ぜ込んで置き、庭土を少し戻したところに苗をセットし、腐葉土を混ぜ込んだ庭土を用いて植えつけましょう。
ヤクシマアセビを鉢植えにするときは、防虫ネットを敷いた上に鉢底石を底に入れてから苗を植え付けましょう。
鉢植えは2年おきに植え替えましょう。植え替え時期も、植え付けと同じ時期が適期です。
鉢を外して土を1/3ほど落とし、伸びすぎた根を整理してから、一回り大きな鉢に植え替えます。ヤクシマアセビも根を広く浅く張るので、深植えにならないように注意します。
ヤクシマアセビは種からも育てることができますが、何年もかかってしまうので、「挿し木」で増やすのが一般的です。
ヤクシマアセビの花後すぐに剪定をするので、この時しっかりした枝を挿し木に使います。水で湿らせた苗床に挿し木して、地上部が育ってくるまで水切れしないよう管理します。
ヤクシマアセビもアセビ同様夏に来春の花芽をつけるので、樹形を整えるときは花後すぐに剪定を行います。剪定枝は挿し木に使えます。
ヤクシマアセビも葉や茎、花も含めて有毒物質を含んでいるので病害虫が付きにくいです。ハマキムシが付くことがあるので、丸まった葉があったら取り除いておきます。
グンバイムシが付くと葉が白くなって枯れてきます。被害のひどいところは取り除いたうえで、薬剤を散布します。グンバイムシは乾燥が続くと付きやすいので、葉っぱの裏表にときどき葉水をかけて予防しておきましょう。
ヤクシマアセビは一般的なアセビよりも葉や枝が細く、樹高も高くならないのでアセビの矮小種になります。樹高は1m前後になり、生育環境が良ければ4mくらいまで育つことがありますが、通常のアセビより小さめです。
最大の違いは花穂のつき方にあり、アセビは花穂が垂れ下がるように咲きますが、ヤクシマアセビは上に向かって突き出すように花穂がつきます。実がなっても穂は上を向いたままで、実はアセビと同じく上向きになり、熟すとポンとはじけます。
ぜひ、珍しいヤクシマアセビを育ててみてください。
※トップ画像はhiroさん@GreenSnap
GreenSnap編集部