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カラーは、サトイモ科のカラー属に分類される球根植物です。一つの花びらを巻いたような独特の美しい花を咲かせ、切り花人気が高い花ですが、庭に植えたり鉢植えで育てることもできます。
この記事では、カラーの育て方を中心に、球根は植えっぱなしでいいいのか、冬越しのコツなどについてもご紹介していきます。
カラーの花を咲かせるには、多湿を好む湿地性と、乾燥を好む畑地性の2タイプの性質に合わせて、育て方を変えることが大切です。
とくに土づくりや水やり頻度、冬越しの方法が異なるので、球根や苗を入手する際はタイプをよく確認しておきましょう。
畑湿地性カラー | 多湿を好み、地植えでも育てやすい。耐寒性が高く、湿度さえあれば植えっぱなしで冬越しできる。 |
畑地性カラー | 乾燥を好むため、どちらかというと鉢植え栽培向き。寒さや雨に弱いので季節によって管理する場所を移動する。 |
カラーは、どちらのタイプであっても、夕方の強い直射日光を避けた日当たりのいい場所で育てましょう。
日当たりが良くないと花が咲きませんが、真夏の日差しや西日で葉焼けが起きやすいので、地植えなら遮光ネットを活用し、鉢植えなら明るい日陰に移動してください。
なお、畑地性のカラーは風通しのいい場所でないと弱るので注意しましょう。また雨に当たると病気にかかりやすくなるので、軒下などで育てるのがおすすめです。
カラーの球根を植える時期は、3〜4月です。数年育てているカラーの植え替え時期も一緒です。
植え替えする球根は、病気にかかりやすいので、殺菌剤などをまぶしてから、再び植え付けをするようにしてあげましょう。
湿地性のカラーは湿った土を好みます。地植えの場合は、庭土に3割ほど腐葉土と緩効性肥料を混ぜてから植えましょう。鉢植えの場合は、市販の荒木田土がおすすめです。草花用培養土を使う場合は、1〜2割ほど真珠岩パーライトを混ぜると保水性があがります。
湿地性のカラーはかなり大きく成長するので、地植えなら株間50〜80cm以上、鉢植えなら6号鉢に球根1球が目安です。深さは、球根の頭が地表と同じくらいの位置になるように植えましょう。
畑地性のカラーは排水性と通気性のいい土を好みます。地植えの場合は、庭土に3割ほどの腐葉土と川砂1割を混ぜ、緩効性肥料を加えてから植えます。鉢植え場合は、市販の草花用培養土を使いましょう。より排水性をよくするには、1〜2割ほど軽石(小粒)か川砂を混ぜておくといいです。
畑地性のカラーは、地植えなら株間20cm、鉢植えなら6号鉢に球根2球を目安に植え付けるようにしましょう。球根の頭が、土の表面から2、3cmになるように深めに土をかぶせるようにしてください。
湿地性カラーを地植えで育てている場合は、夏場に乾燥が続くようならたっぷり水やりをしてください。それ以外は基本的に雨の水分で育ちます。
鉢植えで育てている場合は、土が乾燥してからではなく、土の表面が乾きかけたらたっぷりと水を与えるようにしましょう。とくに4〜6月は乾燥すると花が咲かない原因になるので、越水栽培がおすすめです。
11月から3月は休眠期にはいるので、表土が乾いて2〜3日後に水やりをしましょう。
畑地性カラーを地植えで育てる場合は、基本的に水やりは不要です。鉢植えで育てる場合の水やりは、土の表面が乾いてからたっぷりと水をあげるようにしましょう。
秋ごろになって葉が枯れたら水やりをやめて越冬させます。
カラーはどのタイプであっても、地植えで育てているのであれば、球根植え付け時にあたえる元肥以外、追肥は不要です。
鉢植えで育てている場合は、追肥をする場合は、4月〜6月にかけて、10日に1回、水やりの代わりに液体肥料を与えましょう。規定量よりもやや薄めに希釈するのがおすすめです。
花後はゆっくりと休眠に入るので、夏〜冬場にかけては、肥料は必要ありません。
カラーの花が終わったら花がら摘みを兼ねた剪定をします。カラーの花が終わったサインは、苞が色褪せて花茎がたれてきたころです。
そのころになると、花茎は引っ張れば簡単に抜けますが、なかなか抜けない場合は根本から剪定してください。
カラーは湿地性タイプなら植えっぱなしで育ちます。畑地性タイプも本来なら植えっぱなしで平気ですが、寒さに弱いため、冬場に地下が凍るような寒い地域では地植えなら球根を掘り上げて冬越しさせないといけません。
また、湿地性カラーでも、鉢植えで育てていると根詰まりしたり土質が悪くなるので、2〜3年に一度は植え替えしましょう。
カラーの植え替え時期は、湿地性なら3〜4月、畑地性なら秋の葉が枯れた頃に掘り上げ、球根をおがくずにいれて、春まで屋内の日陰で保管します。
湿地性カラーは寒さに強く、耐寒温度は-10度です。ただし、球根が凍ってしまうと枯れるので、寒冷地では腐葉土を5cm以上盛ってマルチングし、株周りを不織布などで覆ってあげましょう。
冬の時期には、球根が凍ってしまわないように腐葉土や土などを地面に被せて保温してあげると、問題なく数年を通して育てることができます。
カラーは寒さに弱く、耐寒温度は5度ほどです。温暖地であれば植えっぱなしのまま冬越しできますが、基本的には秋に球根を掘り上げて、おがくずやピートモスなどに植えて、室内に取り込みましょう。
関東周辺でも、腐葉土でマルチングなどの防寒対策をすれば冬越しできる可能性もあるので、数株ある方は挑戦してみてもいいでしょう。
カラーの増やし方は「分球」が一般的ですが、花のあとにできる種を採取し、「種まき」で増やすこともできます。
種まきで増やす場合は、市販の種まき用培養土にまいて、発芽するまでは乾燥しないようにします。発芽温度は20度ほどなので、真夏を避けて春から秋の間に種まきしましょう。
発芽後は、月に1度のペースで液体肥料を与えてあげます。1年ほど育てたころに、球根を掘り上げ、鉢に植え付けてあげます。あとはカラーを通常どおりに育てていきます。
種まきだと実際に花を見るまでには長い時間がかかるので、早く育てたい方には「分球」での増やし方をおすすめします。
分球の時期は3〜4月頃、植え付けや植え替えと一緒に作業します。カラーの球根から子球があれば、葉と球根を半分に切り分けて別々に植えます。
とくに畑地性カラーを育てる場合は、軟腐病に注意しましょう。
畑地性のカラーは、高温多湿に非常に弱く、特に梅雨から夏にかけての時期に起こりやすく、この病気にかかってしまうと、球根が腐り、ドロドロに溶けてしまいます。
発病してしまうと、薬剤によって防除することができません。そのため、軟腐病にかかってしまう前にしっかりと予防対策をしておきましょう。
予防法は、清潔で雑菌の少ない用土を使用することです。もちろん鉢も基本的には、古いものよりも新しいものを使用すると良いでしょう。また、植え付けや植え替えの際に、球根を濡らした状態で長時間放置しないようにしましょう。
よく被害をもたらす害虫としては、アブラムシが挙げられます。アブラムシは、単に汁を吸うことが害だけでなく、モザイク病へと発展する恐れもあります。この病気は、葉や花弁に対して、花びらには筋状の班、葉にはモザイク状の斑模様が発生します。発生することで、その植物の生育を妨げてしまいます。
この病気の一因ともなっているアブラムシは、この病気の媒介物となっており、ウイルスをもったアブラムシに汁を吸われた際などに感染します。
そのため、アブラムシの除去は、単に汁を吸われることを防ぐだけでなく、病気の予防にもなっているので、徹底的に除去してあげましょう。
今回紹介したようにカラーには湿地性と畑地性の2種類があります。
性質を知らずに水やりをして、枯らしてしまうということもしばしばあるので、購入時やだれかに贈り物として渡すときはカラーのタイプ(性質)も一緒に伝えるようにしましょう。
松原真理子
GreenSnap編集部